WOWOWの連続ドラマ「コールドケース3-真実の扉-」第5話“夜のドライブ”のあらすじと感想(ネタバレ有)です。
長野から移送する犯人を乗せて、夜のドライブをする百合と高木。そのドライブの間に、拉致された女性の居場所を聞き出そうとしますが…。
いつもとは違う状況が新鮮で、緊張感もあって面白かったです。
元ネタは、アメリカ版「コールドケース」シーズン5第15話“The Road”です。
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ネタバレ有「コールドケース2-真実の扉-」登場人物(キャスト)一覧・全話あらすじ感想第5話「夜のドライブ」のあらすじ
2019年10月。弁護士の久保沙織(織田梨沙)は、谷口翔馬(小久保寿人)との婚約を祝うパーティーの途中、車のライトを消しに席を外したまま失踪する。
2021年。百合(吉田羊)と高木(永山絢斗)は、事件の容疑者・鈴木和也(松澤匠)を長野県警から神奈川県警まで連行する。移動の車中、沙織の居場所を聞き出そうとする百合たちだったが、鈴木は言葉巧みにはぐらかす。
鈴木は物腰がやわらかく目立たないタイプだった。駐車場で沙織に「携帯を貸してほしい」と話しかけ、同じ法律所のパラリーガルだと説明すると、彼女はすっかり信じ込んだと笑いながら語る。
一方、同時に捜査を進めていた金子(光石研)と立川(滝藤賢一)は、鈴木が住んでいた横須賀のアパートに辿り着き、セメントの壁で囲まれた狭く暗い監禁部屋から白骨化した遺体を発見。だが遺体は沙織ではなく、別の女性だった。
鈴木は映像制作会社の編集オペレーターで、沙織が婚約パーティーで披露するはずだった映像を編集していたことが判明。横須賀のアパートで発見された遺体は、同じく映像製作を依頼した客のひとり河野朋美(須藤温子)だった。
もうひとりの被害者である広瀬奈美(万里紗)も含め、3人にはそれぞれ生きる支えがあった。鈴木は森の中にある古い井戸へ百合と高木を誘導する。
鈴木は少年時代、井戸に落ちた女性を見つけ、彼女が絶望して死んでいくときの表情に美しさを見出したと語る。鈴木はその顔を見たいがために幸せそうな女性たちを拉致し、監禁していたのだった。
沙織が生きていることを確信した百合は、彼女が監禁部屋で歌っていたという校歌から、監禁場所が学校のそばにあると推測。監禁場所を突き止め、沙織を救出する。
本木(三浦友和)は刑事部長の井内(利重剛)から、高木の調査報告書を見せられる。一課に不適合な人材だという井内に対し、高木は自分の責任だとして停職を申し出る。
第5話の登場人物(キャスト)
鈴木和也(松澤匠)
2019年10月に失踪した久保沙織の事件に関わっていると見られる身元不明の男。盗難車で事故を起こして捕まり、長野県警に拘束されている。
久保沙織(織田梨沙)
弁護士。2019年10月、婚約パーティーの最中に行方不明になる。意志が強く負けず嫌い。過去の思い出を編集した映像をパーティーで披露する予定だった。
谷口翔馬(小久保寿人)
沙織の婚約者。市民マラソン大会で沙織からプロポーズされた。沙織の生存を信じ、捜査に協力する。
河野朋美(須藤温子)
子供を出産したばかりの主婦。横須賀のアパートで白骨遺体となって発見される。
広瀬奈美(万里紗)
小田原のカトリック教会のシスター。監禁部屋に閉じ込められ、神の存在を信じられなくなって自ら死を選んだ。
井内利夫(利重剛)
刑事部長。第1話で暴行事件を起こした高木に目をつけ、監察に過去の言動を調べさせていた。高木を一課に不適合な人材だと判断し、本木に責任を取らせる。
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ネタバレ有「コールドケース3-真実の扉-」登場人物(キャスト)一覧・全話あらすじ感想第5話で使用された曲
- Official髭男dism「Pretender」
- Official髭男dism「イエスタデイ」
- Little Glee Monster「夢がはじまる」
- 菅田将暉「まちがいさがし」
第5話の感想
不気味な犯人と夜のドライブ
モナコこと織田梨沙さんが登場するシーンに髭男の「Pretender」(コンフィデンスマンJPロマンス編の主題歌)。
ほっこりさせられたのは冒頭だけで、あとはずっと重苦しく不気味な夜のシーン。今回はほぼ原作どおりで、車中のやりとりや森の場面もそのままでした。
犯人役の松澤匠さんに釘付けでしたね…。アメリカ版もなかなかの気持ち悪さでしたが、不気味さ、得体の知れなさは鈴木和也のほうが上回ってました。
幸せな女性たちから“心の支え”を奪い、絶望する表情を見て悦に入るという、とんでもなく悪趣味で卑劣なサイコパス。
