ネタバレ有「刑事ジョン・ルーサー」シーズン1全話あらすじ・感想・キャスト・予告動画

海外ドラマ「刑事ジョン・ルーサー」

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海外ドラマ「刑事ジョン・ルーサー」シーズン1(全6話)についてまとめました。

完全犯罪者と敏腕刑事の行き詰まる心理戦!重厚な刑事ドラマシリーズの第1弾。高い捜査能力を持ちながらも精神的に不安定な面を見せるルーサーと、最高の知能レベルを誇示する容疑者アリス。互いを標的にしたふたりの心理戦から目が離せない!

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ロンドン警察の主任警部ジョン・ルーサーが、次々と起こる猟奇的殺人事件に迫るサイコサスペンスドラマ。

2010年からBBCで放送され、シリーズ平均視聴者数790万人/29.1パーセント占有率を獲得。現在シーズン5まで放送されています。評判は耳にしていましたが、メインビジュアルのイメージから「ハードアクション系」だと思い込み、敬遠していました。こんなシブいドラマだとは思わなかった!

細部にこだわった本格的な刑事もので、桁外れの緊張感と緻密でリアルな心理描写、主人公ルーサーの抜群の存在感でストーリーを引っ張ります。イドリス・エルバの哀愁漂う繊細な演技がとてもいいんです。

ルーサーは深い洞察力と心理分析を武器とする敏腕刑事。けれど精神的に不安定な一面もあり(たまにブチ切れて暴れる)、妻のゾーイとはうまくいっていない。

凶悪事件の捜査と平行して、彼自身が抱える深い心の闇が丁寧に描かれます。天才物理学者であり殺人者でもあるアリスとの奇妙な関係も見どころのひとつ。

異常犯罪を扱っているため、終始シリアスでダークな雰囲気です。カメラワークも音楽も洒落ていて、全体的に渋みの効いたセンスのいいドラマ。一話完結ですが、終盤の5・6話で驚きの展開が待っています。

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番組概要

  • 製作国:イギリス(2010年)
  • 原題:Luther
  • 脚本:ニール・クロス
  • 監督:サム・ミラーほか
  • 製作総指揮:フィリッパ・ジャイルズ
  • オープニングテーマ:Massive Attack「Paradise Circus」

あらすじ

殺人犯への対応責任を問われて休職中だった、ロンドン首都警察の主任警部ジョン・ルーサー。復帰後すぐにモーガン夫妻殺人事件の捜査を始めるが、現場には凶器も侵入者の形跡もない。ルーサーは夫妻の娘アリスが企てた完全犯罪ではないかと疑念を持つ。

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動画

登場人物(キャスト)

ジョン・ルーサー(イドリス・エルバ)
ロンドン警察の主任警部。深い洞察力と型破りな行動で犯罪に立ち向かう。刑事として強い信念を持ち、屈折した犯人の心理を巧みに読み解く一方で、精神的に不安定で孤独な一面も見せる。犯罪を憎むあまり、行き過ぎた行動に出ることも多い。
妻ゾーイとは別居中だが、関係を取り戻したいと思っている。連続女児誘拐殺人事件の犯人マドセンを見殺しにしたことを誰にも打ち明けられず、罪の意識に苦しんでいる。

アリス・モーガン(ルース・ウィルソン)
天体物理学者。13歳で名門大学に入学し、18歳で博士号を取得した天才。自己愛が強く、暴走しがち。両親が自宅で殺害された事件の容疑者となるが、証拠不十分で釈放される。事件を担当したルーサーに強い興味を持ち、ルーサーの妻ゾーイにも近づく。

ゾーイ・ルーサー(インディラ・ヴァルマ)
ルーサーの別居中の妻。人道法専門弁護士。ルーサーのことは愛しているが、家庭よりも職務を優先する夫との生活に限界を感じ、マークに惹かれるようになる。ルーサーに別れを告げてマークとの交際を始めるが、ルーサーへの愛情を断ち切れない。

