ネタバレ有「イエローストーン」シーズン3全話あらすじ・感想・登場人物(キャスト)一覧|静けさの中に潜む嵐

海外ドラマ「イエローストーン」シーズン3全話ネタバレあらすじ感想キャスト

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感想(ネタバレ有)

静けさの中に潜む嵐

これまでの激しい抗争とは少し違って、前半はとても穏やかな雰囲気で始まりました。

広大な自然の中で家族がキャンプをするシーンは、見ているだけで心が洗われるようで、ずっとこのまま続いてほしいと思ったほどです。

でも、モニカが「こういう100万年前みたいな暮らしをするなんて無理。週末か休みの日にやる行事にすぎない」と言っていたように、穏やかな時間はあくまで“期間限定の幸せ”でした。

土地を狙う者たち、家族の間に隠された秘密、そして過去の傷。それらがじわじわと表に出てきて、物語は再び動き出します。

ほどけていく家族の絆

衝撃的だったのは、ジェイミーの出生の秘密が明かされたこと。彼が養子だったという事実だけでも十分に重いのに、実の父親が妻殺しの殺人犯だったなんて。あまりにも残酷すぎる。

ジェイミーはその事実を知ったあと、実父に会いに行くことを決めます。「本当の自分を知りたい」という彼の切実な思いは伝わりますが、その選択はジョンとの関係を完全に壊してしまいました。

ジョンはジェイミーを息子として育ててきたけれど、実子であるベスやケイシーとは明らかに態度が違います。ジェイミーにとってジョンは父親であり、同時に自分の存在価値を支えてくれる唯一の人だったはず。ジョンの冷たい態度は、彼の心を深く傷つけたのでは。

また、ベスがジェイミーを憎み続けてきた理由もようやくわかりました。ベスは過去に不妊手術を受けており、それがジェイミーの判断によるものだったことが明らかになります。

ベスの憎悪は単なる兄妹の不仲ではなく、人生を根こそぎ奪われたことへの怒りだったんですね。

ジェイミーは、誰かに愛されたい、認められたいと願いながらも、いつもその手前で何かを壊してしまう。彼の選択は、自由意志というよりも、運命に縛られた悲劇のように感じます。見ていて苦しくなるけれど、だからこそ目が離せない存在です。

愛と癒しの瞬間

心が温まったのは、やっぱりリップとベスのシーンでした。2人が過ごす時間はまるで別世界のようで、荒々しい物語の中にも一瞬だけ優しい時間が流れます。

ベスはこれまでずっと、傷ついたまま強がって生きてきた人です。誰にも心を開かず、愛されることにも、愛することにも怯えていた。でもリップの前では、少しずつその鎧を脱いでいく。

リップもまた、ベスの痛みを理解しようとしていて、無理に踏み込まず、ただそばにいる。その距離感が絶妙で、見ていて本当に安心できました。

でも、ベスの悲しい過去(ジェイミーによって不妊手術を受けさせられたこと)が明らかになると、彼女の中にある深い傷が改めて浮き彫りになります。リップとの幸せな時間も、どこか儚くて、いつ壊れてしまうかわからない不安がつきまといます。

それでも、ふたりが一緒にいることで少しずつ癒されていく様子は、希望そのものでした。『イエローストーン』の中で、リップとベスの関係は、暴力や憎しみとは違う“もうひとつの生き方”を示してくれているように感じます。

侵入者たちとジョンの極論

今シーズンも、ジョンの土地に次々と侵入者が現れます。カリフォルニアから来たバイカー集団、因縁のウェイド親子、そして巨大企業マーケット・エクイティーズ社。

どれも一筋縄ではいかない相手ばかり。彼らが土地に足を踏み入れるたびに、ジョンたちは容赦なく排除しようとします。そのやり方は、もう完全に“暴力ありき”なんですよね。

正直、「大事なものを守るためには殺すしかない」というジョンの考え方には、まったく共感できませんでした。どんなに土地や家族が大切でも、命を奪うことでしか守れないのだとしたら、それはもう破綻していると思います。

