ネタバレ有*WOWOW「華麗なる一族」全話あらすじ・感想・キャスト

WOWOWドラマ「華麗なる一族」あらすじキャスト

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WOWOWの連続ドラマ「華麗なる一族」(全12話)についてまとめました。

富と権力をめぐる人間の野望と愛憎を描いた山崎豊子の傑作小説『華麗なる一族』を、豪華キャストでドラマ化。

大阪万博間近の日本高度経済成長期、関西の政財界で閨閥(妻の親類を中心に結ばれた勢力)を張り巡らす阪神銀行の頭取・万俵大介を中心に、一族の繁栄と崩壊が描かれます。

70年代のファッションやインテリア、時代背景にも注目。

作品概要

  • 放送局:WOWOWプライム
  • 放送時間:2021年4月18日(日)から毎週日曜夜22:00~ほか
  • 原作:山崎豊子『華麗なる一族』
  • 脚本:前川洋一(「アキラとあきら」「孤高のメス」)
  • 監督:西浦正記(「コードブルー」シリーズ)/池澤辰也(「ミラー・ツインズ」)

あらすじ

高度経済成長期の日本。預金高10位にランクされる阪神銀行のオーナー頭取、万俵大介(中井貴一)は、銀行のほかにも多くの事業を手掛ける万俵コンツェルンの総帥だった。大介は長女・一子(美村里江)の夫である大蔵省のエリート官僚の美馬(要潤)から、都市銀行再編の動きを聞きつけ、生き残りを目指して大手銀行を吸収合併しようと画策する。
その一方で、万俵家には、大介の妻・寧子(麻生祐未)と、阪神銀行と同じく万俵コンツェルンを支える柱の一つである阪神特殊製鋼の専務取締役の長男・鉄平(向井理)、阪神銀行に勤める次男・銀平(藤ヶ谷太輔)、次女・二子(松本穂香)、三女・三子(福本莉子)のほかに、長く同居する大介の愛人・相子(内田有紀)の存在があった。家庭内で大きな力を持ち、万俵家の閨閥づくりを推し進める相子の存在を鉄平たちは疎ましく思っていた。さらに鉄平は、悲願としていた高炉建設の融資をめぐって大介と対立し、2人は確執を深めていく。

原作について

このドラマの原作は、山崎豊子さんの長編小説『華麗なる一族』(1973年刊行)です。

『沈まぬ太陽』『白い巨塔』と並ぶ著者の代表作と言われる作品です。

過去に何度も映像化されていて、1974年には佐分利信さん主演で映画化、同年に山村聡さん主演で連続ドラマ化。2007年には木村拓哉さん主演で連続ドラマ化されました。

実はわたし、山崎作品に関しては原作はおろか過去の映像作品なども一度も見ていない、まったくの白紙状態です(ちょっと苦手分野なのです)。なので今回のドラマを新鮮な気持ちで楽しみたいと思っています。

登場人物(キャスト)

万俵家

万俵大介(中井貴一)
阪神銀行頭取で、万俵コンツェルンの総帥。金融業界における再編成・合併の話を聞きつけ、万俵家の生き残りをかけて壮絶な戦いを繰り広げていく。ある理由から、亡き父・敬介に瓜二つの長男・鉄平を疎んでいる。

万俵鉄平(向井理)
大介の長男。阪神特殊製鋼・専務。マサチューセッツ工科大学に留学経験があり、技術者としても優秀。社員たちに慕われ、寧子や銀平、妹たちからも愛されている。万俵財閥の創設者である亡き祖父・敬介に容姿が似ている。

万俵銀平(藤ヶ谷太輔)
大介の次男。阪神銀行貸付二課課長。常に冷静な判断ができる切れ者だが、銀行の仕事にやりがいを見出せずにいる。万樹子との閨閥結婚に対しても事務的で、冷めた態度を取る。

万俵寧子(麻生祐未)
大介の妻。戦前に京都の公卿家族から嫁いできた。家のことは何ひとつできず、夫の愛人・相子との同居を強いられ、過去に自殺を図ったことがある。子供たちの幸せを何よりも願っている。

