コールドケース2-真実の扉-第2話|アメリカ版にはない設定が涙を誘う

WOWOW連続ドラマW「コールドケース2」

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WOWOWの連続ドラマ「コールドケース2-真実の扉-」第2話のあらすじと感想です。

今回は1996年の事件が掘り起こされました。
ゲストは宮藤官九郎さん。

夜の9時過ぎに警察を訪れて、いきなり殺人告白。カバンから凶器のシャベルを取り出した時は、サイコパスかと思いましたが…違いました。

今回の元ネタは、アメリカ版「コールドケース」シーズン3第16話“One Night”です。

第2話「名前のない殺人者」のあらすじ

百合(吉田羊)が残業していると、ある男(宮藤官九郎)が訪ねてくる。男は1996年に高校生の佐伯慎一(森永悠希)を生き埋めにして殺したと告白。凶器のシャベルを提示する。

帰宅しようとしていた高木(永山絢斗)、立川(滝藤賢一)、金子(光石研)も残って男を聴取するが、本名を明かそうとしない。シャベルには慎一以外の新しい血も付いており、さらなる被害者がいることが判明する。

男との会話を手がかりに、立川と金子はまだ生きているかもしれない被害者を特定するため、曙町の飲み屋をしらみつぶしに当たる。やがて「MARIO」という店にいた二宮ユキオ(神尾楓珠)が行方不明だとわかる。

男は殺害の目的を「自分が死ぬとわかったとき、どんな態度を取るか知りたかった」と話す。ユキオを生き埋めにした場所を聞き出そうとする中、男は突然鼻血を流す。

男の身元が高校教師・藤原寬治だとわかり、金子と立川は22年前に別れた妻・清美に会いに行く。清美は藤原がHIV感染者であり、病気が発症したのではないかと語る。

藤原は薬害HIV感染被害者だった。22年前にHIVに感染し、妻と離婚。 最近になって病気が発症したが死を受け入れることができず、ユキオを同じ目にあわせてどうやって死を受け入れるか知ろうとしたのだった。

ユキオを埋めた場所がわからず、焦る百合たち。百合は自身が経験した2年前の事件について語り、「死を受け入れるなんてできなかった」と告げる。立派に死を受け入れる必要などない、と言う百合に、藤原は涙を流して「誰も恨んでなどいない」とつぶやく。

廃園になった遊園地からユキオが発見される。かけつけた「MARIO」の店主は、ユキオを抱き締める。藤原は拘束され、佐伯慎一の父母は息子が殺された場所に花を供える。

登場人物はこちら

WOWOW連続ドラマW「コールドケース2」コールドケース2-真実の扉-全話あらすじ・感想・登場人物(キャスト)・原作

第2話で使用された曲

  • 「イージュー★ライダー」奥田民生
  • 「Body Feels Exit」安室奈美恵
  • 「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」YEN TOWN BAND

第2話の感想(ネタバレ有)

「普通の人間」に戻ったとき

宮藤官九郎さんの演技を見るのはドラマ「カルテット」以来ですが、この方はちょっと得体の知れない人を演じるのが絶妙に巧いですよね。前半の淡々と犯行を語るシーンは、ぞっとするほど不気味で迫力すら感じました。

彼が演じる藤原は、10代の少年2人を生き埋めにして殺すような残酷な殺人犯。しかし後半、彼自身が薬害エイズの被害者であり、死が迫っていることが判明します。

17歳の少年を選んだのは、彼らが「永遠に生きられると思っている」から。その彼らに死を宣告したとき、どう受け入れるのか知りたかったのだと。

死を怖がり、やがて訪れる死を受け入れられず、生きたいと泣きながら願う藤原はサイコパスでもなんでもなく、「普通の人間」でした。

「誰かに押しつけられた運命なんて、従う必要ないじゃない。それはあなたがいちばんわかってるはずよ。自分の死なんか、立派に受け入れなくたっていい。最後までもがいたっていい。死にたくないってわめき散らして、みっともなくたっていいの。だってあなたも、普通の人間なんだから」

彼が「普通の人間」に見えた瞬間、わたしは泣いてしまいました。

そこから、高校時代の藤原が屋上の手すりの上を歩くシーンまで(「Swallowtail Butterfly」が流れるところも含めて)が、今回いちばん心が震えたところでした。

