シャーロック・ホームズの冒険*第21話「四人の署名」ネタバレ感想

海外ドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」キャストあらすじ

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海外ドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」第21話「四人の署名」のあらすじと感想です。

原作はホームズシリーズの2作目となる長編小説。原作ではのちにワトソンの妻となる(諸説あり)メアリー・モースタンが依頼人として登場します。

メアリーに届いた手紙をきっかけに、アグラの財宝をめぐる事件に巻き込まれるホームズとワトソン。前半はホームズの推理と追跡、後半は犯人逮捕と「四人の署名」の真相が犯人によって語られます。

名犬トビイによる犯人追跡、少年探偵団の活躍、蒸気船を使ったテムズ川での攻防と、見どころ満載です!

第21話「四人の署名」あらすじ

若く美しい女性メアリーがホームズを訪れる。彼女の父はインド連隊の士官モースタン大尉で、10年前から行方不明だという。そして6年前から毎年同じ日に謎の人物から真珠が届くようになり、ついにその朝、呼び出しの手紙が届いたのだった。

メアリーは父が持っていたという見取り図を見せる。そこには奇妙な記号と四人の署名があった。ホームズとワトソンはメアリに同伴し、手紙の送り主サディアス・ショルトーと会う。

サディアスは3人を歓迎し、メアリーに真珠を送ることになった経緯を語る。彼の父ジョン・ショルトー少佐とモースタン大尉は、インド駐留時代に莫大な財宝を手に入れていた。

ショルトーは宝を独り占めしようとし、彼を追って帰国したモースタン大尉と口論になった。その最中にモースタン大尉は発作を起こして亡くなり、ショルトーは彼の遺体を密かに埋葬して隠蔽したのだった。

6年前、ショルトーは自分の過去の罪を2人の息子に打ち明けて死んだと言う。彼は生前から義足の男をひどく恐れていたが、死の翌日、遺体の上にはシーク族の「4」を表す赤い記号と「THE SIGN OF FOUR(四人の署名)」と書かれた紙が置かれていた。

サディアスがメアリーに届けていた真珠は、財宝のひとつにすぎなかった。欲深い兄のバーソロミューを説得し、それだけは許されたという。ショルトーは財宝の隠し場所を告げずに亡くなったが、昨日ついに兄弟は財宝を見つけたのだった。

サディアスに連れられ、ホームズたちは財宝の分け前を要求するためバーソロミューのいる〈ポンディチェリ・ロッジ〉に向かう。しかしバーソロミューは自室で変死を遂げており、財宝の箱も消えていた。

毒針と石斧、例の暗号を書いた紙が見つかり、部屋に残っていた足跡から、ホームズは犯人の特徴を「ひとりは右足に木の義足をつけた中年男で、もうひとりは我々の想像を絶する怪人」と推測する。

知らせを受けて駆けつけたアセルニ・ジョーンズ警部は、見当違いな推理でサディアスと館の召使いたちを逮捕する。ホームズは犬のトビイに犯人を追跡させ、彼らが船着き場から小型艇に乗って逃げたことを突き止める。

ホームズはベイカー街特別探偵団に船の行方を探させ、ジェイコブスン造船所に預けられているという情報を得る。ホームズはジョーンズらとともに警察の蒸気艇に乗り込み、出航したオーロラ号を追う。

追跡の中、義足の男ジョナサン・スモールに付き添うアンダマン諸島の原住民トンガが毒矢を放ち、ワトソンがトンガを射殺する。岸に追い詰められたスモールはついに逮捕される。

一同はベイカー街に戻り、メアリーも同席の上、スモールの話を聞くことに。元下士官のスモールはインドで大暴動が起こった際、アグラにあった砦に逃げ込み、その門のひとつを警備していた。

スモールとともに警備にあたったシーク兵はカーター・シン、インダジット・シンといい、2人はある日、信じられない話を持ちかけてきた。この地方の王族が暴動が終わるまでアグラの砦に財宝を隠すことになり、今夜カーターのいとこジャゴディッシュ・シンの案内で王家の家来が財宝を持って砦に来るというのだった。

カーターたち3人は家来を殺して財宝を横取りしようと企んでおり、見逃せば財宝の4分の1をやると言われたスモールは、彼らの仲間に加わった。家来を殺し、莫大な財宝を手に入れた4人だったが、家来の遺体が発見されたため4人は逮捕、終身刑としてアンダマン諸島の監獄に送られた。

そこへモースタン大尉が赴任してきた。彼の友人であるショルトー少佐が借金を抱えていることを知ったスモールは、2人に取引を持ちかける。自分たち4人の脱走に手を貸してくれたら、財宝の5分の1を2人に渡すというものだった。

6人は協定を結び、スモールは財宝のありかを書いた図面をモースタン大尉とショルトー大佐に渡した。だがショルトーはインドで宝を発見すると、そのままイギリスに持ち帰ってしまった。彼を追って帰国したモースタン大尉も亡くなり、それ以来、ショルトーへの復讐を生きがいに生きてきたと話す。

