「刑事モース~オックスフォード事件簿~」Case20のあらすじと感想です。
今回は列車絡みの事件。
最後に明かされる意外な真相が面白かったです。
新人のファンシーは、少しやる気を見せてくれるようになりました(トルーラブの援護が大きいけど)。
Case20「殺意を誘う列車」のあらすじ
1968年6月。ウォディントン駅の貨物操車場でトラック運転手バート・ホッブスが殺され、ウイスキーなどの積み荷が奪われる事件が発生。
カウリー署には、強盗課のボックス警部補とドーソン巡査部長が送り込まれ、彼らと連携して捜査に当たることになる。サーズデイは彼らに手柄をあげさせたい上層部のもくろみに反発し、モースを捜査から外す。
一方、フランシス・ポーターという女性が失踪し、夫のノエルと妹のジリー・コンウェイが失踪届を出す。モースはフランシスの足取りを追い、彼女が妹の名前を騙ってドン・マーサーという既婚者と不倫をしていたことを知る。
モースは廃駅になったギベッツエンド駅でフランシスの遺体を発見。状況から1964年に起きたリンダ・グレシャム事件との関連を疑う。
トルーラブは「ロイド・コリンズを調べた方がいい」とファンシーに助言したことから、ボックス警部補に恫喝される。ブライト警視正はボックスとドーソンを署から追い出す。
ファンシーはロイドに接触するが、ロイドもまた何者かに襲われ「クロムウェル・エイムス」という名前を言い残して死亡する。現場に残っていたタイヤ痕はホッブスが殺されたウォディントン駅に残っていたものと同じだった。
モースはフランシスの母リリアン・コンウェイが入所している施設を訪ね、殺されたのがフランシスではなく妹のジリーだと気づく。ジリーと名乗っていたのはフランシスで、夫妻は資産を管理していたジリーを殺して金を手に入れようとしたのだった。
キングズオーク駅の駅長の妻が襲われ、モースたちは犯人のノートン・セドリックを追う。セドリックは列車に飛び込み自殺。部屋からリンダの靴とバッジが見つかり、ノートンがグレシャム事件の犯人だったことが判明する。
Case20の登場人物(キャスト)
フランシス・ポーター(リデア・パーキンス)
失踪した女性。日曜にモーテルでドン・マーサーと密会した後、行方不明に。
ノエル・ポーター(エドウィン・トーマス)
フランシスの夫。義妹のジリーと一緒にカウリー署を訪れ、妻の失踪届を出す。
ジリー・コンウェイ(ロザリー・クレイグ)
フランシスの妹。ノエルとともにカウリー署を訪れる。
ドン・マーサー(ジェイコブ・フォーチュン・ロイド)
キッドバリーズ・デザーツ社の社長。フランシスと不倫関係にあり、フランシスが失踪した日曜にモーテルで会っていた。
マーティー・ベドロー(ハドリー・フレイザー)
フランシスが勤務するブティック「アリスのマーマレード猫」の店主。
アヌーシュカ・ノーラン(セレステ・ドッドウェル)
フランシスの同僚。ブティック「アリスのマーマレード猫」で働いている。
パターソン駅長(ジャスティン・エドワーズ)
キングズオーク駅の駅長。駅舎に身重な妻と2人で住んでいる。
ヘザー・パターソン(リジー・ワッツ)
パターソンの妻。妊娠中。
セドリック・ノートン(サイモン・スカーディフィールド)
自称鉄道研究者。過去にピアニストを目指していた。
バート・ホッブス(ジョン・ビッギンズ)
ウォディントン駅の貨物操車場で殺されたトラック運転手。
ロイド・コリンズ(マーク・アサンテ)
露店で盗品を売っているジャマイカ系の男。
ロニー・ボックス警部補(サイモン・ハリソン)
強盗課の刑事。応援のためカウリー署に派遣される。傲慢不遜な態度でトルーラブを恫喝し、ブライト警視正の怒りを買う。
パトリック・ドーソン巡査部長(トーマス・クームズ)
強盗課の刑事。ボックスとともにカウリー署に派遣される。
クロディーヌ(クレア・ガナイエ)
写真家。フランス人。ジョアンがモースに紹介しようとした女性。
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ネタバレ「刑事モース」シーズン5(Case18~23)全話あらすじ・感想・キャストCase20「殺意を誘う列車」の感想