イアン・リード(スティーヴン・マッキントッシュ)
ロンドン警察の警部。ルーサーの数少ない友人。ルーサーの能力を認め、信頼している。ルーサーの妻ゾーイとも親しい。

ジャスティン・リプリー(ウォーレン・ブラウン)
ロンドン警察の若き巡査部長。ルーサーを尊敬し、同じ部署で仕事をすることを望んで異動してきた。ルーサーの強引な捜査方法に疑問を抱きつつも、ルーサーの人となりを理解し、揺るぎない信頼を寄せていく。

ローズ・テラー(サスキア・リーヴス)
ロンドン警察の警視。ルーサーの上司で、良き理解者でもある。暴走しがちなルーサーを諫めながらも、信頼を置いている。犯人への対応責任を問われ休職中だったルーサーに職場復帰を許可する。

マーク・ノース(ポール・マッギャン)
ゾーイの恋人。穏やかな性格の常識的な男性。ゾーイを愛するがゆえにルーサーを憎むようになり、ルーサーとの関係を断ち切るようゾーイに迫る。

マーティン・シェンク(ダーモット・クローリー)
ルーサーを調査する監察官。ルーサーの行動を問題視し、穏やかな口調で停職をほのめかす。

ヘンリー・マドセン(アントン・サンダース)
連続女児誘拐殺人事件の犯人。ヘンリーが廃工場へ追い詰めた際、転落して意識不明の重体に陥る。

各話のあらすじ(ネタバレ有)

ロンドン警察の主任警部ジョン・ルーサーは、連続女児誘拐殺人事件の犯人ヘンリー・マドセンを廃工場へ追い詰め女児の居場所を聞き出すことに成功。女児は助かるが、ルーサーは宙吊りになったマドセンを見殺しにし、マドセンは数メートル下へ落下して意識不明の重体になる。対応責任を問われたルーサーは休職を余儀なくされる。
評議の結果、ルーサーは懲罰を免れ復職が決定。復帰したルーサーはすぐにモーガン夫妻殺人事件の捜査を始める。現場には凶器も侵入者の形跡もなく、金品を盗まれた形跡もなかった。ルーサーは夫妻の娘で第一発見者のアリスを疑い揺さぶりをかけるが、決定的な証拠は得られず、アリスは証拠不十分で釈放される。
ルーサーの対応に腹を立てたアリスは、ルーサーの別居中の妻ゾーイを脅す。ゾーイは交際中の恋人がいることをルーサーに告げ、別れを切り出していた。ルーサーは夫妻と共に銃殺された犬の体内に凶器の銃が隠されていた可能性に気づき、アリスの家に侵入して犬の遺灰の中から銃の一部を発見する。

ある夜、偽の通報で駆けつけた警官2名が射殺される。現場を見たルーサーは犯人を軍人だと確信。元海兵隊のオーウェン・リンチが浮上する。オーウェンの父親は、1年半前に警官を殺した罪で服役中の元海兵隊の受勲者テリー・リンチだった。
翌日、再び警官が撃たれる。現場に駆けつけたルーサーたちを、オーウェンはビルの上から次々に狙い撃ちする。その後、オーウェンは父親の釈放を求める動画をネットに投稿。オーウェンに警官殺しを命じているのは父親のテリーだと確信したルーサーは、服役中のテリーと面会する。テリーは息子を止める代わりに減刑を要求する。
イアンはテリーの部屋からSIMカードを発見し、特殊部隊と共に登録されていた連絡先の住所へ向かう。だがそれは親子が仕掛けた罠だった。特殊部隊は爆発に巻き込まれ、またしても多数の死傷者が出てしまう。
ルーサーはテリーが少年たちを強姦していた証拠を手に入れ、テリーを脅してオーウェンの居場所を聞き出す。追い詰められたオーウェンは自殺しようとするが、ルーサーに阻まれ逮捕される。
ルーサーに興味を持ったアリスは、ルーサーに「マドセンを見殺しにしたのか」と執拗に問う。アリスはゾーイの家にも侵入し、ルーサーのことをどう思っているのゾーイに訊ねる。