高須相子(内田有紀)
大介の愛人。アメリカへの留学経験がある才色兼備の女性。万俵家の縁談を仕切り、閨閥作りを担っている。もともとは家庭教師として万俵家に入り、次第に家の中全体を仕切るようになった。

美馬一子(美村里江)
万俵家の長女。母・寧子に似て清楚で控えめな性格。閨閥のため、美馬中と強引に結婚させられた。自分のようになってほしくないと、妹・二子の閨閥結婚を強引に進める大介に反対するが…。

万俵二子(松本穂香)
万俵家の次女。本人は嫌がるも、佐橋総理夫人の甥・細川との閨閥結婚を強引に進められる。鉄平の部下でアメリカから戻ってきた一之瀬四々彦に惹かれていく。

万俵三子(福本莉子)
万俵家の三女。好奇心旺盛で楽観的な性格。

万俵早苗(笹本玲奈)
長男・鉄平の妻。かつて通産大臣と国務大臣を歴任した大川一郎の娘。夫の良き理解者。

安田万樹子(吉岡里帆)
次男・銀平の見合い相手。阪神銀行の株主である大阪重工・安田太左衛門の娘。明るく開放的な性格だが、結婚後に万俵家の秘密を知って希望を失う。夫である銀平との関係にも悩む。

美馬中(要潤)
長女・一子の夫。大蔵省主計局次長。銀行局の機密資料を持ち出すなど大介の命令に従う一方で、大介の愛人・相子に惹かれていく。

阪神銀行

芥川秀之(高嶋政伸)
阪神銀行常務。“忍者部隊”と呼ばれる東京事務所の所長。情報収集のため機敏に立ち回る大介の右腕。

渋野(堀部圭亮)
阪神銀行常務、融資担当。阪神銀行の体質改善を図るためという名分で、能力厳選主義で選び抜かれ、抜擢されたエキスパート。

大亀(井上肇)
阪神銀行専務、経理担当。大介が人間的な弱さを安心して露呈できる存在。

速水英二(細田善彦)
大介の秘書。次男・銀平と同じ年で、同じ大学で経済を学び、同期で阪神銀行に入社した。冷徹な大介の言動に、眉をしかめる場面も。

角田(相島一之)
阪神銀行池田支店の支店長。全国支店長会議で大介と言葉を交わし、期待に応えるべく昼夜問わず融資調達に勤しむが、無理がたたって亡くなってしまう。

曽我(音尾琢真)
阪神銀行の顧問弁護士。

大同銀行

三雲祥一(石黒賢)
阪神特殊製鋼のサブバンクである大同銀行の頭取。日銀出身で、生え抜きの専務・綿貫と対立する。長男・鉄平が留学時に現地の駐在参事をしていたことから、互いに懇意にしている。鉄平の高炉建設を支援し、多額の融資を引き受ける。

綿貫千太郎(六角精児)
大同銀行の専務。生え抜き派の筆頭格で、日銀天下りの人事に不満を抱えている。頭取の三雲が阪神特殊製鋼に肩入れしていることを快く思っておらず、融資に反対する。

