シャーロック・ホームズの冒険*第26話「バスカビル家の犬」ネタバレ感想

海外ドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」キャストあらすじ

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海外ドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」第26話「バスカビル家の犬」のあらすじと感想です。

原作を読む時間が作れなくて、放送からだいぶ遅れてしまいました。

原作は長編で、ドラマも2時間SPにはなっていましたが、かなりコンパクトにまとめられています。展開が矢継ぎ早だったので、ついていけない人もいたのでは…。

ムーア(ドラマでは荒れ地と訳されてました)がどういう場所なのか想像しにくかったので、映像で見せてもらえたのはありがたかったです。

第26話「バスカビル家の犬」あらすじ

ダートムーアの富豪サー・チャールズ・バスカビルが不審な死を遂げ、遺言執行人のモーティマー医師がベイカー街にやってくる。

バスカビル家では代々悪魔の犬に祟られるという言い伝えがあり、サー・チャールズは亡くなる前に恐ろしい犬の鳴き声を聞いたと話していたという。さらに死体の傍らに巨大な犬の足跡が見つかっていた。

莫大な遺産は唯一の相続人であるサー・ヘンリーが相続することとなり、ホームズはロンドンのホテルに滞在中のサー・ヘンリーと会う。彼のもとには「命が惜しければ荒れ地に近づくな」という脅迫文が届き、なぜか靴の片方が二度も盗まれるという怪事件が起きていた。

危険を感じたホームズは、ロンドンを離れられない自分に変わってワトソンをダートムーアへ送り込み、状況を逐一知らせるよう頼む。

広大な荒れ地に囲まれたバスカビルの館は、代々バスカビル家に仕えているという執事のバリモアとその妻が留守を守っていた。近くのメリピット荘には昆虫学者のステープルトンと妹のベリルが住んでいたが、ワトソンをサー・ヘンリーと間違えたベリルは、「今すぐロンドンに帰って」と警告する。

深夜、バリモアの怪しい行動に気づいたサー・ヘンリーとワトソンは、夫妻が脱獄囚のセルデンを匿っていることを知る。2人を問い詰めると、セルデンはバリモア夫人の実の弟だという。

セルデンは凶暴な殺人犯だったが、脳の手術を受けて子供同然となり、凶暴性はなくなったと話す。夫妻に同情したサー・ヘンリーはセルデンを見逃すことを決め、国外へ逃亡する彼のために古着を与える。

バリモアは先代のサ・チャールズが「L・L」というイニシャルの婦人から手紙を受け取り、亡くなった日に彼女から呼び出されていたことを話す。

ワトソンはラフター館に住むフランクランドを訪ね、彼の娘がローラ・ライオンズという名前であることを知る。彼女は名もなき画家と結婚し、フランクランドから勘当されていた。さらにフランクランドは、屋上の望遠鏡で子供が岩室に食料を運ぶのを見たという。

ワトソンはサー・ヘンリーをつけまわしている不審な人物の存在に気づき、その男が岩室に潜んでいると見てモーティマー医師とともに岩室を調べにいく。だがそこに現れたのはロンドンにいるはずのホームズだった。

ホームズは犯人を油断させるためにワトソンやサー・ヘンリーを騙してロンドンにいると思わせ、岩室に潜んで捜査を続けていたのだ。ホームズによると犯人はステープルトンで、妹と偽っているベリルは彼の妻だという。

そのとき、犬の声と恐ろしい叫び声が響き渡り、ホームズとワトソンが荒れ地を見に行くと、ヘンリーの古着を来たセルデンが死んでいた。ホームズはしばらく死体を隠すことに。

ワトソンとともにバスカビル家を訪れたホームズは、壁に飾られている先祖の肖像画の中に、ステープルトンにそっくりな人物がいることに気づく。ステープルトンはサー・チャールズの弟ロジャーの息子だと確信するホームズ。

翌朝、ワトソンとホームズはロンドンに引き上げるふりをして、ローラ・ライオンズのもとを訪ねる。彼女はステープルトンに結婚を申し込まれていたが、彼に妻がいることを知ると騙されていたことに気づき、すべてを告白する。

サー・チャールズに手紙を書いたのは、離婚の手続きに必要なお金を援助してもらうためだったという。手紙を書くよう指示したのはステープルトンだった。そうして事件の夜にサー・チャールズを門に呼び出したが、会いに行くのは止められ、これに関して沈黙を貫くよう誓わされたという。

