フジ月9ドラマ「コンフィデンスマンJP」第3話(美術商編)。
今回の仕掛けは割と単純でしたね。あちこちに仕込まれる美術ネタが楽しかったです。騙されるってわかってても面白い。
ダー子はどんな扮装をしても似合うなぁ♪
Contents
第3話(美術商編)あらすじ
画家志望の美大生・須藤ユキ(馬場ふみか)と知り合ったボクちゃん(東出昌大)。ユキが高名な美術評論家・城ケ崎善三(石黒賢)にもてあそばれ、自殺未遂にまで追い詰められたことを知ったボクちゃんは、ダー子(長澤まさみ)、リチャード(小日向文世)と共に城ヶ崎から金を奪おうと計画する。
ダー子は中国人バイヤー“王秀馥”に扮して城ケ崎のオークションハウスに潜入。大量の作品を買い上げて彼の信頼を得る。さらに、ダー子は旧知の贋作画家・伴友則(でんでん)にピカソの贋作を依頼。古美術商に扮したボクちゃんを通じて城ヶ崎に売りつけようとする。
しかし城ヶ崎はこれをひと目で贋作と見破り、伴は逮捕、計画は頓挫する。ダー子は画家そのものを作り出す作戦に変更し、“山本巌”という架空の画家を生み出す。
無名の画家“山本巌”に価値を見いだした城ヶ崎は、ダー子たちが仕組んだ偽の山本家から3億5000万円で“山本巌”の作品を購入。しかしそれらの絵は、すべてボクちゃんとリチャードが描き起こしたモノだった。
城ヶ崎を失墜させ、ユキの恨みを果たしたボクちゃんは、早速ユキに会うため彼女が開いた個展に出掛ける。だが、ユキは既に新しいパトロンを見つけ、城ヶ崎のことなどすっかり忘れていた。
第3話(美術商編)キャスト
ダー子……長澤まさみ
ボクちゃん……東出昌大
リチャード……小日向文世
城ケ崎善三……石黒賢
須藤ユキ……馬場ふみか
伴友則……でんでん
第3話(美術商編)感想
もっとぶっ飛んでてもいいと思うけど
今回はボクちゃん(視聴者)が騙されるという“どんでん返し”はなく、普通にターゲットを騙して終わりましたねぇ。それだけでも充分面白いんだけど、前の2回でハードル上がってて、ちょっと物足りないと感じてしまいました。
わたしはもっとぶっ飛んでてもいいと思うけど、そのへんの好みは人ぞれぞれなので、さじ加減が難しいのかな。
そういえば脚本の古沢良太さん、「週刊フジテレビ批評」でこんなことを語ってました。
僕は制約も大好き人間なんで。限られたこの人たちだけが見ればいいっていうのよりは、みんなが見られるものにどうやってなるか。テレビのお茶の間で、圧倒的な人たちを相手に、老若男女相手に作る。放送コードやスポンサーや、いろんなことに、いろんな制約をかいくぐっていくことに、それでも面白くするっていうところにやりがいを感じたりもするので。
そうなんですね~。「もっと自由に好き放題書かせてほしい!」って思ってるのかと思ってた。「制約があっても面白いものは書ける」っていう自信があるからこその言葉なんだろうなぁ。すごいなぁ。
ちなみに古沢さん曰く、ダー子は「ドラマ至上もっとも無軌道な主人公」として考えたキャラ。「リーガルハイ」の古美門先生は「ドラマ至上もっとも性格の悪い主人公」だそうです。
フリーダ・カーロとかフォーヴィスムとか
今回はいろいろな美術ネタが盛り込まれていました。
わたしも「聞いたことはあるけどよくは知らない」言葉がたくさん出てきたので、いくつか調べてみました。
フリーダ・カーロ
長澤まさみさんがフェルメール風の絵を描いていたときに扮装してたのは、1907年生まれのメキシコの画家、フリーダ・カーロでした。
メキシコの現代絵画を代表する画家であり、民族芸術の第一人者とも。生涯に200点を越える作品を世に残しましたが、その大半が自画像でした。
そのことについてフリーダは、「私はほとんどの時間を一人で過ごすし、自分のことは自分がいちばん知っているから、自分を描くのです」と語ったとか。
映画「リメンバー・ミー」にも登場してましたね(日本語吹替は渡辺直美さんが担当)。
フェルメール
ダー子がフリーダ・カーロに扮して描いていた絵の元ネタは、1632年生まれのオランダの画家、フェルメールの「青いターバンの少女(真珠の耳飾りの少女)」。
フェルメールはこれまでに30数点の作品が確認されていますが、生涯についてはほとんど不明。その静謐な画面の真価が認められたのは19世紀後半でした。今では17世紀オランダ絵画の巨匠とされています。
ちなみにダー子が描いた絵のその後ですが、「パール、あるいは、少女」という題でネットオークションに出したところ、すごい高値がついたみたいです。
フォーヴィスム(仏: fauvisme)
1905年―1907年、フランスでマティス、ブラマンクらが興した絵画運動。〈野獣主義〉と訳される。荒々しい筆触と鮮明な原色を用いることから〈野獣fauve〉にたとえられた。ゴッホ、ゴーギャンの影響が強く、前者からは強い任意の色彩による感情表現を、後者からは色彩それ自体の秩序に基づく非写実的な画面構成を受け継いだ。
百科事典マイペディアより
作品を見た批評家が、「あたかも野獣(フォーヴ、fauves)の檻の中にいるようだ」と評したことから命名されたらしいです。フォーヴィスムは1908~09年頃には自然に解消。多くはキュビスムの方向へ進んだと言われています。
今回の立役者“山本巌”は「日本的フォーヴィスムの先駆者」という設定でした。
キュビスム(仏: cubisme)
20世紀初めに、フランスを中心に興った美術運動。対象を複数の角度から幾何学的面に分解し、再構成する技法を創出。現代抽象美術に大きな影響を与えた。ピカソ・ブラックらが代表。立体派。キュービズム。
デジタル大辞泉より
キュビスムの出発点は、ピカソが1907年に描いた「アビニヨンの娘たち」。当時は友人たちから酷評されたようです。
ボクちゃんが適当に描いたリンゴの絵を見て「キュビスムの影響が早くも見られる。早すぎた天才だな!」と悦に入る城ヶ崎、最高に面白かったわ。
今回のお気に入りは
今回のキャラでいちばんのお気に入りは、山本巌の親戚になりすました小日向さん。
巌の作品を見つけて興奮する城ヶ崎の背後で、ボーッと立ってる姿が最高だった。前回の議員秘書、前々回の船長ような偉い役もいいけど、やっぱり小日向さんの演じる普通のおじさんはピカイチだわ。
撤収する際に「あの居間にカエル置いたの誰?どういう設定?」って言いながら立ち去ったとこ、今回イチ笑ったわ~。
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