ネタバレ有「刑事モース」シーズン4(Case14~17)全話あらすじ・感想・キャスト・視聴方法

「刑事モース~オックスフォード事件簿」シーズン4ネタバレ感想

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

海外ドラマ「刑事モース~オックスフォード事件簿~」シーズン4(Case14~17)についてまとめました。

1960年代のオックスフォードを舞台に、人気小説『モース警部』の若かりし頃を描いたイギリスitvの正統派ミステリードラマ第4弾。2017年1月8日から1月29日にかけて放送されました。

前シーズンの最終話で家を出て行ったジョアンをめぐって、サーズデイ夫妻の関係に亀裂が。おなじみのサンドイッチが消えてしまいます!

そしてモースにも人生の転機が……。

作品概要

  • 製作国:イギリス(2017年)
  • 原題:Endeavour
  • 原案:コリン・デクスター『モース警部』
  • 脚本:ラッセル・ルイス
  • 演出:ジム・ローチほか
  • 音楽:バリントン・フェロング
  • 製作総指揮:レベッカ・イートンほか

視聴方法(動画配信)

「刑事モース~オックスフォード事件簿~」シーズン4は、月額制の有料動画配信サービス U-NEXT<ユーネクスト> で見放題配信されています。新規登録なら31日間無料トライアルが可能です。

31日間無料トライアル登録の特典内容

・月額プラン2,189円(税込)が31日間無料
・600円分のU-NEXTポイントをプレゼント

※本ページの情報は2023年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXT公式サイトにてご確認ください

31日間無料トライアル実施中

登場人物(キャスト)

※シーズン3までのネタバレを含みます

主要人物

エンデバー・モース(ショーン・エヴァンス/声:矢野正明)

オックスフォード市警カウリー署の巡査部長。頭脳明晰。冷静な判断と直感で数々の難事件を解決する。クロスワードパズルとクラシック音楽を愛し、かよわい女性に弱い。上司サーズデイの娘ジョアンに想いを寄せている。

フレッド・サーズデイ(ロジャー・アラム/声:土師孝也)

オックスフォード市警カウリー署の警部補。モースが信頼する唯一の上司。誰よりもモースの才能を買っている。Case13で娘のジョアンが家を出て行き、心配するあまり仕事に身が入らない。

レジナルド・ブライト(アントン・レッサー/声:佐々木睦)

オックスフォード市警カウリー署の警視正。組織の規律や慣習を重んじる昔気質の性格。モースの非社交的なふるまいや型破りな捜査を嫌っているが、能力は認めつつある。

ジム・ストレンジ(ショーン・リグビー/声:丸山壮史)

オックスフォード市警カウリー署の巡査。モースの同僚でよき友人でもあったが、モースより先に昇進試験に合格し、巡査部長に昇格。モースの上司となる。

シャーリー・トルーラブ(ダコタ・ブルー・リチャーズ)

オックスフォード市警カウリー署の女性巡査。Case11から登場。新人ながら優秀で、何事にも意欲的に取り組む。彼女の何気ない一言がモースの捜査を助けることも多い。

マックス・デブリン(ジェームズ・ブラッドショー/声:魚建)

オックスフォード市警に勤める警察医。非常に優秀で、的確な指摘で事件の解決に貢献する。

サーズデイの家族

ウィン・サーズデイ(キャロライン・オニール)

サーズデイの妻。毎朝夫に昼食用のサンドイッチを作って持たせている。Case13で黙って家を出たきり連絡を寄越さない娘ジョアンを心配するあまり、ノイローゼになる。

ジョアン・サーズデイ(サラ・ヴィッカース/声:長尾明希)

サーズデイの娘。Case13で銀行強盗事件に巻き込まれる。知らずに強盗の仲間と恋仲になり、銀行の情報を与えて同僚を死なせたことで心に傷を負う。家族に黙って家を出て行き、現在も連絡を絶っている。モースが想いを寄せる女性。

サム・サーズデイ(ジャック・バノン)

サーズデイの息子。Case13で陸軍に入隊するため家を出た。

そのほか

ドロシア・フラジル(アビゲイル・ソウ/声:定岡小百合)

オックスフォード・メール新聞の気骨ある編集長。モースの捜査に何かと協力してくれる。

モニカ・ヒックス(シヴォーネ・マークス)

