WOWOWの連続ドラマ「真犯人」最終話(第5話)のあらすじと感想です。
ついに34年前の誘拐事件の真相が明らかになります。
あの日、尾畑家でいったい何が起こったのか。
そして辰川の思いを受け継いだ重藤が、日下に託したものとは…。
面白かったんだけど、腑に落ちない点もありました。
なんで受け渡し場所に富士山…?
Contents
最終話のあらすじ
日下(小泉孝太郎)は、須藤勲(尾美としのり)が殺される直前に見舞った杉山健三の娘・敦子から、須藤が病室で見たというアルバムを預かる。その頃重藤(上川隆也)は、誘拐事件のある事実を確認するため車を走らせていた。
日下は重藤と合流し、アルバムを見せる。重藤は、事件前日の尾畑清三の家の玄関が写っている写真を見て、そこにあるはずのない守の運動靴を見つける。
失踪した理恵(内田有紀)もまた車を走らせ、誘拐事件の身代金の受け渡し場所に向かっていた。日下は重藤と共に理恵の後を追う。理恵は何かを探しているようなそぶりを見せ、次の受け渡し場所へ向かう。
最後の受け渡し場所となったドライブインで、重藤は理恵を問い詰める。須藤勲に呼び出されたのは理恵の母・小枝子(長野里美)だった。須藤を殺したのは、34年前に守を死なせたことを知られたため。34年前の誘拐事件は、尾畑小枝子と父・清三(北見敏之)が守の事故死を隠蔽するためにでっちあげたものだった。
理恵は病床の母からその真実を打ち明けられたという。重藤は、小枝子が変貌した守の遺体と対面したのは、自らを罰し守に詫びるためだったのではないかと語る。清三もまた命をかけて家族を守ろうとした。
身代金の受け渡し場所と遺体の発見場所からは、いずれも富士山が見えていた。清三は、いつか家族で富士山に登ろうという約束を忘れておらず、家族にだけ伝わるメッセージとして富士山を誘拐計画に組み込んだのではないか、と重藤は告げる。
小枝子は病床で罪を告白し、この世を去る。重藤は、辰川(でんでん)の墓前で手をあわせる。辰川が亡くなる直前、重藤は病室を訪れ、辰川から手帳を託されていた。重藤はその手帳を日下に渡し、「君が持っていてくれ」と言う。
最終話の感想(ネタバレ有)
前回の衝撃が大きすぎました。
最終話は想定内の結末で、意外性はなかったですね。
詳しくは後述しますが、富士山のくだりがどうーーにも腑に落ちなかった。そのせいで、見終わった後の印象が悪くなってしまいました。あれさえなければ、いいドラマだったのになぁ…残念。
過去と現在が交差しながらストーリーが進み、徐々に真相に近づいていくという展開は、たまらなくわたし好みでした。20代~60代を演じわけた上川さんの落ち着いた演技も素晴らしかった。
辰川刑事を演じたでんでんさんもよかった。亡くなる前に重藤に手帳を託すシーンは泣けました。辰川さんは、ずっと悔やんできたんだろうなぁ。
清三を自殺に追い込んでしまったこと。真犯人を突き止める前に、捜査班を解散させてしまったこと。自分のせいで、重藤を辞職させてしまったこと。
誘拐事件の真犯人を見つけられなかったことが、定年退職した後もずっと心残りだったに違いない。
誘拐事件の真相
守君を死なせたのは、尾畑小枝子でした。わたしは理恵も関わってると予想してたんだけど、無関係でしたね。
離婚したばかりで精神的に追い込まれていた小枝子。守が玄関の花瓶を割ってしまったことに腹を立て、思わず手を上げてしまった。玄関の三和土に叩きつけられた守君は、頭を打って即死してしまう。
娘を溺愛していた清三は、守の後を追って死ぬという小枝子を止め、事故を隠蔽するために誘拐計画を企てたのでした。つまり守君は、誘拐された(と思われていた)日の前日に、既に死亡していたんですね。
須藤勲殺人事件の真相
須藤勲を殺したのも、小枝子でした。
須藤は、理恵の友達だった杉山敦子の父・健三を見舞いに病院へ行き、そこで敦子からアルバムを見せられます。
その中に、事件の前日に撮った写真がありました。尾畑清三の家の前で、理恵と敦子が並んで写っている写真です。2人の背後には開けっ放しの玄関が写っていて、そこにはあるはずのない守の運動靴が。それは須藤が守に買ってあげた靴でした。
守は誘拐されて殺されたのではなく、小枝子が死なせたのだ。そう気づいた須藤は、小枝子を裾野バス停に呼び出し、「守の遺品の前で、守に謝れ」「死んで謝れ」と、ナイフを向けて迫りました。揉み合ううちに、小枝子は須藤を殺してしまいます。
須藤が小枝子を殺そうとする意図がよくわからなかった。誘拐事件から34年も経っているし、今さらという感じがする。須藤が人生に絶望しているなら自暴自棄になるのもわかるけど、仕事も順調そうだったし。
我を忘れて小枝子を殺すほど、守のことを愛していたとも考えにくいんですよね。清三のお葬式のとき、子煩悩ではなかったと言っていたので。
富士山の意図がわからない
余命宣告を受けた小枝子は、娘の理恵にすべてを打ち明けました。真実を知った理恵は、車を走らせ、身代金の受け渡し場所を辿ります。
これが本当にわからない。
理恵は、清三が選んだ場所に、何らかの意味があるのではと考えました。それを確かめるために、受け渡し場所を辿ったらしいのですが…。受け渡し場所に意味があるなんて、そんなこと考えます?
と思ったら、実際に清三は受け渡し場所に意味を持たせていました。
受け渡し場所(3か所)と、守の遺体を沈めた多摩川は、いずれも富士山が見える場所だった。
重藤いわく。
清三さんは、約束を覚えていたんです。
家族みんなで、いつか富士山に登ろうという約束を。だからわざと計画にこの景色を組み込んだのではないでしょうか。
家族だけに伝わるメッセージとして。
ごめんなさい。全然理解できないです、重藤さん。
なぜ誘拐計画に富士山の景色を組み込む必要があるのか、まったく意味がわからないし、共感もできなかった。だって、そんなことしたら、残された家族はこれから富士山を見るたびに事件のことを思い出すことになるでしょう?
あんな美しい景色と悲惨な事件を結びつけて家族に残すなんて、どうしてわざわざそんな残酷なことをするの? 犯罪計画に家族への思いを絡ませるという発想が、わたしにはまったく理解できません。
重藤さんが「確かめたいことがある」と言ってずっと車を走らせていたのは、このことを確認するためだったらしいのだけど、これってそんなに重要なこと? なんだか誘拐事件を無理やり「家族愛」にこじつけたようで、すごくモヤモヤしました。
事件が収束した後、理恵が仏壇に向かって微笑むのも無理があると思う。弟と父親を殺したのは母親で、祖父が弟殺しを隠蔽するために誘拐事件を企てたんですよ。わたしだったらしばらく立ち直れない。富士山くらいで救われない。
しかもその一部始終が世間に知れ渡った現在の状況を考えると、笑えないのでは…?
この無理やりな家族愛さえなければ、重藤と日下が辰川の墓前で語り合うラストシーンが、もっと素直に心に入ってきたのに…ほんと残念。
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