※ネタバレを含みますのでご注意ください
近代化に失敗したイギリス国鉄
女性の失踪事件と、引き続きギャングの抗争が描かれた回。
失踪事件のほうは予想もしない展開になり、驚きました。
夫婦で計画して妹のジリーを殺し、資産を手に入れようとしたフランシスとノエル。ジリーだと名乗っていたのが実はフランシスで、殺害されたのがジリーだった。携帯もSNSもないこの時代だからこそ可能なトリックでした。
フランシスは母親に贔屓される妹に長年恨みを募らせていたようで…嫉妬は怖い。ここまで追い詰められるって相当だよね。
ジリーの遺体が遺棄されたのは、放置されていた廃駅でした。
1963年から1974年にかけて、イギリス国鉄の赤字を解消しようとした国鉄総裁リチャード・ビーチングが提案した「ビーチング・アックス(ビーチングの斧)」が実行され、4000マイル(6437km)以上の路線と3000以上の駅が廃止になりました。
ところがこれが逆効果で、イギリス国鉄の経営状況はさらに悪化してしまいます。日本で新幹線が開業したのが1964年10月ですから、近代化に立ち遅れたイギリス国鉄は相当焦っていたことでしょう。
ジリーとフランシスの母親がいる施設の看護師が、64年の未解決事件リンダ・グレシャム事件の母親というのは、少し都合がよすぎるような。
こちらの犯人は鉄道マニアのノートンでした(序盤からいかにも怪しげだった)。
母親が「ピアノのノートン先生に天才と言われた」と語る場面があって、リンダが当時ノートンからピアノのレッスンを受けていたことを示唆していました。
偉そうな強盗課のボックスとドーソン
カウリー署には強盗課から2人の刑事が送り込まれてきました。
ボックス警部補とドーソン巡査部長です。
……が、偉そうなだけでまったく役に立たない!!
大した成果もあげず、新人のファンシーを使い走りにしたり、トルーラブに差別発言連発したり、最後はブライト警視正まで脅す始末。ほんとに酷い人たちだった。ブライト警視正が一喝してくれて、スカッとしたわ。
でもこの件はこれだけで終わらないような気がする……嫌な予感がします。
ファンシーは相変わらずツメが甘いけど(モースは彼がうまくやれるか不安でしょうがない様子)、彼なりに一生懸命やっていて好感が持てるようになってきました。トルーラブの援護も心強い。
トラック運転手と盗品を売っていたロイドは、エディ・ネロと敵対する勢力に殺されたのでしょうか。ロイドが死ぬ前に言い残した「クロムウェル・エイムス」という人物が黒幕かな?
サーズデイがパブで聞き込みしたとき、店主のハーディは「クロムウェル・エイムス」の名前を聞いて顔色を変えましたよね。サーズデイが立ち去った後、どこかへ電話して報告していたようだし。
ロイドが売っていた盗品の中には、Case17でモースの家から盗まれたレコードも紛れ込んでいました。Case1に登場したオペラ歌手キャロウェイの「ある晴れた日に」でしたね。見たのは最近なのに、なんだかものすごく遠い日のことのように感じるわ~。
クロディーヌとモース
ジョアンの自宅パーティーに招待されるモース。
ジョアンは少しずつ両親との関係を修復していっているようで、安心しました。サーズデイ警部はまだ心配そうだったけど。
モースとジョアンはやっぱりうまくいかないのかなぁ。ジョアンはモースに友達のクロディーヌを紹介しようとしていました。モースは断ったけど。
傷ついたモースはそそくさと帰り、アパートの外で偶然クロディーヌと鉢合わせ。モースは彼女がクロディーヌだとは気づいていなかったけど、今後進展するんだろうか……。
ラストで「ケネディ暗殺」のニュースが流れましたが、こちらはジョン・F・ケネディではなく弟のロバート・ケネディ。兄は1963年11月3日に、弟は1968年6月5日に暗殺されました。
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