阪神特殊製鋼

一之瀬潔(加藤雅也)
阪神特殊製鋼の工場長。四々彦の父。鉄平と同じく高炉建設を夢見ている。

一之瀬四々彦(工藤阿須加)
阪神特殊製鋼の社員。一之瀬工場長の息子。アメリカ留学を終えて帰国し、高炉建設に取り組む精悍な若者。

銭高孫六(甲本雅裕)
阪神特殊製鋼の常務。元阪神銀行本店の融資部長。大介の意向で経理担当役員として送り込まれ、密かに大介と連絡を取り合う。

石川正治(長谷川初範)
阪神特殊製鋼の社長。優柔不断で、鉄平が推し進める高炉建設にも消極的。

政治家・官僚

永田格(石坂浩二)
大蔵大臣。銀行を再編成(合併)して大型化させる金融再編成を考えている。たびたび大介と密会し、腹を探り合う。

春田透(飯田基祐)
大蔵省銀行局長。“太平洋ベルト地帯”を背景にした大合併の構想を立てる。

田中松夫(温水洋一)
大蔵省銀行局の検査官。美馬に退官後のポストを用意すると持ちかけられ、機密資料を渡す。

田淵円三(小野寺昭)
大蔵省幹事長。

法華(マギー)
大蔵省の次席検査官。

大川一郎(永島敏行)
元通産省大臣。早苗の父。鉄平の高炉建設を支援する。

佐橋(伊武雅刀)
総理大臣。

そのほか

つる子(萬田久子)
東京麻布の「つる乃家」の大女将。普段は大阪新町の店にいる。万俵家とは先代の敬介からの付き合い。

芙佐子(田中麗奈)
「つる乃家」の若女将。つる子の養女。鉄平の亡き祖父・敬介とつる子に関する秘密を知っている。

安田太佐衛門(中村育二)
安田重工の社長。次男・銀平の見合い相手となる万樹子の父。阪神銀行の筆頭株主でもある。

小森章子(新川優愛)
画家の卵。銀平の元恋人。鉄平が出張でアメリカを訪れた際、偶然再会する。

細川一也(宮田俊哉)
佐橋総理夫人の甥。東大法学部卒で、帝国製鉄秘書課勤務のエリート社員。外務官僚の小泉夫人の遠縁で、二子と見合いをすることになる。

大垣市太(小倉久寛)
老狩猟。鉄平の祖父・敬介をよく知る人物。

兵藤(モロ師岡)
帝国製鉄の副社長。

各話のあらすじ(ネタバレ有)

1967年元旦。阪神銀行頭取の万俵大介(中井貴一)は、長男・鉄平(向井理)、次男・銀平(藤ヶ谷太輔)とともに不吉の前兆と言われる朝焼けを見る。日に日に容姿が亡き父・敬介に似てくる鉄平に、大介は複雑な思いを抱く。
大介は長女・一子(美村里江)の夫で大蔵省に勤務する美馬中(要潤)から、政府が金融再編成を促進しようとしているという情報を得る。銀行間の競争が激しくなれば、業界10位の阪神銀行は上位銀行に飲み込まれる。大介は金融界に吹き荒れるであろう嵐に立ち向かうべく、密かに準備を進める。
一方、阪神特殊製鋼の専務である鉄平(向井理)は、原料を他社からの供給に頼る不安定な状態から脱却すべく、自社での高炉建設という大事業に乗り出す決意をし、巨額融資を父・大介に依頼する。
仕事に情熱を燃やす兄・鉄平を、羨望と憧れのまなざしで見つめる次男・銀平。銀平は父の愛人で万俵家を取り仕切る高須相子(内田有紀)が進める縁談にも、銀行の仕事にも魅力を感じられず、無気力な毎日を送っていた。
大介は金融再編成に関する詳しい情報を得ようと、大蔵大臣の永田格(石坂浩二)に接触。「合併は規模の大小だけで決められるものではない」という永田の発言に、活路を見出す。

相子は銀平の閨閥結婚の相手に大阪重工の社長令嬢、安田万樹子(吉岡里帆)を選ぶ。結婚に前向きな万樹子に対し、銀平は事務的な態度で見合いに臨む。
大介は“小が大を食う合併”を実現させるため、娘婿の美馬に各行の業容を記載した機密資料を大蔵省から持ち出してほしいと頼む。美馬は銀行局検査官の田中松夫(温水洋一)を買収し、資料のコピーを入手する。
鉄平は高炉建設に向けて元通産大臣で義父でもある大川一郎(永島敏行)に口添えを頼み、旧知の仲でもある大同銀行の三雲祥一(石黒賢)に融資を依頼。通産省の許可が下り、夢への第一歩を踏み出そうとする。だが大介は「時期が悪い」と考え始めていた。

