「長安二十四時」第47話・第48話(最終話)|事件の真相と残された謎

中国ドラマ「長安二十四時」あらすじキャスト

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中国ドラマ「長安二十四時」第47話・第48話(最終話)のあらすじと感想です。

ついに、ついに最終話となりました! 感無量です。

真の黒幕は誰なのか? その目的は? 長安の長かった一日がようやく終わりを迎えます。小敬がもうヘロヘロで、見てるだけで辛い(>_<。)

第47話・第48話のあらすじ

程参と何執正は調査を続け、龍波が何孚を利用していたことや、龍波と毛順が手を組んで皇帝を殺す計画を立てたことを突き止める。
毛順の座卓で見つかった大灯楼の図面には「1銭で胡餅が2枚買える」と書かれており、筆跡は何執正の字を模倣したものだった。書いた人物を探る中で、程参は聞無忌の死が事件の発端となったことを知る。
なぜ聞無忌の住む安業坊に小勃律の公館を建てることになったのか、疑問を抱く程参。建設計画に参与した者の名簿は記録庫に保管されていたが、書類は戸部の記録から意図的に燃やされていた。
何孚が最も足を運んでいたのは戸部であり、彼に復讐の動機を与えた人物は徐賓だった。さらに報時博士の龐霊が林九郎の間者だったことが判明。龐霊は林九郎の次女・騰空と恋仲にあり、林家に婿入りするために間者を買って出たのだった。
龐霊は姚汝能が林九郎に寝返ったことや、徐賓が大きな秘密を持っている人間であることを明かし、巳の初刻(午前9時)を告げた直後に自害する。
一方、皇帝・李四郎は“大吉酒店”の地下の抜け道を通って移動し、そこで待ち構えていた徐賓に迎えられる。徐賓は自分の才を皇帝に売り込むが、皇帝は「ならばなぜその年まで八品の官吏なのだ」と問う。官位でしか人を判断できない皇帝に深く失望する徐賓。
徐賓の造紙工房の壁の中から大量の薩珊金貨が見つかる。龍波の懐遠坊の隠れ家からも同じ図柄の金貨が発見されており、龍波の支援者は何孚以外にもいたのではと疑う程参。
何執正は林九郎の娘・騰空が龐霊に当てた文を太子に渡す。そこには林九郎の陰謀を知る証人・影を殺すよう依頼する文や、太子の反逆の罪を捏造させ陛下に訴えた記録もあった。

徐賓は皇帝を縄で縛り、坊門城楼へのぼる。太鼓を鳴らして人々を集め、「こちらが唐の皇帝陛下だ」と叫ぶ徐賓。変装して唐を出ようとしていた姚汝能も、足を止めて城楼の下から様子を窺う。
「黒幕を呼んでこい」と命じる皇帝に対し、「陛下の殺害は私一人で計画し、私一人の力で実行した」と主張する徐賓。徐賓の訴えを聞いた皇帝は「出世させてやる」と約束するが、徐賓は皇帝を道連れに死のうとする。
そこへ小敬が現れ、黒幕を問う。徐賓は「お前まで私を疑うのか」と悲しみ、これは自分の計画だと主張する。毛順に“1銭で胡餅が2枚買える”と語り、何孚の林九郎への復讐心に火をつけ、龍波を煽って実行犯に仕立てあげたことを告げる徐賓。小敬を釈放したのは、手柄を立てさせて実力に見合った役職に就かせるためだった。
徐賓の胸に王韞秀が放った矢が刺さり、徐賓は伏火雷で自爆する。小敬は皇帝を抱いて城楼から飛び降りる。
小敬が目覚めると、すぐそばに皇帝がいた。褒美をやると言う皇帝に、「望みはない」と答える小敬。そして「もし褒美をくれるなら、万代の平安を与えてくれ。長安人のために」と告げる。太子は潔白を証明するため、何執正から渡された林九郎の陰謀の証拠を皇帝の目の前で燃やす。
小敬は出世して三品の参将となるが、「いつか長安が危険な時は戻ってくる」と告げて長安を去る。李必は山に籠もることを決め、檀棋は厳太真に仕えることに。檀棋と李必は去っていく小敬の背中を見送る。

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中国ドラマ「長安二十四時」あらすじキャスト ネタバレ有「長安二十四時」相関図・全話あらすじ感想・キャスト・時代背景・用語解説・予告動画

