「刑事モース~オックスフォード事件簿~」Case24のあらすじと感想です。
今回からシーズン6に突入。
モースたちが慣れ親しんだカウリー署はなくなり、人間関係が大きく変わりました。どうなることかと思ったけど、めちゃくちゃ面白い。
Case20に登場したボックス警部がまさかのレギュラー入りで再登場。ただの嫌なヤツというわけでもなさそうで、彼がどう絡んでくるのか楽しみ。
モースは制服警官としてスタート。口髭は似合ってないけど、制服ともども新鮮ではありました。オックスフォード郊外の田舎の風景が溜息が出るほど美しい!
Case24「花飾りの少女」のあらすじ
1969年7月上旬。カウリー署が閉鎖され、メンバーはそれぞれの配属先へ。モースはウッドストックの派出所で制服警官となり、サーズデイは部下を殉職させた責任を問われ警部補に降格、キャッスルゲート署の刑事部でボックス警部の部下として働いていた。
ある日、モースは失踪した馬を追って畑の中に入り、行方不明になっていた10歳の少女アン・カービーの遺体を発見する。ほどなく、ホームレスで麻薬常習者のスタンリー・クレメンスが逮捕される。
ボックスはクレメンスを犯人と決めつけ捜査を進めるが、モースは異議を唱える。制服警官に捜査の権限はないと、モースを閉め出そうとするボックス。
クレメンスの父フィリップは妻のメアリーを殺害した罪で死刑となっており、かつて事件現場から幼いクレメンスを救出したサーズデイもまた、クレメンスを犯人とすることに複雑な思いを抱えていた。
クレメンスの部屋の床下からアンのものと思われるヘアバンドが見つかる。だがモースが調べたときにはヘアバンドはなく、何者かがクレメンスを嵌めようとして仕込んだものと思われた。
祭りの日、クレメンスは病院から脱走し、ロージーという少女が行方不明になる。モースはカメラマンのクログリンから「アンは本が大好きだった」という情報を得て、アンがウィーピング・クロス移動図書館を利用していたことを知る。
アンの足取りを追ったモースは、彼女が移動図書館からの帰り道に車にはねられていたことを突き止める。車を運転していたのはスカイナーの妻マギーだった。彼女は娘の病院に通うため、免許を取ったばかりだった。
アンの遺体を畑の中に置いたのは、鉄塔の管理業者が点検の際に見つけてくれると思ったからだった。だが業者は鉄塔を点検せず、スカイナーは遺体を発見させるためにわざと馬を放したのだった。
クレメンスは教会で遺体となって発見される。薬物の過剰摂取だった。サーズデイはボックス警部がクレメンスを陥れるためにヘアバンドを彼の部屋に置いたことを確信する。
シェリダン博士の娘ソフィーは、3年前に失踪したエミリー・ベイヤードだった。モースたちはエミリーを保護し、シェリダン博士が隠れ家にしている廃墟でロージーを見つける。シェリダンは成長したエミリーの代わりにロージーを誘拐し、写真のモデルにしようとしたのだった。
ストレンジはモースの人事異動を願い出る。辞令を受けたモースは、巡査部長としてキャッスルゲート署刑事部でボックス警部のもと任務にあたることになる。
Case24の登場人物(キャスト)
アン・カービー(アヴァ・マスターズ)
行方不明の少女。7月1日の学校帰りに姿を消し、畑の中で花冠と花束を添えられた状態で遺体となって発見される。本が大好きで、ウィーピング・クロスにある移動図書館に通っていた。
スタンリー・クレメンス(アストン・マコーリー)
ホームレス。麻薬常習者で、教会のポーチで寝泊まりしている。幼い頃、父フィリップが母メアリーを殺害。事件現場からサーズデイに救出された。
シェリダン博士(ロジャー・メイ)
大学教授。ヴィクトリア朝の骨董品蒐集を趣味としている。郊外で娘のソフィーと暮らしている。
アーネスト・クログリン(マイク・グレーディ)
カメラマン。写真スタジオを経営している。学校アルバムの写真撮影時、行方不明の少女アンと会話を交わしている。
ミック・ハインズ(カリ・ベスト)
バス運転手。毎日バンベリー小学校の子どもたちを乗せている。
ポスティル牧師(ヒュー・サックス)
ウッドストックの教会の牧師。ホームレスが寝泊まりしていることをモースに報告する。一度も教会へ足を運ばないモースを気に懸ける。
ティングウェル(サイモン・ヘプワース)
農場主。馬が盗まれたことを警察に通報し、モースが聞き取りを行う。
アルフィー・スカイナー(トム・カントン)
農場主。数日間だけクレメンスを雇っていたことがある。
マギー・スカイナー(Katharine Bubbear)
アルフィーの妻。筋ジストロフィーを患う娘のローレルを町の病院へ連れていくため、車の免許を取得したばかり。
エミリー・バイヤード(エリザベス・ウェルズ)
3年前から行方不明になっている少女。
ヴィヴ・ウォール(アリソン・ニューマン)
福祉部のジョアンの上司。
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ネタバレ有「刑事モース」シーズン6(Case24~27)全話あらすじ・感想・キャストCase24「花飾りの少女」の感想(ネタバレ有)
モースが制服警官に
ウッドストックの派出所の制服警官となったモース。なんでも赴任した翌月に刑事部が予算削減のため廃止になり、残るには制服警官になるしかなかったとか。不運。
そのせいか以前にも増してシニカルになり、みんなで誓い合ったファンシー殺しの犯人を見つけ出すという約束も、「最初から無理なことだったんだ」とすっかり諦めモード。
派出所を訪ねてきたストレンジは、「部門間将来計画運営委員会」というところで書類仕事をしているらしい。なんだかよくわからないけど、ファンシーを殺した犯人を追うことは諦めていない。
ブライト警視正は、キャッスルゲート署の交通部に配属(辞める宣言してたけど、撤回したのね)。“ペリカン歩道”と呼ばれる押しボタン式信号機付き横断歩道のPR映像に出演し、警官たちに嘲笑されていました。
サーズデイ警部は、ファンシーを殉職させた責任を問われて警部補に降格され、キャッスルゲート署の刑事部で、なんとあのボックス警部の部下になっていました!