大介が全国支店長会議で一兆円預金獲得の大号令を宣言する最中、預金順位第9位の平和銀行で不正融資事件が発生したという知らせが届く。
全国支店長会議で大介と言葉を交わした池田支店の角田(相島一之)は、大介の期待に応えるため昼夜を問わず融資調達に勤しみ、5億円のノルマを達成した直後に心筋梗塞で亡くなる。
大蔵省では平和銀行と阪神銀行を合併させる案がのぼり、大介はその前に「小が大を食う合併」を実現させようと第7位の産城銀行に狙いを付ける。
資金内容を良くしておくために、大介は阪神特殊製鋼への融資削減を決定。それを知った鉄平は大介に再考を懇願するするが聞き入れてもらえず、2人は激しく言い争う。鉄平は「これ以上お父さんには頼みません」と言い捨てて立ち去る。

鉄平はサブバンクの大同銀行に、阪神銀行から削減された10億円の追加融資を依頼する。高炉計画そのものに欠点はないという鉄平の言葉を信じ、頭取の三雲は増額を承諾する。
一方、大介は産城銀行との合併を狙い、芥川ら“忍者部隊”に情報収集させ、水面下で産城銀行と平和銀行の合併話が進んでいるという情報を得る。さらに、産城銀行の日下部頭取と自由党の田淵幹事長の癒着関係を知った大介は、やむなく産城銀行との合併を断念。新しい合併相手を探すと同時に、産城銀行と平和銀行の合併を潰すべく動き出す。
銀平と万樹子の結婚式が行われ、万樹子は晴れて万俵家の一員となる。だが自分が閨閥づくりの道具だったことや、大介の妻妾同衾生活を知ってしまった万樹子は、欺瞞だらけの万俵家に嫁いだことを後悔し、銀平の前で泣き崩れる。
相子は大介の計画を後押しするため、次女・二子の結婚相手にふさわしい佐橋総理の縁戚を探し始める。だが一之瀬四々彦に夢中の二子は、「自分の結婚相手は自分で決める」と相子を無視していた。

大介は産城銀行に不正融資の疑いがあるという情報を掴む。産城銀行の日下部頭取が女性問題で総会屋に脅され、口止め料代わりに3億5000万円を融資したというのだ。しかもその金の大半は田淵幹事長に吸い上げられていた。
産城銀行と平和銀行の合併をなんとしても阻止したい大介は、その情報を持って永田大臣に探りを入れる。政敵である田淵幹事長をのさばらせたくない永田大臣は、大介が情報を公表することを暗に後押しする。
大介は東京事務所所長の芥川に命じ、毎朝新聞の記者に情報を流して記事を書かせる。記事によって産城銀行の不正融資問題が明るみに出ると、産城銀行と平和銀行の合併は頓挫する。
高炉建設に邁進する鉄平のもとに、大口取引先アメリカン・ベアリング社から船積みを待ってほしいという電報が届く。交渉のためアメリカを訪れた鉄平は、同社が新興コングロマリットに買収され、先の見通しが立たないと知って動揺する。
そこへ、鉄平の妻・早苗の父であり、高炉建設を支援してくれた元通産省大臣の大川が腹部動脈瘤で倒れ、重体だという知らせが入る。

鉄平のよき理解者であり、高炉建設を支援してくれていた義父・大川が急死する。アメリカン・ベアリング社への輸出再開のめども立たず、鉄平は不安を抱えたまま年を越す。
万俵家は例年通り志摩観光ホテルで新年を迎え、大介と鉄平、銀平たちは恒例のキジ狩りに出かける。鉄平は飛び立ったキジを狙って反射的に引き金を引くが、銃口のその先には大介がいた。銃弾はあたらなかったものの、激怒した大介は家族の前で鉄平を詰責する。
鉄平は贔屓にしている「つる乃家」の若女将・芙佐子(田中麗奈)が、祖父とつる子(萬田久子)の実の娘であることを知る。そして芙佐子や父・大介のこれまでの言動から、自分も祖父の子供である可能性に思い至り、動揺する。
美馬と相子は佐橋総理夫人の甥・細川一也(宮田俊哉)と二子の縁談を密かに進め、嫌がる二子に悟られないよう、偶然を装って2人を会わせる。
美馬からの情報で、大蔵省銀行局長の春田(飯田基祐)が“太平洋ベルト地帯”を背景にした大合併の構想を立てていることを知った大介は、それを利用して他行の内部事情を探ろうと考えていた。そんな折、鉄平はアメリカン・ベアリング社から正式にキャンセルを通告され、5億7600万円の前金を返金するために阪神銀行に融資を願い出る。
しかし大介は2億8000万円のみ融資すると言い、さらにその分は今月の高炉建設の設備資金の中から差し引くと言い放つ。