以前モースのアパートに住んでいた看護師。シーズン2でモースと恋仲になるが、モースが殺人容疑で逮捕され、釈放後もアパートには戻らなかったことから自然消滅した。

各話のあらすじ(ネタバレ有)

1967年7月。川でニールセン博士の溺死体が発見される。彼はラブレース・カレッジのコンピューター開発チームのメンバーで、翌日には彼らが開発したコンピューター“ジェイソン”がロシアの教授グラデンコとチェス対戦を行うことになっていた。
死体発見の同日、カウリー・プールの浴槽で初老の女性ミス・ポールフリーが溺死しているのが見つかる。モースは事件性を疑うが、サーズデイは家を出たジョアンを心配するあまり仕事に身が入らない。
チェス対戦の当日、カウリー・プールでエディソンという青年の遺体が発見される。エディソンもミス・ポールフリーと同様に、顔から石膏とオイル系ローションが検出される。
オックスフォード・メール新聞の新人記者テッサは、モースに接触して捜査メモを盗み、新聞に記事を掲載。サーズデイはテッサを訴えると息巻き、編集長のドロシアに咎められたテッサは新聞社を辞めてしまう。
モースとサーズデイはミス・ポールフリーが家政婦として雇われていた医師レイトン=アスベリーが住んでいた空き家を訪ね、テッサの遺体を発見する。彼には娘と息子がいたが、息子のアレグザンダーは妹のペネロペに異常な感情を抱き、ペネロペはそれを苦に入水自殺していた。
その後、以前レイトン=アスベリーを取材したドロシアが姿を消す。モースは事件現場に残された数々のヒントを読み解き、コンピューター開発チームのキャッスルがアレグザンダーだと気づく。
家政婦のミス・ポールフリーはペネロペの検死審問で兄の異常について証言をしていた。プールで死んだエディソンは青少年クラブでアレグザンダーと喧嘩をしており、ニールセン教授は彼が心を病んでいることに気づいていた。
キャッスルに拉致されたドロシアはサーズデイに救出される。モースはレンガを抱いて入水自殺したキャッスルを救出する。モースの手帳はテッサのバッグに入っており、家で見つかったことにすれば失点にならないとサーズデイが密かに渡す。
昇任試験の答案用紙が紛失し、不合格を言い渡されるモース。ブライトはこの3年間にモースが敵に回した連中による工作を匂わせ、オックスフォードを離れることを勧める。
サーズデイもオックスフォードにこだわることはないと助言するが、モースは「嫌がらせには屈さない」と残ることを決意する。

モラルを重んじる女性活動家ペティボンに脅迫状が届き、モースは彼女の警護を命じられる。ペティボンは歌詞が過激だという理由で、若者に人気のロックバンド“ワイルドウッド”の曲を放送禁止にしようとしていた。
パブの裏でレンガ職人バリーの死体が見つかる。バリーは“ワイルドウッド”の大ファンで、死んだ後に首を絞められていたことがわかる。
生放送のテレビ番組「アルマナック」にペティボンと“ワイルドウッド”が出演。ペティボンと観客席にいた男性ジェソップが口論になり、ジェソップはペティボンの親衛隊にスタジオから連れ出され、暴行を受ける。
ジェソップは同性愛を扱う雑誌を発行していたが、ペティボンに訴えられ仕事を失っていた。その腹いせに彼女につきまとい妨害していた。
翌朝、ペティボンの側近だったゴーライトリー牧師がホテルの部屋で遺体となって見つかる。牧師は支持者から贈られたチョコレートを食べていたことがわかる。
モースはペティボンの娘ベティーナと深く関わったと誤解され、ペティボンの訴えで捜査から外されてしまう。母親の支配に苦しむベティーナはモースに愛を告白する。
サーズデイは脅迫状が入っていた封筒の内側と切手の裏からペティボンの指紋が検出されたことを突き付ける。脅迫状は、世間の同情を集め支持者を増やすための自作自演だった。
“ワイルドウッド”のボーカル、ニックが幻覚剤を過剰摂取した状態で発見される。モースはニックの部屋から、ニックとバリー、取り巻きの女性ピッパが乱交している写真を見つける。
写真を撮ったのは、ピッパといつも一緒にいたもうひとりの取り巻きエマだった。ニックに想いを寄せるエマは彼と関係を持ったバリーを殺害。ニックは自分が殺したと思い込み錯乱、マネージャーのスペンダーが車で遺体を運び、パブの裏に遺棄したのだった。
ペティボンにチョコを贈ったのはバンド活動を妨害されたため、ニックに幻覚剤を飲ませたのは彼を手に入れるためだった。
モースはエマを問い詰めるが、幻覚に襲われ朦朧とする。モースを殺そうとするエマを、駆けつけたサーズデイとストレンジが取り押さえる。意識を取り戻したモースを見て安堵するサーズデイ。
“ワイルドウッド”は解散し、ベティーナは支配的な母親に別れを告げて出ていく。モースのもとにはレミントンから電話が入るが、相手は何も告げずに切ってしまう。