その後、スモールは命を救った原住民のトンガに懐かれ、彼のカヌーで一緒に逃亡し、長い年月をかけてロンドンに辿り着いたのだった。

ホームズたちが財宝の箱を開けると、中身は空だった。船が追いつかれそうになったとき、スモールがテムズ川に捨てたのだ。「俺と3人の仲間がこうなった以上、もう誰にも権利はない」というスモール。

メアリーは財宝に関わった人間がみな不幸に見舞われていることから、「なくなってホッとした」と語り、ベイカー街を後にする。ワトソンは去っていくメアリーを寂しそうに見送り、「実に素晴らしい女性だ」とつぶやく。

ホームズはベッドに入り、「そうだったのか。気がつかなかったなぁ」と答えて眠りにつく。

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第21話の感想(ネタバレ有)

メアリーの父親にまつわる謎

最初の謎が解き明かされたと思ったら、また新たな謎が…と、いくつもの謎が現れる展開にわくわくしました。最初に持ち込まれた「メアリーの父親にまつわる一連の謎」は、割と早い時点で解明します。

  • 10年前、メアリーの父親が失踪した理由
    友人のショルトー大佐のもとを訪ね、インドで手に入れた財宝のことで口論になった際に発作を起こして亡くなり、ショルトーによって隠蔽された
  • 6年前、メアリーのもとに真珠が届いた理由
    ショルトー大佐が亡くなり、彼の遺言を受けて息子サディアスが償いのために財宝の一部を送っていた
  • 今回、メアリーが手紙で呼び出された理由
    財宝が見つかったため、サディアスが欲深い兄バーソロミューを皆で説得して財宝の分け前を要求しようとした

しかしバーソロミューは殺され、財宝は何者かに盗まれてしまいます。
バーソロミューを殺して財宝を持ち去ったのは誰か? 現場に残されていた「四人の署名」は何を意味するのか? という謎へと移行します。

バーソロミューが住んでいた〈ポンディチェリ・ロッジ〉がとても豪華でしたね~。ロケ地はノース・ヨークシャーにあるアラートン城(Allerton Castle)だそうです。

名犬トビイの活躍

中盤は名犬トビイや少年探偵団の活躍が微笑ましかったです。いつもよりロケが多い印象で、ロンドン市内を駆け回るホームズの颯爽とした姿が美しかった。変装も例によってお見事でした。

トビイがクレオソートの匂いを辿って犯人を追跡するところで、途中で間違えてクレオソートが入っている樽に辿り着くのは、原作にもあるシーンです。ここ好きだったので、再現してくれて嬉しかった。

ちなみに原作では、トビイは「半分スパニエル、半分ラーチャーの血を引く醜い犬」と描写されてます。ドラマでは可愛かったですけどね。コリーかな?

この追跡の道中、ホームズがショルトー少佐とモースタン大尉、犯人のジョナサン・スモール、ならびに「四人の署名」の関係をほぼほぼ解き明かし、ワトソンに語って聞かせています。

ジョーンズ警部も原作通りの人物でした。「赤髪連盟」に出てきたジョーンズかしら? と思ったらあちらはピーター・ジョーンズで、別人でした。

財宝を手にすべきは誰か?

ホームズたちはテムズ川で犯人のジョナサン・スモールを捕まえます。終盤はスモールによって、「アグラの財宝」にまつわる一部始終が語られました。

そもそも財宝はどこからやってきて、どういう経緯でショルトー少佐の手に渡ったのか?

  • もともとの財宝の持ち主
    インドの王族。暴動が終わるまでアグラの砦に財宝を隠そうとして、奪われた
  • 「四人の署名」の正体
    砦にやってきた王族の家来を殺し、財宝を奪った4人(ジョナサン・スモールと、シーク族3人)。秘密を守り、財宝を山分けにする誓いを立てた。その後、家来殺しで逮捕され、全員投獄された
  • ショルトー少佐の手に渡った理由
    刑務所にいたスモールが取引を持ちかけた。財宝の5分の1を渡す代わりに、4人の脱獄を手伝うのが条件だったが、ショルトーは約束を破り宝を独り占めして帰国した

ここで語られるインドでの大暴動とは、1857年5月に起こった「インド大反乱」のこと。当時、インドはイギリス東インド会社の支配下にあり、この会社に雇われていたインド人傭兵らが反乱を起こしたのがきっかけです。

1859年に鎮圧されましたが、この暴動によって英国政府は東インド会社を解散し、直接支配に切り替えました。

スモールはあくまで自分たち4人が正統な財宝の所有者であると主張していましたが、人を殺して盗んだわけですから、現代の価値観で考えれば彼らにも所有権はありませんよね。

