「長安二十四時」第15話・第16話のあらすじと感想です。
爆薬を積んだ馬車が人混みの中を暴走。
最後にホッとしたのもつかの間、恐ろしい展開に…。
ついに靖安司に潜り込んでいたスパイが明らかになりましたね。
Contents
第15話・第16話のあらすじ
徐賓は墨を扱う店を調べるよう仲間たちに指示するが、大案牘術を使って欺いた徐賓に従う者はいなかった。靖安司を出ていく徐賓の後を追い、李必は懐遠坊へ。徐賓はそこで若竹を使った製紙を行っていた。屋敷や土地を売り、妻を働かせているのも紙を作るためで、「製紙は唐の未来に関わる」「これが私の本業」と李必に情熱をぶつける徐賓。
一方、大案牘術を生み出したのが徐賓だと知った林九郎は、徐賓の背後にいる者を突き止めるよう吉温に命じる。徐賓は半年前に大金を手にしていたが、金を渡したのは何執正の養子・何孚だった。
元載は拉致された王韞秀を助ける役を演じ、彼女に「誘拐したのは張小敬で、それを知った私が情報を集めて君を発見した」と吹き込む。
馬車を走らせるマガルたち狼衛は、通行の邪魔になる民衆たちを殺し、追っ手を阻むため石脂をばらまいて火をつける。報告を受けた靖安司の面々は、小敬を使うのをやめるよう李必に訴えるが、李必は意思を貫く。
小敬は狼衛のルーダーとルイゴを殺して2台の馬車を奪うことに成功。残る1台を操るマガルは皇宮を守る右驍衛の防衛戦に突っ込もうとしていたが、そこには多くの民衆が押し寄せていた。李必は自ら囮となって馬車の方向を変え、靖安司のある光徳坊へ誘導する。小敬は火がついた馬車に乗り移り、マガルを振り落とす。
伝令係の陸三は「馬車が靖安司に向かっている」と告げ、逃げろと叫ぶ。徐賓は張小敬を信じるよう訴え、扇動する陸三とつかみ合いになる。
西市へ向かった小敬は、馬車ごと湖に突っ込む。転落する直前に伏火雷が爆発し、辺りに轟音がとどろく。民衆を巻き添えにしないためだと気付く李必と檀棋。李必は小敬を捜索させるが見つからない。
徐賓は狼衛の使った馬車の刻印から、配送業者が“蘇記”であることを突き止める。通関記録には3台の荷馬車で石脂を5樽ずつ積んでいるとあったが、徐賓は記録に使われている墨が新しいことから何者かが書き換えたと見抜く。
その場から立ち去る陸三を見て怪しんだ徐賓は、陸三を問い詰めようとして首を絞められ殺されてしまう。長安に持ち込まれた伏火雷は300樽だと明かす陸三。
井戸の底にいた聞染は姚汝能に助けられる。
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徹底解説「長安二十四時」相関図・登場人物(キャスト)一覧・時代背景・用語解説
第15話・第16話の感想
林九郎の的を射た言葉
今回は林九郎と吉温のやりとりが興味深く、面白かったです。
勘が鋭く猜疑心の強い林九郎に対し、物事を一面的にしかとらえない吉温。
吉温は昼食をおあずけされて迷惑そうでしたね(このドラマ、食べ物がめちゃくちゃ美味しそうなんだよね)。彼には林九郎の心配事がピンと来ないんだろうなぁ。
しかし今回の林九郎の言葉には、けっこう的を射ている部分がありました。
「人々に語り継がれる功績や言論が、その者が持つ真の顔なのか? 世間の評価が真の姿だとでも? 後世の人々が憶測で生み出した伝記や史料、空想で描かれた人物像がその者の真実を表しておると? 結局は読み手の望むように書き手がつづっているに過ぎぬ」
「朝廷に純粋な人助けなど存在せぬ。自分に有利に働くから助けるだけだ。徐賓は上官に事実を隠し友を推薦した。成果があっても手柄にならぬし唐律では罪を功績で相殺できぬ。では奴に何の得が?」
これにはわたしも同意。徐賓にはやはりまだ何かあると思う。何執正の養子・何孚から大金を受け取っていたというのが怪しい。
徐賓の本業は…
徐賓は大案牘術を使って詐欺を働いたとして、戸部の仲間からつまはじきにされてしまいます。で、靖安司を出た彼が向かった先は、懐遠坊の屋敷。
そこでは若竹を使った製紙が行われていました。後をつけてきた李必は「こんなときに商いなど!」と激怒するのですが、これは徐賓にとって大事なことで。
徐賓いわく、民が安心して暮らせるのは各地の役人が責任を持って各家の記録を更新していたからだと。ところが紙の原料である青藤が枯渇して紙の値が上がり、使う量が制限され、役人たちは紙がないために記録ができなくなった。
唐の税制は崩壊し、均田制も崩れ、土地を捨てて逃げる者が増加。国が徴収する税はかつての半分になった。
「竹の紙は安く、使い勝手がよいのです。朝廷の公文書は記録には最適でしょう。構想を重ねてもう5年ほど。役人たちも情熱を取り戻せます。そうすれば、我らの唐に最盛期が再来するのです」
泣きながら訴えるほどなので、よほど製紙に情熱を注いできたのでしょう。でもやはり「なぜそこまで?」という疑問が残ります。屋敷や土地を売り、妻を働かせてまでも紙を作ろうとする〝個人的な〟理由が知りたい。
そのうち明かされるのだろうと思っていたら、殺されてしまいました…。ウソでしょう~?
スパイの正体が明らかに
靖安司に潜り込んでいるスパイは、なんと陸三でした。
まさかの伝令係…盲点だったわー。
狼衛が使っていた馬車には“蘇”という字の刻印があって、そこから配送業者が“蘇記”だと知った徐賓。通関記録を調べると、蘇記は3台の荷馬車で入城し、延州石脂を5樽ずつ積んでいたことがわかります。
狼衛の馬車3台(15樽分)と合致する、もう安全だ! と喜ぶ役人でしたが…。
しかし、その記録自体が捏造されたものでした。墨が新しいことから「誰かが書き換えた」ことに気付いた徐賓は、陸三を怪しみます。
陸三の手には字が書かれた紙が握られていて、問い詰めた徐賓は人気のない場所へ連れて行かれ、首を絞めて殺されてしまいました。
徐賓の首を絞めながら、陸三は差し替えた本物の通関記録を見せ、「長安に持ち込まれた伏火雷は300樽」だと言い放ちます。300ですと…!
徐賓の遺体を隠して立ち去る陸三。
徐賓、ほんとに死んだの? 死んでないよね? 生きてるよね?
そして陸三をスパイとして差し向けたのは、林九郎ということでいいのでしょうか?
残りの樽の行方は?
狼衛の残党3人(マガル、ルーダー、ルイゴ)は、それぞれ伏火雷と石脂を積んだ馬車を駆って街の中へ。上元節を祝う人々で混雑する道を、石脂をまいて火をつけながら突き進みます。
火が付いた伏火雷が爆発し、逃げ惑う人々。
小敬の人間離れした活躍で、なんとか3台とも奪うことができましたが、小敬は最後の馬車と一緒に湖の中へ落ち、行方不明に。
今回の爆発に使われた樽が15/300だとしたら、残る285樽はいったいどこへ? 右刹と龍波は何者で、何を企んでいるのか。聞染との関係も未だ謎。
そして一気に好感度下がりつつある姚汝能は、聞染をどうするつもりなんだろう。
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