自宅で突然死したエセル・ザッカリーデスを調べることになったモース。部屋の中には2枚の割れた皿、紙類が散乱し、ペットのオウムが「意地悪ばあさん」という言葉を繰り返していた。
そんな中、ブライト警視正が職場で倒れ、カウリー総合病院に運ばれて手術を受けることに。同じ病棟には強盗で服役中のベイクウェルが入院しており、ギャングから命を狙われていた。モースたちは交代で見張りをすることになるが、その病棟には「10番のベッドの患者は死ぬ」という噂があった。
エセルの夫はかつて同じ病棟に入院しており、10番のベッドで容態が急変して亡くなっていた。エセルは病院で私物を盗まれたと訴えており、亡くなる直前に病院から手紙を受け取っていたが、病院側は出していないという。
やがて10番ベッドで治療を受けていたベイクウェルが不審死を遂げ、モースはパウエル医師を疑う。10番ベッドで亡くなった9人は全員パウエルが主治医だった。
エセルが飼っていたオウムの駕籠の下敷きから手紙が見つかる。だが差出人の「M・キーナン」は病院内に存在しない名前だった。パウエルについて調べたモースは、15年前にパウエルの患者だった11歳のモリー・キーナンがインスリンの過剰投与で死亡していることを突き止める。
当時、パウエルは看護師長マクマホンと付き合っていた。2人が職場で密会している最中にモリーは容態が急変。看護師のミルズはモリーの従妹で、当時その場に居合わせていたが、助けを呼んでも誰も来なかったと話す。
ミルズはパウエルを陥れるため、モリーと同じ“10番ベッド”の患者にインスリンを投与して殺害。2人に罪を償わせようとしたのだった。10人目はブライト警視正だったが、気づいたモースとサーズデイによって間一髪で助かる。
モースは休みを取ってレミントンを訪ね、ジョアンを捜し当てる。だがジョアンは「家には戻らない」と言い、モースを追い返す。

1967年9月。ブラムフォード・ミアで白骨遺体が見つかる。5年前に失踪した植物学者のラックスマン博士かと思われたが、骨は古代人のものだった。現場付近から博士のものと思われるメガネが見つかったことや、当時の州警察の捜査がずさんだったこともあり、モースたちは再捜査することに。
よそ者を嫌う村人たちはモースの聞き込みに非協力的で、村の近くにある発電所でも門前払いされてしまう。モースはカメラマンのふりをしてドロシアの取材に同行し、発電所の部長ブレイクに会うが、博士に関する情報は得られなかった。
牧草地のカカシが博士の上着を着ていることに気づいたモースは、牧草地の所有者サドラーの家を訪ね、納屋に隠してあった博士の車を発見する。サドラーは部品を売るために車を隠したと言い、上着は森の中に住む占い師チャトックスの孫セスにもらったと話す。
上着のポケットに入っていた線量計から博士が大量の放射線を浴びていたことがわかり、モースは放射線測定器を使って遺体を発見する。6年前、博士は発電所が放射能漏れ事故を隠蔽していることに気づいたが、脅迫され沈黙したのだった。
博士の友人で核の研究家だったバグリー教授とワレン博士は、世界への警告のために再び同じ事故を起こそうと発電所の制御室を占拠する。モースとサーズデイは2人を取り押さえ、最悪の事態は免れる。
ラックスマン博士を殺したのは、占い師の孫セスだった。セスは博士が不倫関係にあった医師の妹セリーナに好意を寄せ、求婚するも断られていた。村へ向かう途中に事故を起こした博士を助けようとしたセスだったが、博士に侮辱され殺害。死体を牧草地に埋めた。罪を告白したセスは祖母に撃たれて命を落とす。
サーズデイ警部補はモースの私物の中からジョアンの住所を見つけ会いに行く。ジョアンが既婚者のレイと付き合っていると知ったサーズデイは、レイを殴って二度と近づくなと脅迫する。レイに部屋を追い出されたジョアンはモースのもとを訪ねるが、モースの求婚を断って姿を消してしまう。その後、ジョアンが倒れ病院に運ばれたと知り、駆けつけるモース。
サーズデイ警部補とモースは女王陛下からジョージ・メダルを授与される。