原作にはない犯人側の物語を丁寧に描き、共感を誘うことが多かった日本版ですが、今回はバッサリと切り捨てましたね。
閉所恐怖症だったり、セックスに興味がなかったり、幼少時のトラウマを想像させる部分もありましたが、あえて触れず。
徐々に見えてくる異常性に凄味が加わる終盤の森の中のシーンは、そういった部分も含めて想像が膨らみ、いっそう怖かったです。
自分の中のネガティブな部分を全部出した、と犯人を演じた松澤さんは語られていましたが(WOWOWオンデマンド「捜査一課5人の小部屋」より)、見事な憑依っぷりでした。
“5人の小部屋”で課長代理もおっしゃってましたが、このドラマは本当に配役が素晴らしくて、沙織の婚約者役の小久保寿人さんもすごくよかったです(彼が出てくるたびにもらい泣きした)。
高木の代わりに代理が停職処分に
それから気になっていた井内刑事部長。短いシーンなのに際立つねちっこさ。密かに高木を調査させ、一課には不適合だという判断を下しました。
本木さんが自分の責任だと主張し、責任を取って停職処分を受けることに。これは高木にとっては辛いだろうなぁ。次回から代理はいなくなるのか…。
井内さんはシーズン2の第4話でねこさんに殴られたこととか、いろいろ根に持ってるみたいですね。こういうジメジメしたところがいかにも日本の警察っぽい。
コロナの影響で、今回の途中から捜査一課のオフィスの撮影場所がWOWOW本社に変わっているらしいのですが、ぜんっぜんわかりませんでした! すごいな~。
アメリカ版との違い
ここからは、元ネタとなったアメリカ版「コールドケース」シーズン5第15話“The Road”との違いについて説明します。
といっても、内容はほぼ同じでした。車中の会話から映像制作会社の名前(ベストアングル)まで、原作通りでした。ここまでそっくりそのままなのは珍しいですね。
時代設定は日本版が2019年だったのに対し、アメリカ版では2007年です。
沙織と翔馬/ブレンダとデヴィッド
2人の婚約パーティーから始まり、沙織(アメリカ版はブレンダ)が車のライトを消しに駐車場へ行って拉致されるシーンまで、ほとんど違いはありません。
沙織が弁護士であることや、サプライズのDVD(アメリカ版はビデオ)を用意していた点も同じ。大きな違いは現場に落ちていたのが日本版はDVD、アメリカ版はコサージュ、というくらいかな。
ちなみに沙織が乗っていた車は赤のビートル、ブレンダが乗っていた車はボルボでした。
長野/ウェストバージニア
百合と高木は容疑者である鈴木和也を引き取るため、長野県警へ向かいます。アメリカ版では、フィラデルフィアからウェストバージニアへ向かう設定。
犯人の名前は、アメリカ版は「ジョン・スミス」です。英語圏における“ありふれた名前”の代表で、日本でいう「山田太郎」みたいなもの。もちろん偽名。
車中での会話も、ほぼそのまんまでした。百合の香水と勘違いしたのは、日本版では高木のシャンプーでしたが、アメリカ版はスコッティのコロン。
ひとつ日本版で省かれていたのが、犯人がリリー(日本版の百合)の出身地をケンジントンだと言い当てるシーンです。実はこれが重要な伏線になっていました。
横須賀/ニューアーク
日本版では被害者の数は沙織を入れて3人でしたが、アメリカ版は5人でした(駐車違反は4回)。
監禁部屋はアパートではなく、地下室がある家を6000ドルの現金で購入。日本版では横須賀でしたが、アメリカ版ではニューアークでした。
ニューアークは、アフリカ系やヒスパニック系の貧困層が多く住み、治安が悪い町としても知られています(だから偽名でも家を買えた)。
犯人はニューアーク→デトロイト→アトランタ→クイーンズと家を移り、各都市で1人ずつ、女性客を拉致していました。
アメリカの監禁部屋といえば地下室ですよね。日本版では普通のアパートにコンクリートブロック?で壁を作って監禁部屋をこしらえていましたが、ちょっと大変そう。
校歌/教会の鐘
ここまでほぼ原作通りなのですが、百合が沙織の監禁場所に気づく重要なキーポイントとなった「沙織が口ずさむ歌」に違いがありました。
日本版では近くの学校から聞こえてくる「校歌」という設定。アメリカ版では、「教会の鐘が奏でる歌」でした。
なぜリリーがそのことに気づけたかというと、その鐘の音は彼女の出身地であるケンジントンの教会で奏でられていたからです。
そこでようやく、被害者ブレンダの監禁場所がケンジントンであることが判明します(序盤の伏線回収)。
「彼女は夢も希望もない状況で、支えになるものを見つけた。心が折れなかった。諦めなかった。すべてを奪われても、自分を見失わなかった」
百合が鈴木和也に向かって放ったセリフは、アメリカ版のリリーが口にしたセリフと同じでした。
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