鉄平は大同銀行の三雲に事情を説明し、もう一度融資してもらえないかと頼む。専務の綿貫(六角精児)は反対するが、三雲は強引に阪神特殊製鋼への追加融資を決定する。綿貫は阪神特殊製鋼に探りを入れ、専務の鉄平と経理の銭高(甲本雅裕)がうまくいっていないことや、経営状況が思わしくないことを知る。
阪神銀行に大蔵省の銀行監査が入る。芥川はベテラン検査官の法華(マギー)を取り込むため、接待の席に彼のかつての先輩で元銀行局検査官の田中(温水洋一)を同席させる。
万樹子は妊娠するが、夫の銀平に言い出すことができない。「自分の子供ができれば喜ぶはず」という義母・寧子の言葉を信じて銀平に打ち明ける万樹子だったが、銀平は「僕のような人間をこれ以上作りたくない」と冷たく言い放つ。
次女・二子は四々彦と二人きりで食事をし、距離を縮めていく。それを知った相子は、細川との見合いの日取りを勝手に決めてしまう。大介は二子と四々彦の仲を認めるような発言をした鉄平に、「口を出すな」と釘を刺す。
五行連合の初会合に出席した芥川は、綿貫が日銀出身の三雲を快く思っていないことを知る。大介は合併候補を探るため、綿貫との関係を深めて本音を探るよう芥川に指示する。

大同銀行では綿貫専務ら生え抜き派と、三雲頭取ら日銀派の対立が深刻化。大同銀行との合併をもくろむ大介は、不満を抱える綿貫専務を取り込もうと動き始める。
資金繰りに悩む鉄平は“つる家”で大介と会い、大同銀行の三雲頭取が心中覚悟で高炉建設を支援してくれていると語る。それを聞いた大介は顔色を変え、インパクトローンを導入できるよう手はずを整えてやると約束する。
万樹子は男の子を流産し、毎晩帰りが遅い銀平を責める。万樹子が二度と妊娠できないかもしれないと聞いた大介は、「自覚を持て」と銀平を叱りつける。万俵コンツェルンの総帥になるのは兄・鉄平ではなくお前だと大介から聞かされ、動揺する銀平。
鉄平は一時中止を訴える経理担当・銭高の反対を押し切り、高炉建設完成に向けて突貫工事を行う。それを聞いた大介は、銭高に「融資はしない」と断言。鉄平に約束したインパクトローンの件も実行するつもりはないと心の内を明かし、大同銀行の持ち株を増やすよう指示する。
二子はしぶしぶ細川との見合いに応じ、ついに結納の日取りが決まってしまう。四々彦に自分の気持ちを伝えるが、四々彦は結納まで決まっている二子との付き合いに不安を抱き、「高炉が完成するまでは結婚を考える余裕がない」と告げる。
高炉完成まであと二か月となったとき、建設現場で大規模な爆発事故が起こる。

阪神特殊製鋼の高炉爆発事故は死傷者を出す大惨事となり、鉄平はマスコミや犠牲者遺族から責任を追及される。高炉建設は少なくとも半年は遅れることとなり、大同銀行では今後の阪神特殊製鋼への融資について緊急会議が行なわれる。
従来通りの融資方針でいくという三雲ら日銀派に対し、綿貫ら生え抜き派は慎重を期して手を引くべきだと考えていた。
これをチャンスと捉えた大介は綿貫を京都に呼び出し、大同銀行との合併計画を打ち明ける。合併後に副頭取のポストを用意すると持ちかけられた綿貫は、大介の計画に協力することを約束する。
さっそく綿貫は大介の指示で事故処理委員会を開き、阪神特殊製鋼に融資している各銀行の担当役員を集める。そこで阪神特殊製鋼の財務内容を調査することが決定し、長期開発銀行が調査にあたることに。
万樹子は手術をすれば妊娠の可能性があると医師に言われるが、銀平は「そんなことまでして子供は要らない」と冷たく言い放つ。傷ついた万樹子は離婚を決意し、実家に帰ってしまう。
資金が底をつき支払手形の決済ができなくなった鉄平は、大介に融資を頼み込む。鉄平が自分との血の繋がりに疑いを持っていることを知った大介は、長年取引のある五菱商事の保証書を持ってくれば融資をしてやると厳しい条件を出す。
その一方で、大介は大同銀行との合併計画を着々と進め、綿貫に大同銀行の機密書類を持ち出させていた。

