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感想(ネタバレ有)
これまでの激しい抗争とは少し違って、前半はとても穏やかな雰囲気で始まりました。広大な自然の中で家族がキャンプをするシーンは、見ているだけで心が洗われるようで、ずっとこのまま続いてほしいと思ったほど。
でも、モニカが「こういう100万年前みたいな暮らしをするなんて無理。週末か休みの日にやる行事にすぎない」と言っていたように、穏やかな時間はあくまで“期間限定”でした。
ほどけていく家族の絆
衝撃的だったのは、ジェイミーの出生の秘密が明かされたこと。彼が養子だったという事実だけでも十分重いのに、実の父親が妻殺しの殺人犯だったなんて。あまりにも残酷すぎる。
ジェイミーはその事実を知ったあと、実父に会いに行くことを決めます。「本当の自分を知りたい」という彼の切実な思いは伝わるけれど、その選択がジョンとの関係を完全に壊してしまうことに。
ジョンはジェイミーを息子として育ててきた。でも実子であるベスやケイシーとは、明らかに態度が違います。ジェイミーにとってジョンは父親であり、同時に自分の存在価値を支えてくれる唯一の人だったはず。ジョンの冷たい態度は、彼の心を深く傷つけたのでは。
また、ベスがジェイミーを憎み続けてきた理由もようやくわかりました。ベスは過去に不妊手術を受けていて、それがジェイミーの判断によるものだったことが明らかになります。
ジェイミーは、誰かに愛されたい、認められたいと願いながらも、いつもその手前で何かを壊してしまう。運命に縛られた悲劇のよう。見ていて苦しくなるけれど、だからこそ目が離せない存在です。
愛と癒しの時間
荒々しい物語の中で、ベスとリップのシーンだけは、ほんのひととき穏やかで優しい時間が流れます。
ベスはこれまで傷を抱えながら強がって生きてきた人で、心を閉ざし、愛することにも愛されることにも怯えていました。でもリップの前では、少しずつその鎧を外していきます。
リップもまた、ベスの痛みを理解しようとし、無理に踏み込もうとせず、ただそばにいる。その距離感が絶妙。
でも、ベスの悲しい過去(ジェイミーによって不妊手術を受けさせられたこと)が明らかになると、彼女の中にある深い傷が改めて浮き彫りになります。リップとの幸せな時間も、どこか儚く感じられて、いつ壊れてしまうかわからない不安がつきまといます。
それでも、ふたりが一緒にいることで少しずつ癒されていく姿は、希望そのものでした。
侵入者たちとジョンの極論
今シーズンも、ジョンの土地に次々と侵入者が現れます。カリフォルニアから来たバイカー集団、因縁のウェイド親子、そして巨大企業マーケット・エクイティーズ社。
どれも一筋縄ではいかない相手ばかり。彼らが土地に足を踏み入れるたびに、ジョンたちは容赦なく排除しようとします。そのやり方は、もう完全に“暴力ありき”。
ジョンにとって土地は“家族そのもの”。そこに踏み込む者は、たとえ法律的に正しくても許せない。その執着は、時に狂気にも見えるけれど、彼なりの愛情のかたちなのかもしれない。
「大事なものを守るためには殺すしかない」というジョンの考え方には、正直まったく共感できません。どんなに土地や家族が大切でも、命を奪うことでしか守れないのだとしたら、それはもう破綻していると思います。
見えない力が動かすもの
今回の敵は、マーケット・エクイティーズ社という巨大企業でした。彼らはジョンの土地に空港を建てようと計画します。土地の権利や開発計画、州政府との駆け引きが絡み合い、ジョンの戦いはますます複雑になっていきます。
ジョンが守ろうとしているのは家族であり“モンタナの魂”なのですが、企業や政治家にとってはただの資源にすぎません。この価値観の違いが、物語全体に緊張感を生み出します。
さらに、ジェイミーが州の司法長官になったことで、家族の中にも政治的な立場の違いが生まれます。ジェイミーは法律の力を信じ、ジョンは現場での力を信じる。ここでも価値観の衝突が描かれます。
ジェイミーが州の司法長官になったことで、家族の中にも政治的な立場の違いが生まれます。彼は法律の力で物事を動かそうとするけれど、ジョンはあくまで“現場”での力を信じている。ここでも異なる価値観がぶつかり合う。
政治的な駆け引きは銃撃戦のような派手さはないけれど、確実に人々の生活を揺るがしていく。シーズン3では、その“見えない力”の怖さがじわじわと描かれていたと思います。
ロデオに魅せられた男
終盤、ジミーはジョンとの約束を破り、再びロデオに挑みます。その結果、またもや重傷を負ってしまう。あれほど痛い思いをしたのに、なぜ彼はロデオをやめられないんでしょうか……。
ミアはジミーに「自分の人生を生きて」と背中を押しますが、それが本当に彼のためになっているのかは疑問。ジミーは誰かに認められたい、誇りを持ちたいという気持ちが強くて、ロデオはその証明の場なんですよね。でも、その代償はあまりにも大きい。
ジョンは「ロデオをやめれば家族として迎える」と伝えていました。それはジミーにとって初めて手に入りそうだった居場所だったはず。だけど彼は、それを捨ててまでロデオを選びました。
見ている側としては「やめておけばよかったのに」と思うけれど、ジミーの気持ちも理解できるから、ただ責めることもできません。彼の不器用さや夢にしがみつく姿は切なく、応援したくなってしまいます。
見ている側としては、「やめておけばよかったのに」と思うけれど、ジミーの気持ちもわかるから、ただ責めることもできません。彼の不器用さや、夢にしがみつく姿は、どこか切なくて、応援したくなってしまいます。
そして、嵐が吹き荒れる
そして衝撃のラスト。
ジョンが路上で銃撃され、ケイシーのオフィスにも武装集団が突入し、ベスのオフィスは爆発に巻き込まれる。あまりにも突然で、あまりにも容赦がなくて、言葉を失ってしまいました。
あの襲撃は、誰が仕組んだものだったんでしょうか。マーケット・エクイティーズ社? ウェイド親子の残党? それとも――ジェイミー?
彼が実父と再び接触し、何かを吹き込まれていたことを思うと、今回の襲撃とまったく無関係とは言い切れない。でも、もし本当にジェイミーが関わっていたとしたら、それはもう“家族”の崩壊を意味する。
ジョンたちは生き延びることができるのか。ベスは無事なのか。そして、この襲撃の先に待っているのは、報復なのか、それとも再生なのか。
シーズン4でダットン家が復活することを祈ります。
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