キルスティン・ロスが誘拐され行方不明になり、現場には血文字が残されていた。犯行の手口が10年前に起きた誘拐事件と酷似していることから、ルーサーたちは10年前に容疑者として浮上するも逮捕に至らなかったルシアン・バージェスの犯行だと確信する。
バージェスは黒魔術に傾倒し、誘拐した女性から抜き取った血を冷凍保存し、体内に注入していた。現場に残されていた血文字の血が10年前に誘拐された被害者のものだと知ったルーサーは、バージェスが10年ごとに犯行を繰り返していることに気づく。
ルーサーとリプリーはキルスティンが拘束されているボートを発見するが、キルスティンはバージェスによって冷凍され、既に息絶えていた。ルーサーはリプリーの反対を押し切ってそのまま現場を後にし、バージェスを罠に掛けて逮捕する。
アリスはルーサーとゾーイの仲を元に戻そうと、不良少女を雇ってマークを襲わせる。ルーサーの差し金だと思い込んだマークは警察に訴えるが、アリスから「犯人はルーサーじゃない」と聞いて起訴を取り下げる。ゾーイはひとりでルーサーのもとを訪ね、無実を信じなかったことをが詫びる。

夜にひとりで帰宅する女性ばかりが狙われる連続殺人事件が発生する。野外で発見された遺体の周りには、いずれも所持品が並べられていた。
犯人のグラハムは被害者がつけていたネックレスを奪い、妻リンダへの誕生日の贈り物としてプレゼントする。リンダはデニスと浮気をしており、グラハムはそのことに気づいていた。
ルーサーは防犯カメラで犯人と思われるタクシーを突き止めるが、ナンバープレートは偽装されていた。捜査の中で被害者と同じパブにいたグラハムが浮上。ルーサーはグラハムの妻リンダを署に呼んで話を聞く。
警察がリンダに接触したことを知ったグラハムは、リンダの浮気相手デニスを殺害。売春婦を家に呼んで殺害しようとするが、駆けつけたリンダと警察によって拘束される。その直後、リンダは落ちていたハンマーでグラハムを殴り殺す。
昏睡状態だったマドセンの意識が戻り、ルーサーは窮地に追い込まれる。アリスはルーサーを助けるため医師になりすまして病院に潜入し、マドセンを殺害する。その事実を知ったルーサーは激怒し、アリスを罵倒する。

アートディーラーのキャロダスの家に強盗が入る。キャロダスは偽物を売りつけて儲けた金をダイアモンドに変え、妻ジェシカと共にリオへ逃亡しようとしていた。犯人グループのボス、シュガーマンは、ジェシカを人質に取りキャロダスにダイヤを渡すよう命じる。
キャロダスは警察に駆け込み、事情を説明。ダイヤはジェシカの体内にあり、真実を話せば犯人グループに殺されると訴える。ルーサーは証拠品のダイヤをキャロダスに持たせ受け渡し場所へ向かわせるが、キャロダスはダイヤを持って逃亡してしまう。
密かに犯人グループと繋がり分け前をもらう予定だったイアンは、彼らが人質を取っていると知ってうろたえる。イアンは犯人グループのトムにジェシカを救出するよう命じるが、トムとジェシカは逃亡に失敗し、シュガーマンに惨殺される。
シュガーマンはジェシカの体内からダイヤを奪って逃走。イアンはシュガーマンの口から事件への関与がバレることを恐れ、ルーサーの制止を無視してシュガーマンを銃殺する。追い詰められたイアンはルーサーの妻ゾーイを脅してルーサーを呼び出そうとするが、ゾーイに裏切られ彼女を殺害する。