大介と三雲は長期開発銀行の担当者から、阪神特殊製鋼の財務調査の結果を聞かされる。経営状況は末期的症状であり、立て直しは困難であると同時に、融資比率がメインの阪神銀行よりも大同銀行の方が多くなっていることが判明。三雲は愕然とする。
鉄平に問い詰められた経理担当の銭高は、見せかけ融資は自らの判断だったと主張し、大介の関与を認めない。三雲は大介に何らかの意図があったのではないかと疑いながらも、阪神特殊製鋼の経理上の欠陥を指摘し「経営者として失格だ」と鉄平を叱責。早急に大介と会って打開策を考えるよう促す。
しかし大介は鉄平との話し合いを頑なに拒み、阪神特殊製鋼を帝国製鉄の子会社である昭和特殊製鋼と合併させるべく、ひそかに手はずを整えていた。さらに大蔵大臣の永田と面会し、賄賂と引き換えに大同銀行との合併に協力することを約束させる。
阪神銀行に呼び出された鉄平は、会社更生法の適用を受けるよう告げられる。自主更生を望む鉄平は必死に食い下がるが、大介の考えは変わらなかった。

阪神特殊製鋼が倒産し、対応に追われる鉄平。記者会見では、高炉建設に踏み切った責任を問われる。
鉄平は大介が意図的に阪神特殊製鋼を経営不振に陥れ、帝国製鉄への身売りを企てたと指摘し、それには鉄平自身の出生が関わっているのではないかと大介に詰め寄る。大介を許せない鉄平は、大介が自社への不利益行為を行ったとして背任を告訴する。
大介は帝国製鉄への吸収合併を考え直すと鉄平に約束する一方で、顧問弁護士の曽我(音尾琢真)に命じて阪神特殊製鋼の管財人に帝国製鉄の常務・和島(池田成志)を選任させる。
和島によって鉄平は専務取締役を解任され、告訴状も取り下げられてしまう。大介の策略だと気づき、四々彦たち工員に見送られながら会社を去る鉄平。四々彦は会社を辞め、アメリカへ行くことを決意。二子に「仕事が決まったら迎えに行く」と約束する。
大介から与えられた家を出ることを決めた鉄平は、寧子に自らの出生を問う。寧子は「私が産んだ子です」と答えながらも、父親について問い詰められると「許しておくれ」とすすり泣く。
大同銀行の綿貫は役員たちから阪神銀行との合併に対する同意を得ることに成功し、連判状を作成。後日、大介は大蔵省銀行局長の春田と密会し、その場に綿貫を同席させて連判状を差し出させる。

