映画コンフィデンスマンJP(ロマンス編)感想|すべての登場人物に意味がある

映画「コンフィデンスマンJP」ロマンス編あらすじ感想

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映画「コンフィデンスマンJP」(ロマンス編)を観てきました。

連続ドラマ(2018春)⇒スピンオフ「コンフィデンスマンIG」(2019春)⇒SPドラマ(2019春)⇒映画という順番で、ドラマはいずれも放送時、映画は公開直後に観ました。ハッキリ言って大好きです。

コンゲームなので〝騙されるかどうか〟が大きなポイントなのですが、それだけじゃないのがこの作品の面白いところ。わたしはダー子たちが「何を使って騙すか」「騙した結果、(お金以外の)何を得るか」も毎回楽しみにしています。

でもやっぱり騙されたほうが楽しいので、これから観る方はネタバレを読まずに観てくださいね。

※この記事は結末のネタバレには触れていませんが、ヒントになる情報を含んでいます。ご注意ください

作品概要

  • 製作国:日本
  • 上映時間: 116分
  • 公開日:2019年5月17日
  • 監督:田中亮
  • 脚本:古沢良太(「リーガルハイ」「ミックス。」)
  • 音楽: fox capture plan
  • 主題歌:Official髭男dism「Pretender」

あらすじ

華麗に大胆に人を騙し続ける百戦錬磨のコンフィデンスマン(=信用詐欺師)、ダー子、ボクちゃん、リチャード、そして五十嵐。次なるオサカナ(=ターゲット)は、香港マフィアの女帝で、その冷酷さから<氷姫>という異名を持つラン・リウ。彼女が持つと言われている伝説のパープルダイヤを狙って、3人は香港へ。

ランに取り入ろうと様々な策を講じるが、なかなかエサに食いつかず苦戦する。そんな中、天才詐欺師ジェシーが現れ、同じくランを狙っていることがわかる。そして、以前ダー子たちに騙され恨みを持つ日本のヤクザ・赤星の影もちらつき始め、事態は予測不可能な展開に。騙し騙されの三つ巴の戦いを制するのは誰なのか!?

公式サイトより

予告動画

登場人物(キャスト)

ダー子(長澤まさみ)
詐欺師。香港マフィアの女帝ラン・リウが持つ伝説のパープルダイヤを狙い、ボクちゃん、リチャード、五十嵐、モナコと共に香港へ乗り込む。占い師のフリをしてラン・リウに接触する。

ボクちゃん(東出昌大)
詐欺師。ダー子と共に香港に乗り込む。ラン・リウの心を掴もうと奮闘するも、ジェシーの出現によって計画を狂わされ……。

リチャード(小日向文世)
詐欺師。ダー子と共に香港に乗り込む。ダー子とジェシーの関係を知っており、ボクちゃんたちに話す。

五十嵐(小手伸也)
詐欺師。ダー子と共に香港に乗り込む。ジェシーの出現にやきもきするが、ダー子からはことごとく無視される。

モナコ(織田梨沙)
駆け出しの詐欺師。ダー子にペディグリーペット詐欺を仕掛けて見破られ、弟子入り。香港ではダー子と占い師の姉妹を演じ、ランに接触する。

ちょび髭(瀧川英次)
ダー子たちに協力する調達係。

バトラー(Michael Keida)
ダー子たちがアジトにしている高級ホテルのスイートルームの執事。

ラン・リウ(竹内結子)
香港マフィアの女帝。通称「氷姫」。数百億と言われる伝説のパープルダイヤを所持している。冷酷非情と言われる一方で、ある人物を一途に想い続けているらしい。

ジェシー(三浦春馬)
香港でダー子の前に現れた天才詐欺師。ダー子とはかつて恋仲だったらしい。偶然を装ってラン・リウに接触し、孤独なランの心に入り込む。

高松千鶴(山口紗弥加)
ラン・リウの元家庭教師。ランの過去について語る。

赤星栄介(江口洋介)
※第1話「ゴッドファーザー編」に登場
公益財団「あかぼし」の会長で、日本のゴッドファーザー。以前ダー子たちに20億円を騙し取られたことを恨んでおり、復讐のため刺客を放つ。

桂公彦(小池徹平)
※第9話「スポーツ編」に登場
IT企業「モスモス」社長。バスケットボールチーム「熱海チーターズ」のオーナーでもある。チーターズは赤星が主催するスポーツ大会「赤星杯」で優勝した。

鉢巻秀男(佐藤隆太)
※最終話「コンフィデンスマン編」に登場
元中国系マフィア組織「新・新宿金虎幇」のボス。現在は足を洗って香港に戻り、母親とレンタカー屋を経営している。ラン・リウの大型施設展開に反対し、デモに参加する。