イアンはゾーイを銃殺し、その罪をルーサーに着せようと工作する。イアンの策略に気づいたルーサーは逃亡を図るが、ローズたちはルーサーがゾーイを殺して逃げたものと思い込む。
アリスの家に逃げ込んだルーサーは、密かに部下のリプリーに連絡を取り「イアンを信じるな」と忠告する。現場の近くで発見された凶器は、イアンが仕込んだルーサーの銃だった。ルーサーとアリスはリプリーの協力を得て凶器の銃を奪取する。
ルーサーのもとにイアンから「会って話がしたい」という連絡が入る。だがルーサーが呼び出された場所には特殊部隊が待機しており、ルーサーを射殺するため屋上で銃を構えていた。ローズは射殺を命じるが、リプリーに阻まれルーサーは逃亡する。
ルーサーから事情を聞いたゾーイの恋人マークは、ルーサーに協力することを決意。イアンがルーサーと会っている隙にロッカールームに忍び込み、イアンが隠し持っていたダイヤを盗み出す。ダイヤが盗まれたことに気づいたイアンはライフルを持ってマークを追う。
マークにダイヤを盗ませたのは、イアンをおびき出すためのルーサーの策略だった。イアンは「殺してくれ」と懇願し、ルーサーを挑発するためゾーイと関係を持っていたことを明かす。それを聞いたマークはアリスにイアンを殺すよう命じ、アリスはライフルでイアンを撃つ。

感想(ネタバレ有)

終盤の息もつかせぬ展開がたまらんかったです。
特に最終話はハラハラしっぱなしで、画面にクギヅケでした。

いやーそれにしてもまさかねぇ。
まさかイアンがここまでぶっ壊れるとは。驚きです。

最初はちょっとした出来心(強盗を見逃して分け前をもらおうとした)だったのに、人質を巻き込む凶悪犯罪へとエスカレートしたことで、イアン自身もパニックに陥ったのでしょう。

いつもの冷静さを失い、隠蔽工作に必死になればなるほど事態は悪化していき、ついには口封じのために殺人をおかすまでに堕落してしまいました。

イアンに銃口を向けられた時に、ルーサーは「もう手遅れ」だということに気づいて冷酷な判断を下さなければならなかったのだと思います。まぁそれができないところがルーサーなんだけど。

ルーサーとイアンが対峙するラストシーンもスリリングでした。

ゾーイを殺された怒りを必死に抑えようとするルーサー。第1話で連続誘拐犯のマドセンを見殺しにしてしまった時から、ルーサーは心の奥に潜むもうひとりの自分(犯人を許せない自分)と戦っていました。

イアンに挑発されても銃の引き金を引かなかったのは、「もう殺さない」と決めたから。しかし、葛藤に打ち克ったルーサーとは対照的に、マークはイアンへの怒りに囚われ、アリスに発砲を命じました。

なんともやりきれない結末。マーク、この罪を背負って生きていけるのかな…。


アリスとルーサーの関係も魅力的でした。殺人犯の濡れ衣を着せられたルーサーが、アリスの家に逃げ込んだ時の安心感たるや。

アリスはある意味ルーサーの〝影〟で、彼が抱える心の闇でもある。だからこそルーサーはアリスから離れようとするし、同時にどうしようもなく惹かれるんだろうね。アリスもまたしかり。

アリスは両親を惨殺した異常犯罪者なんですが、なぜか憎めません。凶悪な殺人犯をここまでアトラクティブに描けるってすごいなーと感心してしまう。

ルーサーに「助けてくれ」と頼られたときのアリスの表情とかね。嬉しさを隠せなくて、満面の笑顔になっちゃうところがたまらなくチャーミング。惚れます。危険。

アリス役のルース・ウィルソンは、7月17日から始まるミステリードラマ「ミセス・ウィルソン」で主演を務めています。このドラマ、彼女の祖母アリソン・ウィルソンの実話がベースになってるんですよね。こちらも楽しみです。

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