ボックス警部の意外な一面
Case20でカウリー署に派遣されてきたときは、トルーラブを殴ろうとしたりブライト警視正を脅したりと、典型的な不良刑事だったボックス警部。
暴力的で横柄でほんっとに嫌なヤツだったけど、今回は少し人間らしい部分も見えました。少女の検視解剖に立ち会うのを「見たくない」と拒んだり、彼女の死を両親に知らせる役目をサーズデイに任せたりと、意外と気弱な一面があるらしい。
いちばん驚いたのは、彼が自分のこともサーズデイ警部補のこともよくわかっていて、「手を貸してほしい」と頼んできたことです。
「あんたはフレッド・サーズデイ。みんなに一目置かれてる。確かだ。俺のやり方は荒っぽいが、ここまで来れたのはこの腕力と努力があったからだ。あんたもきっと同じだろう。何かやれるはずだ、俺たちで。子どもたちが無事に成長できるような安全な地域にしよう。手を貸してくれ」
こんなこと言える人だったのね……驚き。
ボックス警部は、クレメンスを犯人に仕立て上げるため、証拠となるヘアバンド(偽物)を彼の部屋に持ち込んでいました。
でも、かつてサーズデイ警部補も同じことをしていたのです(実際にやったのは部下ですが)。
クレメンス事件の顛末
クレメンスが幼い頃、父フィリップは妻のメアリーを殺したとして逮捕され、その後絞首刑に。彼は死ぬ間際まで無実を訴えていましたが、トイレのタンクから発見された凶器が決め手となりました。
当時捜査を担当したサーズデイ警部補は、「フィリップは冤罪だったのではないか?」「凶器を見つけた助手の巡査が仕込んだのではないか?」と、疑念を抱えながらも言い出せなかったのでしょう。
ボックス警部と捜査にあたる中で、過去の拭いきれない疑心が再びよみがえることになってしまいました。
モースは教会のオルガンの裏に隠してあったフィリップの鞄を発見。鞄の中には血染めのシャツと、血が付着した凶器が入っていました。
つまり、犯人はフィリップだった。冤罪ではなかった。けれど、決め手となった凶器は偽物。当時の巡査が仕込んだものだったのです。
サーズデイ警部補は鞄を提出して自首すると言いますが、モースは発見したのは自分だから任せてほしいと鞄を引き取り、密かに教会のオルガンの裏に戻しました。
普段は堅物で不正は決して許さないのに、大切な人のためなら証拠隠蔽も厭わないモース。そういうところがグッときてしまう。
サーズデイ家は前途多難
前回、モースとジョアンの関係に期待を持たせるラストシーンでしたが、モースはあっさりフラれたようです。やっぱりか…。
ジョアンは福祉部で見習いとして働き始めたようです。警察署の中に福祉部があるってことですかねぇ? ちょっとよくわからない。
警察官の父親を嫌がっていたのに、なんで警察の仕事をする気になったんだろう。ジョアンの行動は毎回謎。また面倒くさいことに巻き込まれなきゃいいけど。
上司のヴィヴはなかなかのやり手のようで、ボックス警部が相手でも毅然とした態度。彼女が上司なら安心かもしれない。
サーズデイ警部補の妻ウィンは家に戻ってきたみたいですが、夫婦間の仲は冷え切っていましたね…。恒例の手作りサンドイッチはもう見られないんだろうか。
少女誘拐の真相
少女アンが姿を消したのは1969年7月1日。チャールズ皇太子(当時21歳)の叙任式が行われた日です。劇中、テレビからその音声が流れていましたね。
アンを殺した犯人として、最初は麻薬常習者でホームレスのスタンリー・クレメンスが、次に少女の写真を集めていたシェリダン博士が疑われますが、真犯人は農場主スカイナーの妻マギーでした。
病気の娘のために免許を取ったばかりだった彼女は、学校帰りのアンを車ではねてしまったのです。
娘のために逮捕されるわけにはいかなかった、と死体を遺棄した理由を泣きながら語るマギー。遺体に花が添えられていたのは彼らなりの弔いの気持ちだったのでしょうが、アンの両親の気持ちを思うとやりきれません…。
シェリダン博士の娘ソフィーが、3年前から行方不明の少女エミリーだったことも判明。写真のモデルにするために拉致したらしく、彼女が大きくなったから代わりにロージーを誘拐したという。こちらは同情の余地なし。許せませんね。
モース、刑事にもどる
アンの遺体を偶然発見したことから、サーズデイ警部補やドクター・デブリンと再会することになったモース。
制服警官のため捜査の権限を与えられないモースでしたが、ボックス警部の見当違いな捜査を見て黙っていられなくなり、どんどん首を突っ込んでいく。そうこなくちゃ。
見かねたストレンジがモースの人事異動を願い出てくれたおかげで(いつの間にそんな権限を持つ立場になったの?)、次回からキャッスルゲート警察署の刑事部で巡査部長として働けることになりました。あぁよかった。
ファンシーを殺した犯人も気になるところ。
今のところ、ストレンジがひとりで捜査に当たっています。
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