桜田しず子(吉瀬美智子)
※第2話「リゾート編」に登場
元桜田リゾート社長。ダー子たちが香港で宿泊したゲストハウスのオーナー。

城ヶ崎善三(石黒賢)
※第3話「美術商編」に登場
美術商。パープルダイヤの鑑定を行う。部屋には今も山本巌の「初恋」の絵がある。

矢島理花(佐津川愛美)
※第7話「家族編」に登場
資産家・与論要造の娘。スリの常習犯で服役していたが、現在は出所してリチャードの下で詐欺師の修行中。

キンタ(岡田義徳)
※第7話「家族編」に登場
詐欺師。本名は成田太郎。以前、ダー子たちと与論要造の遺産を分け合った仲。遊園地で財布を盗もうとしてボクちゃんに見つかり、咎められる。ボクちゃんにある噂を教える。

ギンコ(桜井ユキ)
※第7話「家族編」に登場
詐欺師。本名は蟹江花子。キンタの相棒。キンタと組んで遊園地で財布を盗もうとする。

鈴木さん(前田敦子)
※第7話「家族編」に登場
ダー子の子猫ちゃんのひとり。以前、資産家・与論要造の長女のフリをしてキンタとギンコを騙したことがある。今回のキーパーソン。

感想と解説(ネタバレなし)

新メンバー、モナコが加入

連続ドラマではダー子、ボクちゃん、リチャードの3人に、五十嵐、ちょび髭がたまに加わるという流れでしたが、今回は新メンバーが加入しました。

ダー子に弟子入りした駆け出しの詐欺師・モナコです。
そしてこのモナコがなかなかいい仕事をするのです。

古沢良太さんの脚本は、どの登場人物もないがしろにしないというか、上手に生かしますよね。モナコに限らず、今回登場するゲスト俳優の皆さん全員が「おいしい」です。

観終わった後は、あの人もこの人もみんなステキに見えてしまう。

ダー子の恥ずかしい過去

今回の舞台は香港。
〝オサカナ〟は竹内結子さん演じる香港マフィアの女帝ラン・リウ

冷酷非情ゆえに「氷姫」と呼ばれる彼女の懐に潜り込むため、ダー子とモナコは占い師の姉妹に扮して接触しますが、常に用心深く他人に心を開かない彼女はなかなかエサに食いつきません。

さらに、同じく氷姫をターゲットにする天才詐欺師ジェシー(三浦春馬さん)が現れ、ダー子たちは苦戦することに。

ジェシーはダー子の元恋人(ただしダー子は否定している)で、危険な匂いが漂う結婚詐欺師。案の定ダー子を誘惑して手を組もうと言い出します。

ダー子とジェシーのラブラブな過去シーンには「ゴースト/ニューヨークの幻」や「レオン」のパロディシーンが盛り込まれ、コンフィデンスマンにあるまじき雰囲気。

ダー子にとって、ジェシーとの恥ずかしい過去は黒歴史なのでした。

すべての登場人物に意味がある

ダー子とジェシーの再会、ボクちゃんとダー子の関係、ラン・リウの恋、パープルダイヤの行方、赤星栄介の復讐……と、それぞれのストーリーが同時進行していきます。

騙されていることはわかるものの、「どこから騙されているのか」がわからない。
終盤、ある重要人物が観客の心情を代弁してくれました。

「いつから? いったいいつからなんだ……?」

別々のストーリーだと思われた複数の「点」が繋がって、最後にひとつの「線」が完成した瞬間の爽快感。腹に落ちるとはまさにこのこと!

スケールの大きな映画版だけあって、ラストのどんでん返しの気持ちよさは格別でした。ネタバレになるので詳しくは語れないけど、すべての登場人物に意味がある!

その演技は誰を騙すため?

コンゲームの面白さのひとつは、俳優さんたちの演技が多重構造になっていることだと思います。

たとえばダー子は、劇中でターゲットを騙すために別人を演じています。
長澤まさみさんは別人を演じるダー子を演じることで、観客を騙しています。

しかし観客であるわたしたちにとって、俳優に騙されることは日常です。

テレビやスクリーンで誰かを演じている長澤まさみさんを見るのは、ごく当たり前のこと。むしろ誰も演じていない長澤さんを見る機会のほうが少ない。なので、わからなくなってしまうんですよね。

「誰を騙すための演技か」に気づくことがポイントなのですが、これを見抜くのが非常に難しい。

映画「去年の冬、きみと別れ」でも思いましたが、映像作品で視覚的なトリックを上手に使われると、わたしのようなシロウトは簡単に騙されます^^;

演じている俳優さんたちは混乱したりしないのかな?

次のオサカナは?

エンドロールの後で、ダー子たちが次のオサカナに罠を仕掛ける場面がちょっとだけ映りました。これを見ると、時系列的には映画本編⇒SPドラマ⇒エンドロール後という流れになっていることがわかります。

もっといろいろ(あれもこれも)語りたいのですが、ネタバレになってしまうので我慢。あとは作品を観てください。

新メンバーも加入したことですし、この作品はぜひシリーズ化してこの先も続けてほしい。またダー子たちに会えるのを楽しみにしています。

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