感想(ネタバレ有)

Case14 死のゲーム

サティ「グノシエンヌ 第1番」で幕開け。
壊れた世界を覗き込んでしまった時のような、不気味で陰鬱な始まり。

ジョアンが家を出て2週間経ち、未だに連絡がないことに不安を隠せないサーズデイ夫妻。家の中は暗く静まりかえり、いつもの温かい雰囲気は消えていました。

サーズデイ警部補はジョアンを心配するあまり捜査に身が入らず、事件性を疑うモースに八つ当たり。「妄想にふけってるから試験に落ちるんだ!」なんて、酷いことを言います。まぁ本心ではないでしょうけども。

そう、昇任試験。不合格だったんですよね~。
てっきり受かったものとばかり思っていたので、びっくりです。

しかも理由が答案用紙の紛失って…あんまりですね。

モースは相当ショックを受けていたのに、ブライト警視正は「次がんばれ」とあっさり。紛失は故意だと知っていたのでしょう。この件にはもう触れるな、という態度でした。

納得がいかないモースは「答案用紙がなくなったのは何人ですか」と食い下がり、自分一人だけだと知ってさらにショックを受けます。これまでの事件で大物を敵に回したせいだ、と説明するブライト警視正。

大物のくせにやることがセコいですね。
そしてそれを受け入れろと当然のように言う上司にも呆れます。

今回の犯人は、軍の整形外科医をしていたレイトン=アスベリー医師の息子・アレグザンダー。コンピューターの開発チームでは「キャッスル」を名乗っていました。

1967年は、コンピュータが初めて人間のチェス選手権に参加した年。この頃はまだそれほど強くはなく、“やや強いアマチュア”レベルだったそう。

ちなみにコンピューターが初めてチェスの世界チャンピオンを破ったのは、1995年。IBMのスーパーコンピュータ(通称ディープ・ブルー)が天才プレイヤー、ガルリ・カスパロフに勝利し、大きな話題になりました。

60年代、70年代のコンピュータは、今では考えられない大きさ。処理時間も遅く、その間に“殺人”ができてしまうほど。

わたしは実物を見たことはないけど、子どもの頃に見ていたSFアニメや漫画に出てくるコンピュータがちょうどこんな感じだったな~と懐かしく感じました。

壁に飾られた石膏のマスクは不気味でしたが、犯人が被害者の顔を象った“デスマスク”は4つだけ。ほかのマスクは、整形外科医だった父親が戦争で顔を負傷した兵士たちの治療のために作ったもの。

見た目は同じようでも、患者を生かすために作られたマスクと、独りよがりな理由で殺した被害者のデスマスクは、まったく別物でした。

Case15 嫉妬の讃美歌

今回はビートルズを彷彿とさせる4人組ロックバンドが登場し、オープニングもいつもと違ってアップテンポ。劇中音楽もロック風でしたね。

そのロックバンドを騒音扱いし、「歌詞がいかがわしい」という理由で放送禁止を訴える女性活動家ペティボン。

最近はあまり聞きませんが、私が子どもの頃はけっこうありましたね、放送禁止になった曲。当時は歌詞の意味がよくわかってなかったから、不思議だったけど。

モースはペティボンの娘ベティーナに誘われ、仕事中にうっかり彼女の部屋で飲酒。ペティボンの誤解と怒りを買い、捜査から外されることに。

イギリスの人は本当にお酒を飲むのが好きなんだねぇ。このドラマを見ていると昼間でもパブは混んでるし、誰かが家を訪ねてくるとまずお酒を出す。

ペティボンに届いた脅迫状は自作自演。夫を自殺に追い込んでいたこともわかり、ベティーナは「地獄でくたばるがいいわ」と辛辣な言葉を残して去っていきました。正解です。

「戻ってくる」と言うペティボンに、サーズデイ警部補は「戻ってきません」と断言。出ていったきり連絡を寄越さない娘ジョアンのことを、必死に考えまいとするサーズデイ警部補が痛々しい。

