WOWOWの連続ドラマ「コールドケース2-真実の扉-」第6話“バブル”のあらすじと感想(ネタバレ有)です。
今回の舞台は1988年のバブル全盛期。昭和の男たちが渋いです(実際にはこういう人たち見たことないけど)。
ゲストは奥田瑛二さんと金田明夫さん。寡黙で一本気な“兄貴”と、お調子者の“弟”は、30年経っても変わらず。
ちなみに今回の話は完全オリジナルのため、原案となるアメリカ版のストーリーはありません。
▼シーズン3はこちら
ネタバレ有「コールドケース3-真実の扉-」登場人物(キャスト)一覧・全話あらすじ感想Contents
第6話「バブル」のあらすじ
本木(三浦友和)が若い頃、初めて逮捕した暴力団の構成員・金村敦(奥田瑛二)が30年ぶりに出所し、挨拶にやってくる。金村は服役中に殺された恋人マリア(水崎綾女)の復讐を企てていたが、2年前に脳梗塞を患い体が不自由になっていた。
金村は同じ組員で昔なじみの橋下(金田明夫)のもとに身を寄せる。金村を案じた本木は、マリアを殺した犯人を突き止めるため再捜査に乗り出す。クラブ歌手だったマリアと金村は「クラブ葵」で出会い、恋に落ちたのだった。
「クラブ葵」のママ・日高美智子(洞口依子)は、マリアが竜神会会長・竜崎(石橋蓮司)の愛人だったことを話す。竜崎は金村とマリアの仲を裂くために金村に鉄砲玉を命じ、7年後、その事実を美智子から聞いたマリアは激怒したと言う。
本木は入院中の竜崎に事実を確かめようとするが、偶然見舞いに来ていた金村に話を聞かれてしまう。金村は竜崎に刃向かったマリアが手下の安野(矢島健一)に殺されたと思い込み、安野を殺そうとする。
そこへ橋下が現れ、マリアを殺したのは俺だと告白する。当時借金を抱えていた橋下は、安野が提示した金に目がくらんで仕事を引き受けたのだった。橋下は金村が手にしていた銃を自らに向け、自死する。
▼登場人物一覧はこちら
ネタバレ有「コールドケース2-真実の扉-」登場人物(キャスト)一覧・全話あらすじ感想第6話で使用された曲
- 「恋人よ」五輪真弓
- 「ANGEL」氷室京介
- 「ラヴ・イズ・オーヴァー」欧陽菲菲
- 「とんぼ」長渕剛
第6話の感想
時代に取り残された男たち
金村が出所する日、迎えに来たのはたったひとり、弟分の橋下だけでした。
この冒頭のシーン、たまたま撮影日に雪が降ったのでしょうか。薄暗さと雪の冷たさが金村の老いと孤独に重なり、印象深いシーンになっていました。
30年間の刑務所暮らしで、金村はすっかり浦島太郎状態。ワイヤレスヘッドセットで電話する橋下を見て、「まるでSF映画のようだ」とぽつり。
バブルの頃は、携帯電話もなかったからねぇ。平野ノラさんがネタで使ってる「ショルダーフォン」は、1985年発売。でもわたし、使ってる人見たことないなぁ。庶民の暮らしには縁がない代物でした。
出迎えた橋下のほうも、ひとめで「あんまりいい暮らししてないな」とわかるくたびれっぷり。時代に取り残された男たちの侘しさが漂っていました。
昭和の男には欧陽菲菲が似合う
今回も、当時の流行歌がBGMに使われていました。どれもうまくハマっていましたが、「ラヴ・イズ・オーヴァー」が2回とも沁みた。
この歌は当時、本当によく流れていました。台湾出身の歌手、欧陽菲菲(オーヤン・フィーフィー)さんの代表曲です。今でも多くの歌手の方がカヴァーされているので、若い人もきっと耳にしたことありますよね。
発売されたのは1980年で、ヒットしたのが1983年。でも、この歌の世界観は、わたしの感覚だと1960年~1970年代くらいなんですよね。少なくともバブル時代ではない。
1983年当時わたしは10代前半でしたが、ベストテンで彼女が歌うのを見て「ずいぶん時代遅れな歌だなぁ~」なんて思ってました。この選曲には、そういう意味も含まれていたのかもしれません。
マリアの墓を建てていた男
マリアを殺した男を見つけ出し、復讐することだけが生きがいだった金村。
後半、課長代理が金村からの手紙を読むシーンがあります。マリアが殺されて半年後に届いた手紙です。
その中で金村は、「マリアの墓を建ててくれた橋下には感謝しかありません」と綴っていました。その橋下から「マリアを殺したのは俺だ」と知らされたとき、金村はどんな思いだったのか…。
金村が引き金を引くことができなかったのは、橋下がこの30年間地べたを這いずるように生きて、苦しみ続けたことを察したからではないでしょうか。
時代に取り残された不器用な男は、金村と橋下だけじゃありません。仕事に明け暮れ家庭を壊した課長代理もまた、そのひとり。
代理は「バブルの頃はよかった」なんて言わないだろうけど、取り戻せない時間に思いをはせることは、きっと誰にでもあると思います。
「コールドケース」記事一覧