でも、ドラマとしてはその極端さが逆に面白くて、私はもう半ば“ファンタジー”として見ることにしました。

ジョンのやり方は、現実では到底許されないものだけど、『イエローストーン』の世界ではそれが“正義”として描かれている。そのズレが、見ていて不思議な感覚を呼び起こします。「これって本当に守ってることになるの?」と問いかけたくなる。

ジョンの信念には一貫性があります。彼は土地を“家族そのもの”として捉えていて、そこに踏み込む者は、たとえ法律的に正しくても許せない。その執着は、時に狂気にも見えるけれど、彼なりの愛情のかたちなのかもしれません。

見えない力が動かすもの

今回登場した敵は、マーケット・エクイティーズ社という巨大企業。彼らはジョンの土地に空港を建てようと計画しています。

土地の権利、開発計画、州政府との駆け引き。こうした要素が絡み合って、ジョンの戦いはより複雑になっていきます。

彼が守ろうとしているのは“モンタナの魂”なのですが、企業や政治家にとっては、それはただの資源でしかない。この価値観のズレが、物語の根底にある緊張感を生み出しているように感じました。

ジェイミーが州の司法長官になったことで、家族の中にも政治的な立場の違いが生まれます。彼は法律の力で物事を動かそうとするけれど、ジョンはあくまで“現場”での力を信じている。ここでも異なる価値観がぶつかり合う。

そして、マーケット・エクイティーズ社のような外部の力が入ってくることで、モンタナの風景や暮らしが変わってしまうかもしれないという不安も描かれていました。

政治的な駆け引きは、派手な銃撃戦とは違って静かだけど、確実に人々の生活を揺るがしていく。シーズン3では、その“見えない力”の怖さがじわじわと描かれていました。

ロデオに魅せられた男

終盤、ジミーはジョンとの約束を破り、またもやロデオに挑戦します。その結果、彼は再び重傷を負ってしまいます。あれだけ痛い思いをして、命の危険まであったのに、なぜ彼はロデオをやめられないんでしょうか…。

ミアの存在も大きかったと思います。彼女はジミーに「自分の人生を生きて」と背中を押すけれど、それが必ずしも彼のためになっているとは言えない気がします。

ジミーは、誰かに認められたい、誇りを持ちたいという思いが強くて、ロデオはその“証明”の場なんですよね。でも、その代償があまりにも大きすぎる。

ジョンは、ジミーに「ロデオをやめれば、家族として迎える」と言っていました。それは、ジミーにとって初めて手に入りそうだった“居場所”だったはず。でも彼は、それを捨ててまでロデオを選んだ。

見ている側としては、「やめておけばよかったのに」と思うけれど、ジミーの気持ちもわかるから、ただ責めることもできません。彼の不器用さや、夢にしがみつく姿は、どこか切なくて、応援したくなってしまいます。

同時に、「夢を追うこと」と「守るべきものを守ること」のバランスって、すごく難しいんだなと感じました。ジミーの物語は、派手さはないけれど、すごく人間くさい。だからこそ、彼の選択に一喜一憂してしまうんですよね。

そして、嵐はついに吹き荒れる

シーズン3のラストは、まさに“嵐の到来”でした。

ジョンが路上で銃撃され、ケイシーのオフィスにも武装集団が突入し、ベスのオフィスは爆発に巻き込まれる。あまりにも突然で、あまりにも容赦がなくて、画面の前で言葉を失ってしまいました。

あの襲撃は、誰が仕組んだものだったんでしょうか。マーケット・エクイティーズ社? ウェイド親子の残党? それとも――ジェイミー?

彼が実父と再び接触し、何かを吹き込まれていたことを思うと、まったく無関係とは言い切れません。でも、もし本当にジェイミーが関わっていたとしたら、それはもう“家族”の崩壊を意味する気がします。

このラストで、物語は完全に次のフェーズに突入しました。ジョンたちは生き延びることができるのか。ベスは無事なのか。そして、この襲撃の先に待っているのは、報復なのか、それとも再生なのか。

シーズン4では、きっとこれまで以上に激しく、そして深いドラマが展開されるはずです。傷ついた人たちがどうやって立ち上がるのか、その“再生の物語”として描かれることを期待しています。

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