レンガ職人のバリーとゴーライトリー牧師を殺したのは、“ワイルドウッド”の取り巻きエマ。彼女はニックを愛していて、新曲の「ジェニファー・サムタイムズ」は自分のことを歌った曲だと思い込んでいました。

でも実はベースのクリストファーのことを歌っていたんですね。

この物語の舞台となった1967年は、イングランドとウェールズで21歳以上の男性同士の同性愛行為を合法化した「性犯罪法」が成立した年。それまでは、同性愛は違法でした。

映画「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」でも知られる数学者アラン・チューリングは1952年に19歳の男性と性的関係をもったとして有罪になり、1954年に青酸カリで自殺しています。

チューリングは2013年に恩赦が認められ、これを機に恩赦を求める声が高まり、2017年には同性愛で有罪判決を受けたまま亡くなった男性数万人に死後恩赦を与える法律「チューリング法」が施行されました。

とはいえ、この時代はまだ同性愛に対する偏見が強かったのでしょう。モースも同性愛を訴えるジェソップに「愛はセックスありきだ」と何の躊躇もなく言い放っていました。

エマに飲まされた毒のせいで朦朧とするモース。意識が戻ったモースとサーズデイ警部補の会話が地味に泣かせます。

「何曜日ですか?」
「コーンビーフの日だ」
「なら金曜か」

この短いやりとりでモースの無事を確認し、サーズデイ警部補はホッとするんですよね…。2人が共有した時間の濃さを感じさせるシーンでした。

最後に映ったカードは「恋人」。前回は「吊された男」。
最終話への伏線ですかね。

Case16 呪われたベッド

カウリー総合病院の“10番のベッド”をめぐる事件。院内のゴタゴタに服役中の強盗犯やブライト警視正の緊急入院などが重なり、重層的なストーリー展開に。

ブライト警視正…普段から気苦労が多いのでしょうねぇ。潰瘍になるほど。彼の入院中、代理を任されたサーズデイ警部補のうんざりした顔が物語っていました。

カウリー総合病院には、シーズン2でモースが恋に落ちたモニカも看護師として勤務していました。再会して気まずい表情を見せる2人。

「君は幸せ?」とモースに聞かれ、「あなたは?」と聞き返すモニカ。
2人ともあんまり幸せそうには見えませんでしたね。

犯人は後輩の面倒見がいい看護師のミルズ。15年前、パウエル医師とマクマホン看護師長に従妹のモリーを殺されたことへの復讐でした。

2人は30分だけベル(ナースコール)を切って、“行為”に及んでいたのです。その間にモリーは容態が急変し、措置が間に合わず亡くなりました。ただの麻疹だったのに……。

2人にそんなつもりはなかったのでしょうけど、その場で2人の“行為”を目撃してしまったミルズは許せなかった。子どもだっただけに心の傷は深かったでしょう。

その後、マクマホン師長はパウエル医師との婚約を解消し、仕事に対してことさら厳しい態度を取るようになった。新人にも容赦なく、“意地悪ばあさん”と呼ばれるまでに。

犯人が10番のベッドに置いていったスイートピーの花をすべて押し花にして、捨てずに大切に持っていたのは、罪を受け入れる覚悟の表れだったのかもしれない(スイートピーの花は、モリーが入院していた“スイートピー病棟”を意味していた)。