原作との違い

ここからは深町眞理子さん訳の創元推理文庫版『四人の署名』をもとに、ドラマと原作との主な違いを見ていきます。

発表は1890年、ホームズ作品の第2作目にあたる長編小説です。

この作品は、著者アーサー・コナン・ドイルがアメリカのリピンコット誌から依頼を受けて書いたものですが、その会合が行われたのが〈ランガム・ホテル〉でした。そう、この物語の中で、失踪したモースタン大尉が泊まっていたホテルです。

このとき作家のオスカー・ワイルドも同じく執筆依頼を受けていて、ドイルと同席しています。そして彼がリピンコット誌に書いたのが『ドリアン・グレイの肖像』でした。

ワトソンの結婚

今回はドラマも2時間スペシャルと長尺でしたが、なにぶん原作が長編なので、細かい描写や説明部分はかなり省かれていました。ただ必要な部分はしっかり再現されていたので、物足りなさはあまり感じなかったです。

原作との最も大きな違いは、やはり「ワトソンの結婚」。ホームズの物語はワトソンによって語られていますが、今回ほど苦悩しているワトソンは初めてです。

最初にメアリーが訪ねてきたときから、彼女に一目惚れしてしまったワトソン。それ以降、ずっと彼女への恋心に苦しみ、捜査の間も自分の欲望と理性との間で悶々としています。

夢想にふけってよからぬことまで考えてしまいそうになったり、メアリーと二人きりになるとテンパって、意味不明な話を延々としてしまったり。

財宝によってメアリーが億万長者になるとわかると、彼女の幸せを思って喜ぶと同時に、ますます自分の手の届かない存在になってしまう…と相反する思いが生じて自己嫌悪に陥り、めっきり口数が減ってしまったり。

いつもと違うワトソンがとにかく可愛いです。

そして最後に財宝がおじゃんになったとわかると、その場の勢いでメアリーにプロポーズします!(ドラマではホームズたち全員の前で箱を開けましたが、原作ではワトソンがメアリーの家に箱を持参し、2人で開けています)

メアリーも同じ気持ちだったので、2人は結婚することになり、ワトソンはベイカー街を去ることをホームズに告げています。ドラマでは寂しげにメアリーを見送るワトソンが印象的でしたが、原作は幸せな空気に包まれて読後感はとてもよかったです。

この作品が発表された時点では、ホームズはまだそれほどの人気ではありませんでした。著者のドイルは、「今回でホームズシリーズは終わり」そんな気持ちもあったのかも。

深夜の冒険

メアリーに同伴し、手紙の送り主サディアス・ショルトーの家に招かれるホームズとワトソン。その後、彼と一緒にノーウッドの〈ポンディチェリ・ロッジ〉へと赴くのですが、ドラマでは到着時、すでに朝になっていました。

原作では、彼らが〈ポンディチェリ・ロッジ〉に到着するのは深夜。そこで殺人事件に遭遇し、警察を呼び、ワトソンがメアリーを自宅に送り届け、ついでにトビイを借りに行き、再び〈ポンディチェリ・ロッジ〉に戻ってきたのが午前3時。

そこからトビイを連れて犯人を追跡し、船着き場で足取りが途絶え、2人がベイカー街へ戻った時刻は午前8時。

興奮してギラギラしているホームズと違い、ワトソンは心身ともに疲れ切っている状態で、ホームズが奏でるバイオリンの即興演奏を聞きながら眠りに落ちる…という流れになっています。

ホームズのボクシング歴

ドラマでは省かれていましたが、原作では〈ポンディチェリ・ロッジ〉の門番はホームズの知り合いでした。門番は元プロボクサーで、引退記念の義捐興業のときにホームズと戦っているのです。

「第三ラウンドまでおまえと互角に打ち合ったアマチュア、覚えていないかね?」と言うホームズに、あっ、と驚きの声を上げる門番。そして「旦那もせっかくの宝を持ち腐れにしたくちだね! プロでやってたら、けっこういいところまでいけたはずなんだが」と言っています。

ホームズのボクシング歴すごい。こうなるともうただの趣味ではないよね。恐ろしいわ。

ラストシーン

立ち去るメアリーを窓から名残惜しそうに見送り、「実に素晴らしい女性だ」とつぶやくワトソン。それに対してホームズは、ベッドに寝転んで目を閉じ、「そうだったのか。気がつかなかったなぁ」とどうでもいいように返します。

ドラマではラストシーンだったこのやりとり、原作では序盤に登場します。ホームズを訪ねてきたメアリーが、その日の夜に再訪することを約束して帰る場面です。

窓から彼女の後ろ姿を見送り、「なんて魅力的な女性だろう!」と溜息まじりに言うワトソンに、「おや、そうかい? 気がつかなかったな」と答えるホームズ。

ワトソンは思わず「きみって男は、機械人形みたいなやつだな」と文句を言っています。