海外ドラマ「アンという名の少女」シーズン3第1話のあらすじと感想、原作との違いをまとめました。
16歳になったアン。学校ではステイシー先生の指導のもと、クィーン学院進学に向けて試験勉強に励みながら、新聞作りに熱中しています。
みんな成長して大人になりましたね-。でもやってることは子供っぽくて、ほほえましい。
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Contents
第1話のあらすじ
アンはミクマク族の少女カクウェットと知り合い、彼女の村に案内される。手作りのマフラーと髪飾りを交換し、互いの共通点を見つけて意気投合する2人。カクウェットはアンに「メルキタウラムン(強く勇敢な心)」という名前を付ける。
バッシュとメアリーの間にはデルフィーヌが産まれ、マリラは足繁く通って赤ん坊の世話を焼く。独身を貫くステイシー先生は、うっかりロマンスへの興味を口に出してしまい、お節介なリンド夫人を張り切らせるはめに。
ビリーとの恋愛を成就させるべく、ジョーシーは学校で〈お知らせ板〉を復活させる。アンはルビーのためにギルバートを焚きつけようとし、ギルバートを意識するようになる。
アンたちがクィーン学院へ進学するための勉強に勤しむ一方で、ダイアナは両親に進学を認めてもらえず、パリの花嫁学校へ行くよう決められてしまう。
16歳の誕生日をマリラとマシューに祝ってもらうアン。さらにダイアナたちは密かにサプライズパーティーを準備し、アンを驚かせる。自分の両親や先祖について知りたいと考えたアンは、ノヴァスコシアの孤児院へ行くこと決める。
第1話の感想と解説(ネタバレ有)
ミクマク族との交流
雪原の中、長い髪をなびかせて馬を駆るアン。いつのまにか、ひとりで馬に乗れるようになっています。身長も伸びてますね。
男の子たちがアイスホッケーをしている森の中に、ミクマク族(インディアン)の親子がやってきます。アンは学校新聞に載せる記事にするため、彼らの村を訪ねます。
「人はどうして違いばかり見ようとするのかな。似てるところもたくさんあるのに」
ミクマク族の少女カクウェットは、先住民族に偏見を持たないアンを「メルキタウラムン(強く勇敢な心)」と名付け、2人は仲良しに。
ミクマク族は、約2000年前からプリンス・エドワード島で暮らしている先住民族です。「ミクマク」には“私の友達”や“同胞”という意味があり、現在もカナダの保留地などに約25000人が定住しています。
アンは自分が編んだマフラーとカクウェットの髪飾りを交換し、インディアン風に三つ編みを飾り付けて帰宅。すると、マリラは「異教徒の連中みたい!」と顔をしかめ、アンがインディアンに脅されたのでは、と心配していました。
黒人のバッシュには偏見を持たないマリラも、先住民に対してはこの態度。有色人種というだけでなく、「異教徒」というのも大きな理由なのかもしれません。キリスト教を知らない民族は未開人であり、野蛮人という認識なんでしょうね。ちなみに原作には先住民族は一切登場しません。
恋愛掲示板が復活して盛り上がる
ジョーシーとビリーは、付き合い始めのカップルみたいな雰囲気になっています。まさかこの2人が付き合うことになるとは! 驚きです。
ビリーは父親の仕事を手伝い始めたようですが、相変わらずの傲慢ぶり。先住民族を見下して無礼な態度を取り、カクウェットを怒らせていました。
ビリーは今シーズンも悪役なんですねぇ…。いいところもあるだろうに、悪い面ばかり強調されていて残念。原作のビリーはアンに想いを寄せる、内気でおとなしい青年なんですけどね。
ビリーをほかの女子に取られるかも…と不安になったジョーシーは、交際相手を公表して誰にも取られないようにする〈お知らせ板〉をひそかに復活させます。
たちまち、校内は〈お知らせ板〉の話題でもちきりに。授業中にそれぞれ(勉強そっちのけで)〈お知らせ板〉に貼り出すメモを書き出す始末。
現代の感覚だと「まだ16歳」だけど、当時のアンたちにとっては「もう16歳」。そろそろ結婚を考え始める年齢で、みんなお相手探しに夢中です。その方法が学校の〈お知らせ板〉というのが可愛い。
アンは「ギルバートが何も言ってくれない」と拗ねるルビーのために、それとなくギルバートを焚きつけようとするのですが、ギルバートはアンが告白を待っていると勘違い。アンも意識するようになって…。
メアリーとバッシュに娘が誕生
シーズン2で結婚したバッシュとメアリーは、ギルバートの家に一緒に住んでいます。子供が産まれているので、結婚から1年くらい経ったことになりますね。
マリラは週3の頻度でブライス家に通い、子育てを手伝っています。赤ん坊の世話をするのが嬉しくてしょうがない様子のマリラ。
それにしてもギルバートは通学、受験勉強、農場経営、診療所通いと、忙しすぎやしませんか?
