どうも、夏蜜柑です。
テレ朝のアガサ・クリスティ第4弾「予告殺人」。
ほぼ原作通りなのに、違和感がすごい。
名前のインパクトが強烈でした。
そっちのほうが気になって、ストーリーに集中できなかった~。
登場人物が多いうえに原作によせた名前が奇抜で、さらにみんな愉快なニックネームがついていて、住民だけでなく警察関係者までもがニックネーム呼び……。
原作を読んでいるわたしでも混乱したくらいだから、原作を知らない人は誰が誰だかわからなかったのでは。
その混乱自体も意図したものだったのでしょうが、うまくハマってなかった気がするなぁ。
原作の解説はコチラ
Contents
番組概要
- 放送局:テレビ朝日系
- 放送時間:2019年4月14日(日)夜9時~【単発】
- 原作:アガサ・クリスティ『予告殺人』
- 脚本:長坂秀佳(「そして誰もいなくなった」「大女優殺人事件~鏡は横にひび割れて~」)
- 監督:和泉聖治(「そして誰もいなくなった」「松本清張 鬼畜」)
- 音楽:吉川清之
あらすじ
- 西多摩郡の田舎町にある古風な洋館〈小径の館〉で暮らす黒岩怜里(大地真央)は、ある朝タウン紙に「殺人のお知らせ」という広告が掲載されているのを発見する。町ではそういう〝遊び〟が流行っていた。
- 場所は〈小径の館〉とあり、怜里は同居人の寅美(室井滋)や家政婦のミッチー(ルビー・モレノ)と共に準備を整えて客が到着するのを待つ。夜になると、みんなタウン紙の広告を見た住民たちが続々と館に集まってくる。
- だがパーティーが始まる6時30分になると、突然室内が真っ暗になり、銃声が3発鳴り響く。灯りがともった時、一同が目にしたのは耳から血を流している怜里と、見知らぬ男・車井(大浦龍宇一)の死体だった。
- 警視庁捜査一課・特別捜査係の相国寺竜也(沢村一樹)と多々良伴平(荒川良々)は現場に向かい、渋谷東署の名物警部〝鬼バン〟こと鬼瓦胖六(村田雄浩)らと共に捜査を始める。
- 怜里と被害者の車井は北海道に住んでいた頃に面識があり、3週間前にホテルで偶然再会していた。相国寺は車井が現れた時、誰かが廊下に通じる開かずの扉から居間を出て車井の背後に回り、銃で車井を撃ったと推測する。
- 寅美によると、怜里には50億円の遺産が入ってくる予定だという。若い頃に秘書をしていた会社社長・外道蘭毘が、病弱な妻が死んだ場合は元秘書の怜里に遺産を譲ると、正式な遺言書を残したのだった。
- 怜里が死んだ場合は、蘭毘の亡き妹が産んだ双子の兄妹・閑歩と炎真に遺産が渡ることになる。警察は兄妹が住民の中に紛れ込み、怜里の命を狙っているのではないかと考える。
- 殺人パーティーの際、ドアの陰に立っていた百々子は居間にいなかった人物を思い出し、犯人に殺されてしまう。さらに、寅美が還暦パーティーの最中に怜里の部屋にあった頭痛薬を飲んで死んでしまう。
- 双子の兄妹・閑歩と炎真は、怜里の家の同居人・桃畑雉香(吉川愛)と立花詩織(北乃きい)だった。だが2人とも犯人ではないと言う。相国寺は再び住民たちを〈小径の館〉に集める。そこへミッチーが現れ、「あの日、レーリィが出入りしたのを見た」と証言する。
- ミッチーの証言は無視されるが、怜里はひそかに居間を抜けだしキッチンにいるミッチーを殺そうとする。一連の殺人事件の犯人は怜里だった。怜里の正体は黒岩楼里で、亡くなったと思われていた怜里の妹だった。
- 楼里は北海道で姉・怜里が亡くなった時、外道蘭毘の遺産を受け取るために姉と入れ替わっていた。最初に殺された車井は北海道の病院の守衛で、楼里を知っていた。親友の寅美は楼里が姉になりすましていることを知りつつ計画に加担してくれていたが、口を滑らせることが多くなってきたため、やむなく殺したのだった。
キャスト
相国寺竜也……沢村一樹
多々良伴平……荒川良々
黒岩怜里……大地真央
土田寅美……室井滋月
鬼瓦胖六……村田雄浩
見兎左子……芦名星
立花詩織……北乃きい
ミッチー……ルビー・モレノ
桃畑鳩児……山本涼介
桃畑雉香……吉川愛
武類留九郎……国広富之
武類桜子……田島令子
八矢門馬……村杉蝉之介
八矢万智……山口香緒里
夏目芙美子……和泉ちぬ
芥川文士……鈴木勝大
町田百々子……佐藤玲
品地栗江……大後寿々花
外道寿津……夏樹陽子
車井久三……大浦龍宇一
感想(原作との違い)
登場人物が多すぎる
冒頭でも書きましたが、ストーリーはほぼ原作どおりでした。
大きな違いといえば、「ミス・マープルが登場しない」ことと、「警察の人数が多い」ことくらいでしょうか。
「ミス・マープルが登場しない」設定については、このシリーズでは定例になっているのでスルーするとして。
なぜこんなに刑事が多いの?