第47話・第48話の感想

程参と何執正の謎解き

第47話はほぼ靖安司が舞台。真の黒幕を突き止めようと推理を働かせる程参は、何執正との話し合いの中で事件の真相をつかんでいきます。面白かった~。

まず龍波の計画ですが、「何孚を騙す計画」「皇帝暗殺計画」の2つを用意していました。

  1. 何孚を騙す計画
    何孚の「林九郎暗殺計画」を請け負う形で、龍波たち白蟻団が実行犯に。龍波は右刹と連絡を取り、狼衛を利用。しかし本当の目的は、2つめの計画を実行するために何孚の金を使い、何孚に罪を着せて灯楼に入る時間稼ぎをするためでした。
  2. 皇帝暗殺計画
    何孚の金を使って隠れ家を用意し、石脂を買い、魚腸を雇うなどして計画を実行。伏火雷を使って大灯楼で皇帝を殺そうとしました。動機は第8団の敵討ち。

何孚が払った金の出所は、何執正でした。彼は長安を去ろうと考えて密かに何軒かの邸宅を何孚に売らせていて、何孚はそのお金を着服し、計画に投じたようです。

何執正は病を患い、強い薬で症状を抑えていたことも判明。これまでの何執正のおかしな行動は、病気と薬の副作用だったんですね(やっと腑に落ちた)。

程参がこんなに有能なら、最初から捜査に加わってほしかったわ。李必は終盤ほとんど活躍できなくて、程参にお株を奪われてしまった感がありますね。

林九郎の間者は龐霊だった

龐霊(時報の人)が林九郎の間者だったことも明らかになりました。彼は林九郎の次女・騰空の恋人でした。見破られたという知らせは右相府にも入ってきます。

「だから靖安司には入るなと言ったのに。私のために手柄を立てねばわが屋敷の入り婿にはなれぬと……頑なだからだ。娘の惚れた男である以上、私なら庭師にでも名臣に育ててみせる。しかもあれだけ天象の学識を持つ男なら……。なんとも惜しい」

騰空という娘がいたことは初耳ですが、林九郎が他人のために涙を流すとは…優しい部分もあったんですね。

これまで、しかつめらしい顔でひたすら時を告げていた龐霊ですが、正体がバレると別人のように無遠慮に振る舞います。

「心に秘密がある者は、平凡至極に見えるほど心の秘め事は大きい。誰からも目立たないよう、己の存在を消そうとするからな」

確かに…一理あります。

龐霊の両親の屋敷を調べると、龐霊が騰空と交わした手紙や、林九郎の持ち物である“李の花の玉佩”が見つかります。これは、かつて永王と林九郎の密談を聞いた妓女・影が盗み出したものですね(第2話)。

影はその後、何者かに殺され、玉佩も行方不明になっていました。騰空の手紙の中には、影を殺すよう依頼する内容のものがあったと何執正が語っているので、影を殺したのは龐霊だったのでしょう。

龐霊は巳の初刻(午前9時)を告げると、胡餅を口に詰め込んで自害しました。

皇帝に失望する徐賓

そのころ徐賓は、“大吉酒店”の地下の抜け穴を通って現れた皇帝陛下を迎え、皇宮に送り届けようとしていました。“大吉酒店”の店主は、陛下を連れてくるよう前もって徐賓に頼まれていたらしい。

「私は分析術で推論できます。脳内ではじく計算は寸分の違いなく、李必より早く事件を解き、賊の動きを予測できました。ゆえに隙を見て陛下を救うよう店主に指示したのです。私は才があり唐と長安に福をもたらす能力があります。ただ陛下が知らぬだけ」