16歳の誕生日を迎えるアン
マリラは16歳の誕生日を迎えるアンのために、内緒でケーキを作ります。しかもアンが気に入るように、白い花や松ぼっくりで飾り付けをした素敵なケーキ!
想像もしていなかったサプライズに、感激するアン。マシューがアンに贈ったのは、帽子のチャームが付いたブレスットでした。
「お前はこれから先、いろんな魅力を身につけていく。成長するにつれて。だがこの帽子は原点のアンを思い出させてくれる。初めて駅で出会ったあの日のな。あの素晴らしき日に、運命が私たちを引き合わせて家族にしてくれた」
幸せな時間を分かち合う3人でしたが、アンの衝撃的な一言によってその場の空気は一変します。自分の血筋について調べるため、ノヴァスコシアの孤児院へ行きたい、と打ち明けるアン。
マリラとマシューは「アンが去ってしまうのではないか」という不安を抱きつつも、アンを応援することを決めます。
原作との違い
ここからは松本侑子さん訳の文春文庫版『赤毛のアン』をもとに、ドラマと原作との違いを見ていきます。シーズン3も原作から離れたストーリーになっているので、原作と共通する部分だけ取り上げます。
赤毛
ミクマク族のカクウェットや彼女の母親に赤い髪をほめられ、素直に喜ぶアン。シーズン2の第5話で髪を緑色に染めた失敗で学んだのか、もう赤毛のことは気にしていないようです。
続編『アンの青春』では、赤毛を指摘されて逆上したり、そばかすに赤い染料を(化粧水と間違えて)塗って大恥を掻く場面があります。原作のアンは16歳になっても見た目にこだわり、赤毛やそばかすを気にしています。
恋愛掲示板
ジョーシーが復活させた学校の掲示板(お知らせ板)は、原作には出てきません。その代わり、学校のポーチの壁に男女の名前を書き出すイタズラが日常的にあったことが書かれています。
それはアンが学校に通い始めてしばらくたった頃、ギルバートが初めて登校する日のことでした。ダイアナがギルバートについて「ものすごいハンサムよ」と語り、アンはポーチの壁に彼の名前が書き出されていたことを思い出します。
「相合い傘の落書き」みたいなものかと想像しますが、ダイアナは6回も書き出されていたそうで、モテモテだったことがわかります。ちなみにアンは、この頃から既にチャーリー・スローンに好意を持たれていました。
クィーン学院
クィーン学院の受験を控えて、勉強に励むアンたち。ダイアナだけは両親に進学を許されず、パリの花嫁学校へ行くことになっています。
原作では、アンが受験勉強を始めるのは13歳の11月から。ステイシー先生が勉強のできる子を集めて受験クラスを編成し、「生活費ぐらい自分で稼げるようにしておいたほうがいい」というマリラの意見もあって、アンも受験クラスに入ることになったのです。アンのほかに、ギルバート、ルビー、ジェーン、ジョーシー、チャーリー、ムーディーの6人がクラスに加わりました。
クィーン学院は、シャーロットタウンにあった教員養成の短大プリンス・オブ・ウェールズ・カレッジ(英国皇太子カレッジ)がモデルとされています。
原作者のL.M.モンゴメリは19歳のときにこの学校に進学し、本来なら2年かかる教員課程を1年で取得、5科目で学年1位という好成績をおさめて卒業しました。
ドラマでは、アンたちが進学する目的について語る場面がありませんでしたが、原作では、アンとジェーンとルビーは「先生になる」とはっきり夢を語っています。
お金持ちのジョーシーは生活費を稼ぐ必要がないので、ただ教養を深めるために進学し、ムーディーは牧師を、チャーリーは政治家を目指していました。
ダイアナは、ドラマと同じく両親から進学を許してもらえませんでした。ただし「パリの花嫁学校へ行く」という話は原作には出てきません。
16歳のアン
13歳でカスバート家に引き取られたアンは、16歳になりました。マリラとマシュー、それにダイアナたちから誕生日を祝ってもらい、幸せを噛みしめるアン。
原作のアンは、3月生まれ。11歳の時にカスバート家に引き取られ、15歳でクィーン学院に入学しました。16歳の時には、クィーン学院を卒業してアヴォンリーに戻り、小学校の先生として働き始めています。
ドラマでは、アンが自分の両親や先祖について知りたいと言い出し、マリラとマシューを不安にさせる場面がありましたが、原作にはありません。
アンの16歳から18歳までの物語は、続編にあたる『アンの青春』で描かれます。
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