ただでさえ登場人物が多いのに。
そう、今回は何を置いても「登場人物が多い」ことがネックでした。
原作でも思ったのですが、その登場人物のほとんどが野次馬的な人たちで、大して活躍しません。事件の真相に絡むわけでもないし、人に言えない大きな秘密を抱えているわけでもないんですよね。
そういう「記憶に残らない」人たちに全員、名前とは別に「ニックネーム」をつけ、住民も警察もみんなニックネームで呼ぶものだから、誰のことを言っているのかサッパリわからない。
この「誰のことを言っているのかわからない」状態こそが、制作側の意図だったのだろうと思うのですが、作為的すぎたかなぁという気がします。
名前がややこしい
ここで、原作の名前と日本版の名前、およびニックネームを比較してみましょう。
日本版の名前 | ニックネーム | 原作の名前 |
---|---|---|
黒岩怜里 | レーリィ | レティシア・ブラックロック(愛称:レティー) |
黒岩楼里 | ローリィ | シャーロット・ブラックロック(愛称:ロティー) |
土田寅美 | ドラ | ドラ・バンナー |
立花詩織 | リッカ | フィリッパ・ヘイムズ |
桃畑鳩児 | クックル | パトリック・シモンズ |
桃畑雉香 | ケンケン | ジュリア・シモンズ |
武類留九郎 | ブルック | アーチー・イースターブルック |
武類桜子 | チェリー | ローラ・イースターブルック |
八矢門馬 | ハーモン | ジュリアン・ハーモン |
八矢万智 | バンチ | ダイアナ・ハーモン(愛称:バンチ) |
町田百々子 | トト | マーガトロイド |
品地栗江 | ヒンチ | ヒンチリフ |
夏目芙美子 | スウェッテナム夫人 | |
芥川文士 | エドマンド・スウェッテナム | |
外道蘭毘 | ランダル・ゲドラー | |
外道寿津 | ベル | ベル・ゲドラー |
素仁愛 | ソニア | |
閑歩 | ピップ | |
炎真 | エンマ | |
車井久三 | ルディー・シャーツ |
そりゃ混乱しますわ、こんなん(笑)
[kjk_balloon id=”9″]ニックネーム……必要だったのかなぁ。[/kjk_balloon]
ドラが言い間違えるという伏線
犯人は怜里になりすましていた妹の楼里でした。
楼里の親友だったドラは、みんなの前では「レーリィ」と呼ぶように気をつけていたけれども、事件でゴタゴタするうちにうっかり「ローリィ」と口を滑らせるようになってしまった。
要はドラが「レーリィ」と「ローリィ」を言い間違えるシーンが不自然でなければ、伏線は成立したと思うのです。
わたしは「怜里」と「楼里」でも問題ないと思うんですけども、みなさんどう思われましたか。
ちなみに原作では「レティー」と「ロティー」なのですが、「ロティー」が「妹の名前」だということはラストまでわかりません。
ドラが「妹の名前」を間違えて呼んでいたことや、妹と親友だったということは、最後の謎解きで明かされるという仕掛けになっていました。
ただ、これを読者に不自然だと思わせないためには、ドラという人物がちょっと愚鈍であるという設定が必要なんですよね。ドラマではそこを避けたかったのかもしれません。
時代が持つ暗さ
ドラマでは、楼里は「若いころ浪費家だった」というヤンチャ設定になっていましたが、原作では幼い頃から甲状腺腫を患い闘病生活を送っていた、という設定でした。
昔気質の医者だった楼里の父は手術に反対し、薬で治そうとしていたのですが、容態は悪化する一方。外見的にも影響を受け、楼里は人目を避けて家に引きこもるようになっていました。
その後父が亡くなり、姉の勧めで摘出手術を受け、ようやく完治したのです。
彼女が姉になりすまして遺産を横取りしようとしたのは、そのお金で新たな人生を楽しもうとしたから。そしてドラが楼里に協力しようと思ったのは、彼女の闘病生活を知っていて、同情したからです。このときドラ自身も、病気で余命わずかでした。
閑歩と炎真が怜里のもとへやってきたのは、第二次世界大戦が終わった直後で生活に困り、助けてほしいという思いから。
こういう「時代が持つ暗さ」を省いてしまうと、やっぱりちょっと物足りなく感じてしまいますね。現代版だからしかたないことなのですが。
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いろいろ文句をつけましたが、なんだかんだ言いつつも楽しかったです。
また来年も見たいと思ってます。
[kjk_balloon id=”3″]相国寺さんもいいけど、ミス・マープルも見たいなぁ。[/kjk_balloon]
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