自分の能力をアピールする徐賓でしたが、陛下は信じません。彼に指示した者がいるはずだと思い込み、誰の命令だと問い詰めます。

「朕は人材を埋もれさせぬ。もしそれほどの能力があるなら、なぜその年になってまで八品の官吏なのだ」

官位でしか人を評価できない皇帝に失望する徐賓。宰相になれないのなら生きていてもしかたない、と自棄になり、陛下を連れて坊門城楼へ。

徐賓の望みは宰相になることだったんですね。

徐賓が動かした人々

徐賓を追って城楼へのぼった小敬は、徐賓の口から事件のいきさつを聞いて衝撃を受けます。黒幕などいない、すべて自分がひとりで成し遂げたことだと豪語する徐賓。

ここで徐賓が動かした人々について整理してみます。

  1. 何孚の復讐心を煽る
    何孚を焚きつけて林九郎を殺害させようとした
  2. 毛順に意見する
    “1銭で胡餅が2枚買える”と告げ、豪華な灯楼など無意味だと思わせた
  3. 龍波をけしかける
    自分は特別だと思っている龍波をけしかけ、皇帝暗殺計画を実行させた
  4. 李必を不安にさせる
    李必に“黒幕は太子かも”と暗示し、疑心暗鬼にさせて行動を鈍らせた
  5. 太子に疑いをかける
    事件の黒幕を太子と見せかけることで、太子の捜査への関与を制限した
  6. 小敬を釈放させる
    小敬に功績を立てさせ、実力に見合う役職に就かせようとした

「民の命を考えなかったのか?」と問う小敬に、「なぜ目の前ばかりを見る? 鯤鵬は羽を広げて九千里を行く。私には宰相の才がある」と答えた徐賓。

優れた洞察眼を持っていたのに、彼は自分の愚かさには気づけなかった。自分のことは見えていなかったんですね。

最後は王韞秀が放った矢に射られ、伏火雷で自爆しました。

残された謎の数々

徐賓の自白ですっきりした部分もありますが、いくつかの事柄は謎のまま明らかになっていません。それらの「残された謎」について考えてみたいと思います。

なぜ安業坊に公館を建てることになったのか?

龍波が復讐を決意したきっかけは、立ち退きに反対した聞無忌が熊火幇に殺された事件。そもそも、通常なら別の場所に建てるはずの公館を、なぜ安業坊に建てたのか。

程参は何らかの力が働いたのではないか、と勘ぐっていました。

敷地は工部と戸部が共同で選定しており、建設計画に関与した者の名簿が(靖安司の火事で)燃やされていることから、徐賓が仕組んだ可能性は高いと思います。

龍波に世直し(皇帝暗殺)を決心させるための材料として、彼の戦友である聞無忌を窮地に追い込もうと考えたのかもしれません。

薩珊の金貨はどこから持ち込まれたのか?

徐賓は八品の小役人にもかかわらず、造紙工房を開くだけの金を持っていました。そして造紙工房の壁の中からは、大量の金貨(薩珊の金貨)が発見されています。

薩珊とは、イランの王朝であるササン朝(226~651年)のことです。この金貨は唐では流通しておらず、徐賓がどこで手に入れたのかは不明。同じ金貨が龍波の懐遠坊の隠れ家でも見つかっています(第4話)。

さらに、最終話で姿を見せた姚汝能は、彼を助けた人物からこの金貨を1枚手渡され、「何かあればこれを持って安西に来い」と言われていました。

この金貨は、徐賓と龍波を金銭的に支援し、姚汝能を助けた「真の黒幕」の存在を匂わせているようにも受け取れます。

徐賓は「黒幕などいない」「自分が成し遂げた」と主張していましたが、彼もまた、知らずに誰かの言葉に洗脳され、この大それた計画へと誘導されていた「駒」のひとつに過ぎなかったのかもしれません。

「いつか長安が危険な時は戻ってくる」

ラストシーンで、小敬は「いつか長安が危険な時は戻ってくる」と言い残し、李必と檀棋に別れを告げて長安を去っていきました。

史実では、このあと有名な「安史の乱」(755年~763年)が起こります。節度使・安禄山と史思明らによって起こされた、9年にも及ぶ反乱です。この乱によって皇帝・玄宗は退位して蜀に逃れ、楊貴妃は殺されます。

中心人物である安禄山と史思明は、ともにイラン系ソグド人。謎めいた薩珊の金貨は、今回の事件の背後に彼らがいることをほのめかしているのでしょうか?

総括

全48話、無事に完走できました。

初めて見る中国ドラマで難解な部分もありましたが、私好みの設定ということもあって、途中で嫌になることは一度もなかったです。

映像の美しさ、緻密に計算された人間関係、スケールの大きな世界観に圧倒され、毎回感動を味わっていました。個人的ピークはやっぱり第42話かなぁ。

最後はもうちょっと余韻がほしかったという気もしますね(イスはどうなったんだろうなー)。

ここまで感想にお付き合いいただき、ありがとうございました。また興味をそそられる中国ドラマがあれば、チャレンジしたいと思います^^

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