WOWOWの連続ドラマ「ポイズンドーター・ホーリーマザー」第1話「ポイズン・ドーター」のあらすじと感想です。
第155回直木賞候補作ともなった湊かなえ氏の短編集をドラマ化。執念、恐怖、切迫、呆然、驚愕、爽快、感動、さまざまな感情が満ちあふれる一話完結の連続ドラマです。
原作は全6話ですが、第1話と第2話は前後編のような形になっています。第1話は娘・弓香の視点で描かれたエピソード。
原作とは違うアプローチで、弓香の日常が具体的に描かれていて面白かった。
原作には登場しない元同級生・浅岡くんの正体が気になりなります。
Contents
作品概要
- 放送局:WOWOW
- 放送時間:2019年7月6日(土)夜10時~〈全6話〉
- 原作:湊かなえ『ポイズンドーター・ホーリーマザー』
- 第1話脚本:清水友佳子(「リバース」「夜行観覧車」)
- 第1話監督:吉田康弘(「プラージュ」)
- 音楽:きだしゅんすけ/池永正二
第1話「ポイズン・ドーター」のあらすじ
幼い頃から母親・佳香(寺島しのぶ)の過干渉に悩まされてきた弓香(足立梨花)。東京で女優として活躍し始めた弓香は、親友・理穂(山下リオ)の結婚式のために帰省し、元同級生の浅岡幸弘(落合モトキ)と交際を始める。
過激な描写が有名な原作小説のドラマ化が決まり、弓香に主役の話が回ってくる。弓香は躊躇しながらも挑戦することを決め、事務所も応援する姿勢を見せるが、母・佳香によって主役の話は流れてしまう。
さらに、弓香が浅岡と付き合っていることを知った佳香は、密かに浅岡に接触し、一方的に2人を別れさせてしまう。傷ついた弓香は、生放送のトークショーで母への鬱憤をぶちまける。
弓香は中学生の時に仲良くなった江川まりあのことを思い出す。2人の仲に気づいた佳香は、「汚らわしい」という理由でまりあとの付き合いを禁じた。弓香がまりあとの約束を破った翌日、彼女は首を吊って自殺したのだった。
テレビの生放送で「お母さんなんて大っ嫌い」と告白した弓香の目に、サプライズ登場するはずだった佳香の姿が映る。佳香は何も言わずにその場を去る。
登場人物(キャスト)
藤吉弓香(足立梨花)
駆け出しの女優。子どもの頃から母・佳香の過干渉に悩んできた。女優として活躍する今も仕事や恋愛について佳香から細かく口を出されている。付き合い始めたばかりの浅岡とも別れさせられ、テレビの生放送で佳香を「毒親」と告白する。
藤吉佳香(寺島しのぶ)
弓香の母。老人ホームに勤務するシングルマザー。夫は弓香が幼い頃に病死している。弓香を支配し、あらゆることに干渉する〝毒親〟。
野上理穂(山下リオ)
弓香の中学・高校時代の友人。老人ホームに勤務している。5年前に結婚し、志乃という娘がいる。
野上塔子(宮崎美子)
理穂の義母。佳香と理穂が勤務する老人ホームの所長。佳香の人柄を好ましく思っている。
浅岡幸弘(落合モトキ)
弓香の同級生で、理穂の元カレ。東京でサッカースクールのコーチをしている。理穂の結婚式で弓香と再会し、付き合うようになる。
第1話の感想
原作の流れとはかなり違っていたので、何が起こるのかわからなくてドキドキしました。
同級生の浅岡くんや、プロデューサー?の濱崎との恋愛模様、理穂の結婚式、トークショーでの毒親発言など、どれもドラマのオリジナルで原作にはないシーン。
母親の過干渉に悩む弓香の生きづらさを具体的な場面に落とし込んで見せてくれたので、感情移入しやすかったです。
恋愛も仕事もことごとく母親に邪魔をされ、自分はこんなにも苦しんでいるのに、傍から見れば母親は〝聖母〟だという。トークショーでプツンと切れてしまうまでの弓香の感情の流れが、わかりやすく描かれていました。
しかし、この作品はここからが怖いのです!
原作には、「人生オセロ」という弓香が出演するトーク番組の説明が出てきます。白い円卓を囲んだ出演者たちが、ある事柄についてポジティブなエピソードを熱く語る。
その後、円卓がひっくり返って(オセロのように)黒になり、先ほど語ったエピソードの〝ネガティブ〟な顛末を語る。同じ事柄の表と裏。白だと思ったエピソードが反転し、黒に変わる衝撃。
弓香の視点から見れば、彼女は〝毒親〟の被害者であり〝可哀想な人〟です。でも、弓香以外の人の視点から見れば…?
心配する母親からの電話や忠告をことごとく無視し、自分勝手に振る舞い、女手一つで育ててくれた母親に感謝の言葉も述べず、テレビの生放送で母親の悪口を並べ立て「大っ嫌い」だと吐き捨てる。
第1話のタイトル「ポイズンドーター」が示すように、彼女は〝毒娘〟にもなりうるのです。
次回のタイトルは「ホーリーマザー」。予告を見た感じだと、やはり原作とはだいぶ違う展開になりそうです。
関連記事