エイズとHIV

1981年、アメリカで初めてエイズ患者が報告されました。日本で最初のエイズ患者が確認されたのは1985年です。

エイズ【AIDS】

HIV の感染によって起こる疾患。性交・輸血・血液製剤の使用などで感染することが多い。免疫機構が破壊され、通常なら発病しない細菌やウイルスでも発病し、カポジ肉腫など悪性腫瘍を発症する。死亡率が非常に高い。後天性免疫不全症候群。

大辞林第三版より

当初、エイズの感染者には同性愛者が多かったため、「同性愛者の病気」という極端な見解が広まり、多くの誤解や偏見を生みました。

その頃はまだHIVが発見される前で、エイズがどういう病気なのかもわからないまま、マスコミの情報や噂だけが一人歩きし、「怖い病気」というイメージだけが急速に広がっていきました。

わたしも当時を知る人間なので、その時に感じた恐怖はよく覚えています。
治療薬も十分に開発されておらず、エイズ=死という印象が強かったんですね。

HIV感染者は、エイズという病そのものと闘い、同時に、差別や偏見とも闘っていました。

ちなみに「HIV」は、ウイルスの名前。ヒト免疫不全ウイルス(Human I mmunodeficiency Virus)の英語の頭文字を取ったもの。

「エイズ」は、病気(症状)の名前。後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome)の英語の頭文字を取ったもの。

HIVに感染しても、すぐにエイズになるわけではなく、感染初期症状→無症候期→エイズ発症という経過をたどります。

ドラマに出てきた藤原の場合、22年前にHIVに感染し、無症候期を経て、エイズを発症したということです。しかも、彼は薬害エイズ事件の被害者でした。

薬害エイズ

1980年代にエイズウイルスが混入した非加熱の血液製剤やその原料が米国から輸入され、日本では血友病患者を中心に感染した。はばたき福祉事業団によると、現在までに少なくとも697人が死亡した。加熱製剤の供給が可能になっても、ただちに非加熱製剤が回収されなかったことも問題となった。被害者らは89年、東京、大阪地裁で国と製薬5社を相手に提訴。96年3月、被告側が被害者1人あたり4500万円の一時金を支払うことなどで和解した。今年1月までに1387人と和解が成立した。(2016-03-28 朝日新聞 朝刊 2社会) 

朝日新聞掲載「キーワード」より

HIV感染が発覚した22年前から今まで、藤原はどんな思いで過ごしてきたんだろう。家族を失い、病気の発症に怯える昏く長い時間の中で。自分が手にかけた少年のことを、どんな気持ちで思い出していたのだろう。

「死ぬのが怖い」と言える相手がいたら、彼は罪を犯さなかったのでしょうか。

アメリカ版との違い

参考までに、元ネタとなったアメリカ版「コールドケース」シーズン3第16話“One Night”との違いについて触れておきます。

登場人物やストーリーの流れは、ほぼ同じです。アメリカ版では、1980年の未解決事件(26年前)という設定で、被害者の17歳の少年はプロムの帰りに車が故障し、通りがかった犯人の車に助けを求めたことになっています。

日本版では真面目なガリ勉風の少年でしたが、アメリカ版では少しやんちゃな感じの明るい少年で、家族に向けた遺書も「いつか天国で会える」という前向きなものでした。

2人目の被害者少年は、アメリカ版も日本版と同じく身寄りのない少年で、埋められていた場所が遊園地、というのも同じ。

ただし彼は里親の家から逃げてきて路上で売春をしていて、犯人に声を掛けられて(客だと思い込んで)車に乗り込みました。彼が書いた遺書は駅のロッカーで見つかっています。

救出された後、日本版では彼を拾った飲み屋の店主が会いにきていましたが、アメリカ版では男娼仲間の少年が駆けつけています。

犯人が回想する17歳のときの記憶は、日本版では屋上の手すりの上を歩く場面でしたが、アメリカ版では橋の上から30メートル下の川に飛び込む、というものでした。

最も大きな違いは、犯人が患っている病気です。アメリカ版ではHIVではなく、脳と脊髄に疾患がある(病名には言及せず)というものでした。

26年前に病気が明らかになり(→最初の犯行)、闘病して克服したもののまた再発した(→2度目の犯行)という設定です。

日本版では犯人を薬害エイズの被害者にしたことで、よりいっそう視聴者に複雑な感情を抱かせ、共感を生むストーリーになっていました。

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