三雲は大蔵省に呼び出され、永田大臣から阪神銀行との合併を勧告される。三雲は役員会を開くが、綿貫ら生え抜き派は合併に賛同し、三雲に連判状を叩きつける。すべては大介の計画通りとなり、三雲は綿貫らに後を任せて退陣する。
四々彦がアメリカへ行くことが正式に決まり、二子は細川に婚約解消を申し入れる。閨閥結婚に反対する銀平と一子は、二子には自由な結婚をさせてやりたいと大介に訴える。銀平は万樹子との関係は終わっていると大介に伝え、万樹子の父・安田太佐衛門も「娘は返しません」と大介に告げる。
大介は大同銀行との合併によって誕生した新銀行「東洋銀行」の頭取に就任。副頭取には綿貫が就任する。丹波篠山に籠もっていた鉄平は、新聞でその事実を知り衝撃を受ける。大介の狙いが大同銀行との合併だったことに気づいた鉄平は絶望し、翌日猟銃を持って出かけ、雪山で自殺する。
鉄平自殺の知らせを受け、遺体が安置されている警察を訪れる大介。鑑定により鉄平の血液型がB型だとわかり、自分と妻・寧子の実の子であることを知らされる。葬儀の後、鉄平が暮らしていた家を訪れた大介は、ひとり泣き崩れる。
二子と四々彦はアメリカで結婚式を挙げることが決まり、銀平と一子に見送られて旅立つ。新銀行の頭取として東京で暮らすことになった大介は、マスコミや世間の目を恐れ、相子に手切れ金を渡して愛人関係を終わらせる。
東洋銀行設立披露宴が華やかに催される中、美馬は永田大臣に呼び出され、次官に昇進した春田の後任として時期銀行局長の内定を受ける。永田のもくろみは、東洋銀行を上位4行のひとつである五菱銀行に吸収合併させることだった。政界進出を狙う美馬は、永田の命令に従い大介を裏切る決意をする。
妻・寧子、愛人・相子と3人で最後の晩餐をする大介。正月恒例となっていた一族揃っての賑やかな晩餐会を思い出し、鉄平の笑顔を思い浮かべる大介。そこへ美馬から電話が入り、明日のパーティーには行けないと告げられる。

感想(ネタバレ有)

序盤はなかなか物語に入り込めず苦心したのですが、終盤の盛り上がりはさすがでした。緻密な設定の上に成り立つ、凄絶な人間ドラマでした。

中井貴一さんがここまで冷徹な役を演じるのを、わたしはあまり見たことがなかったので…新鮮かつ衝撃でした。息子の鉄平が彼とは対照的に純粋なので、より大介の残忍さや抜け目のなさが際立った気がします。

視聴者としては「もうやめたげて…」という思いでしたが、大介の鉄平に対する仕打ちは彼の弱さの裏返しでもあり、年齢的に大介の気持ちも理解できるので、複雑な思いになりました。

ドラマの中では大介が父・敬介(鉄平の祖父)について語る場面はほとんどなく、回想シーンもわずかでした。しかし彼が部屋に飾っている(鉄平にそっくりな)敬介の肖像画をたびたび見つめることで、大介の心には常に敬介の存在があるのだとわかります。

父に妻・寧子を奪われた(と思っている)ことは、大介のプライドを深く傷つけ、身近な人間への不信感を育ててしまったのかもしれません。

とことん鉄平を憎み、追い込まずにはいられない大介。父に向けることができなかった怒りの矛先を、彼の息子(と思っている)鉄平に向けることで、亡き父に密かに復讐する。

さらに、鉄平が三雲を父のように慕っていると知ると、今度は三雲を陥れようと画策します。あれほど鉄平に冷たくあたり、自ら突き放しておきながら、鉄平が自分よりも他人を頼っているとわかると腹を立て嫉妬する(この心理もちょっとわかる)。

おそらく大介は鉄平を根底から憎んでいたわけではないのでしょう。父・敬介への怒りと復讐心が鉄平への愛情を覆い尽くしていたのだと思います。鉄平を愛することは、父に敗北することだと思ったのかもしれません。企業家としては優れていた大介も、一皮剥けば普通の人間でした。

鉄平への冷酷な仕打ちが大介の弱さの表れだとわかっていたからこそ、最終回で彼が知ることになる残酷な真実と、打ちのめされてくずおれる姿に、激しく心を揺さぶられました。

そして三雲が

「孟子の教えにこんなものあがります。“天下を得るには一つの不義もなさず、一人の罪なき者も殺してはならぬ”」

と忠告していたとおり、大介の未来には暗雲が立ちこめることが示唆されて、物語は終わります。義父である大介を裏切ることを決め、電話を切った後でほくそ笑む美馬が不気味でした。

個人的には苦手なジャンルでしたが、徐々に盛り上がるストーリーに引っ張られ、終盤はすっかりのめり込んで見ていました。豪華な俳優陣や、完成度の高い美術や衣装にも目を奪われた作品でした。

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