「坂の途中の家」第2話あらすじ感想|被害妄想か、モラハラか

連続ドラマW「坂の途中の家」

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WOWOW連続ドラマ「坂の途中の家」第2話のあらすじと感想です。

脚本も演出もすごい。凄まじい迫力で鳥肌がたつほどです。文章では表現できない、視覚的効果が最大限に生かされていますね。

ある事実を証言者の視点で描いて見せた後で、今度は里沙子(=水穂)の視点で描く。そうすると、同じ言葉、同じシチュエーションでもまったく違うものになる。

怖いのは、どちらが正しいか誰にもわからないこと。

現実ではよくあることなのですが、これをドラマで見られるとは思いませんでした。微妙な言い回しや態度で演じ分ける俳優さんたちの演技力にも感服。一瞬も見逃せません。

第2話のあらすじ(ネタバレ有)

夫・陽一郎(田辺誠一)に虐待を疑われた里沙子(柴咲コウ)は、どう説明しても疑いが晴れず悶々とする。旧知の友人にメールで相談するも、「そのくらいのことで」と一笑に付される。

裁判では水穂の姑で寿士の母・邦枝(倍賞美津子)が証言台に立つ。邦枝は水穂の子育てを手伝っていたつもりだが、水穂はそれを拒絶し、受け入れなかったと証言する。

里沙子は義母・里子(風吹ジュン)に預けている娘の文香(松本笑花)が言うことを聞かず、食べ物を床に落とす行為を繰り返すことに怒りを覚え、義父母の前で厳しく叱りつけてしまう。

里子から陽一郎の好きなおかずのレシピを渡され、困惑する里沙子。陽一郎は「無理をせずおふくろを頼ればいい」と諭し、里沙子が必要以上に過敏になっていることを指摘する。

水穂の姑・邦枝は、子どもの夜泣きがひどくて仕事に差し支えるという理由で、寿士にホテルでの外泊を勧めていた。邦枝は法廷で水穂に詰め寄り、「私の凜ちゃんを返しなさい!人殺し!」と叫ぶ。

邦枝の言うことにも一理ある、という裁判員たちに対し、里沙子は水穂が寿士と邦枝に誤解されて追い詰められていったのではないかと意見するが、六実(伊藤歩)は「心神耗弱だとしても被害妄想が過ぎる」と言う。

文香を叱ってくれない義母・里子に対し、苛立ちを募らせる里沙子。里子からもらったレシピも破り捨ててしまうが、陽一郎から「今から同僚を連れて帰る」と言われ、急いでレシピを見て料理を作る。

陽一郎が帰宅する直前、里沙子は用意した料理で遊ぶ文香に怒りをぶつける。泣き出した文香を前にして呆然とする里沙子。翌日、文香は里子の家に泊まることに。ひとりになった里沙子は、久しぶりに自由な時間を満喫する。

第2話の感想(ネタバレ有)

里沙子が姑の里子からレシピをもらう場面は、原作にはありません。風吹ジュンさんの屈託のない笑顔が、なぜか絡みつくような不快感を抱かせます。俗っぽい言葉で言うと「マウントを取る」というやつですね。

でも、それだけではありません。姑の善意をそんなふうに受け取ってしまう「自己嫌悪」も含めての不快感。

夫・陽一郎の言動に対しても同じです。

「無理しなくていい」
「他人を頼ればいい」
「大丈夫だと思った俺が悪かった」

里沙子を気遣っているようで、見下しているようにも思えます。彼らは里沙子の努力を認めようとはしないからです。

些細なことでいちいち傷つく自分が悪いのか。
被害妄想にすぎないのか。

それとも、「誰にも気づかれない」ことさえも故意なのか…。

里沙子の娘・文香が見せる行動も、文章で読むよりも衝撃的でした。

目の前でせっかく作った料理を捨てられると(子どもは遊んでいるだけなのでしょうが)、平常心ではいられないと思います。ドラマとして見ているだけでも、心がざわつきましたから。

24時間子どもと一緒に過ごしているわけではない夫や姑は、いいとこ取りです。わずかな時間だけ一緒にいて、好きなだけ甘やかして、子どもには好かれる。

自分だけが〝悪者〟になっていることに、傷つく里沙子。

それはおそらく水穂も同じだっただろうと思います。里沙子が孤立するにつれ、どんどん水穂が陥った暗闇へと引きずられていくようで、恐怖を覚えます。

夫と姑との関係も、嫁と姑の関係も、世間ではよくあることかもしれませんが、家の中で起こっていることは他人にはわかりません。

里沙子が感じる違和感や不快感も、いくら言葉で説明しても、他人にはうまく伝わらないと思います。

裁判員の六実や和貴、裁判官の朝子の家も、かなり危うい状態。

六実は職場で子どものいる後輩から「編集長は正解! 子どもつくらなくて」なんて言われてしまう。

六実が不妊に悩んでいることを知らず、本人は褒めているつもりなのでしょうけど…。こんなデリカシーに欠ける言葉、職場で堂々と口にする? 愕然としてしまいますね。

和貴はお嬢様育ちの妻から「10時まで帰ってくるな」と言われていて、その理由は「贅沢できない子どもが不憫で、夫の顔を見たくない」からだそう。

毎日10時まで職場の女性と付き合うことになった和貴。やはりそうなりますか。

裁判官の朝子は、仕事と子育ての両立に四苦八苦。一緒に育てようと約束したはずの夫は、子育てに消極的で、育休を取る気もなさそう。

彼らの問題は原作には描かれていないので、結末が見えません。裁判が終わるまでに決着が付くのでしょうか。

里沙子に感情移入しすぎるとちょっと辛いので(原作を読み終えたときはしばらく虚無状態でした)、ほどほどに距離をとりつつ、ほかの登場人物にも注目しつつ、最後まで楽しみたいと思います。

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