モースは病院でかつての恋人スーザンの母親と再会。スーザンはモースの婚約者だったようなのですが、何らかの事情で破談になったみたいです。

何があったんでしょうねぇ。
母親にはずいぶん嫌われているようでしたが。

サーズデイの妻ウィンは、うつを発症してしまったようです。
朝のサンドイッチも作らず、塞ぎ込むようになりました。

苦しむ夫妻を見かねたモースは、ひそかにジョアンのモンタージュを作り、仕事を休んでレミントンへ。公衆電話の近くであっさりジョアンを見つけます。

が、家には戻らないと言い張るジョアン。
モースへの想いを匂わせながらも、追い返してしまいました。

警部補の娘なのに銀行強盗の仲間と付き合い(知らなかったとはいえ)結果的に強盗の手引きをして同僚を死なせてしまったことが、相当こたえているようです。

「誰も罪から逃れられない。償わせるのが我々の仕事だ」

今回の事件が収束した後、サーズデイ警部補が言ったセリフ。
彼は自分が追う“犯罪者”をイメージして言ったのでしょうけど……。

モースとジョアンがその罪の代償に苦しんでいるとは、サーズデイ警部補は思いもしないのでしょうね。ジョアンが家に帰れない理由も、そのあたりにありそうです。

今回のラストに見せられたのは「死」のカード。
占っているのは誰なんだろう。

Case17 不吉な収穫祭

占い師、ドルイド教、魔女、黙示録、キューバ危機、原発……と、 タイトルどおり不吉な要素が満載の回でした。

前回、消化性潰瘍で入院したブライト警視正は無事復帰。よかったですね。

Case14から毎回ラストシーンに出てきたタロットカードは、今回登場した森の中に住む占い師チャトックスの占いだったようです。

彼女の先祖と思われるアグネスは、悪魔と交わり黒魔術を使ったという理由で処刑されたそうですが、ドルイド教の信者だったのでしょうね。

ドルイド教は、古代ケルト民族が信仰していた魔術的宗教。輪廻転生を信じ、聖なる力を持つ樹木や泉水などを崇拝していました。キリスト教から見れば“異教”です。

行方不明になったラックスマン博士の車をヒッチハイクしたワレンが唱えていたのは、“黙示録のラッパ吹き”。新約聖書のいちばん最後の書「ヨハネの黙示録」に記されています。

「第1の天使がラッパを吹くと、血の混じったひょうと火が現れ、地上に降った。すると木の3分の1とすべての青草が焼けたのだ」

最後の7人目の天使がラッパを吹くと、世界の終わりが訪れキリスト教徒以外の人々が滅ぶ……という“核戦争による終末”を想起させる預言的な内容。

禍々しい雰囲気が漂うラックスマン博士の失踪事件でしたが、結局原発も魔女も関係なし。犯人は博士の愛人だったセリーナに片想いをしていたチャトックスの孫・セスでした。

サーズデイ警部補はモースの私物の中からジョアンの住所が書き込まれたモンタージュ写真を見つけ、ジョアンに会いに行きます。

どうやら彼女、既婚者のレイに部屋をあてがわれていたようで(昔で言うところの妾?)、激怒したサーズデイ警部補は、レイを殴りつけて「今度娘に近づいたらブタ箱にぶち込む」と脅迫。

サーズデイ警部補はジョアンの居場所を知らせなかったモースを責めていましたが、彼もモースとまったく同じことをしてるんですよね……。

妻のウィンには何も言わず、ひとりでジョアンに会いに行って、「家に連絡を入れてほしい」と頼んでるんです。その後も、ジョアンと会ったことをウィンには告げていません。

ジョアンは顔にアザができるほどレイに殴られ、部屋を追い出されました。最低な男。なんでこんなクズ男に引っかかったのよ~ジョアン!

傷心のジョアンは家に帰れず、モースのもとへ。彼女の頬のアザを見て憤ったモースは、勢いで「結婚しよう」とプロポーズ。ジョアンに「同情は嫌なの」と言われてしまいます。

しかし、彼女がプロポーズを断ったのには別の理由もあったようで。

その後、ジョアンが倒れたという連絡を受け、モースは彼女が運び込まれた病院へ駆けつけます。容態を尋ねたモースに、医師は「どうなるかは“神のみぞ知る”だ。でも彼女はまだ若い。2ヶ月もすればまた…」などと意味深なことを言います。

これってもしかして、流産……?

気になったので英語のセリフを調べてみたのですが、やっぱり「2ヶ月もすればまた」の後に、「挑戦できると確信しています」「次はきっとうまくいきますよ」と言っているようです。

何も知らないサーズデイ警部補は、女王陛下からジョージ・メダルを授与され、バッキンガム宮殿の前で満面の笑み。モースも授与されましたが、デスクの上に置かれたメダルを見て、思い詰めた表情をしていました。

モースはオックスフォードを離れてロンドンに行くことを決意していたんですよね……。でもきっと留まるのだと思います。ジョアンのこともあるし。最後の日、サーズデイ警部補には別れを言い出せなかったし。

モースの不遇はいつまで続くんだろう。
本家「主任警部モース」も出世には縁がない感じだったからなぁ。

シリーズ記事一覧