夜、サー・ヘンリーはステープルトンに晩餐に招待され、メリピット荘へ向かう。そしてホームズに言われたとおり、帰りは馬車ではなく、荒れ地を歩いて帰ることに。

濃霧で視界が悪くなる中、ホームズとワトソン、モーティマー医師の3人はメリピット荘の近くで待機し、犬に襲われたサ・ヘンリーを救出。メリピット荘に監禁されていたベリルを助ける。

ステープルトンは“グリンペンの底なし沼”へ逃げ込むが、道を間違えて沼地に足を取られ、沈んでしまう。

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海外ドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」キャストあらすじドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」各話ネタバレ感想・登場人物/キャスト・原作比較・時代背景

第26話の感想(ネタバレ有)

異様な土地

まずはムーアについて。「沼地」を意味する古いゲルマン語に由来する言葉だそうです。

私は荒涼とした砂漠のような光景を想像していたけど、大きな岩がごろごろした丘という感じでしたね。湿原もあって、日本では見かけない風景でした。

物語の舞台ダートムーアは、イギリスの南西部デボン州にあります。“グリムスポンド”という青銅器時代の集落跡があるらしく、物語の中ではここがホームズの潜伏場所になっていました。

映像ではそんなに怖い演出はなかったけど、原作では物語の設定上、ムーアがとても薄気味悪く描写されていて、終始不気味な印象を与えます。

かの地を訪れた際、ワトソンは「この見るからに異様な土地」と語っています。バスカビル館も同様で、到着した初日はあまりの陰鬱さに気が滅入るほどでした。

バスカビル館のロケ地には、スタッフォードシャーにあるヒースハウス(The Heath House)が使われています。

ホームズの企み

サー・ヘンリーの警護をワトソンに託し、ロンドンに残るホームズ。素直なワトソンは言われたとおり見聞きしたことを手紙に書き(原作では日記も登場します)、ホームズに状況を報告します。

ところがこれは、犯人を油断させるためのホームズの計画だったことが判明。ホームズは早い段階からダートムーアに来ていて、荒れ地の岩室に潜伏しつつ、調査を進めていました。

ホームズに食料や必要な物を運んでいた少年は、ロンドンで彼の仕事を手伝っていたメッセンジャーボーイのカートライトです(ホームズが連れてきた)。

ラフター館に住むフランクランド(ローラの父)は、少年が岩室に食料を運んでいる姿を見て「脱獄囚のセルデンがあそこに隠れている」と思い込んでいましたが、隠れていたのはホームズでした。

ワトソンはバリモア夫妻がセルデンの世話をしていることを知っていますから、当然、岩室にいるのがセルデンではないとわかっています。館の周辺をうろつく不審な男に違いないと考え、岩室で待ち伏せていたところ、ホームズが現れたというわけ。

原作との違い

ここからは深町眞理子さん訳の創元推理文庫版『バスカヴィル家の犬』をもとに、ドラマと原作の主な違いを見ていきます。

発表は1901年。「緋色の研究」「四つの署名」に続く、シリーズ3番目の長編作品です。

この作品は、1893年に「最後の事件」でホームズがライヘンバッハの滝に落ちて姿を消してから、8年ぶりに発表された作品です。そのため、「最後の事件」以前に起きた事件という設定になっています。

1901年、著者のアーサー・コナン・ドイルは療養のためにノーフォーク州クローマーを訪れていました。そこで友人のフレッチャー・ロビンスンから、ダートムーアに伝わる不気味な伝説を聞いて興味をひかれ、この物語を書いたと言われています。

原作を読むと、ダートムーアという土地に強く惹かれたドイルの熱い思いが、細かな描写から伝わってくる気がします。

盗まれた靴

バスカビル家の遺産を相続することになったサ・ヘンリーは、ホテルで2度も靴を盗まれています。それも片方だけ。

ドラマでは言及されていませんでしたが、1度目は買ったばかりの新品の茶色い靴、2度目は古い黒靴でした。しばらくして、なぜか新品の茶色い靴だけが戻ってきます。

ラストシーンで、ワトソンとホームズが「犬にサー・ヘンリーの匂いを嗅がせて訓練したのか」「だから新品では役に立たなかったのさ。匂いがついてないからな」と言っていたのは、そのことを指しています。

原作では、靴が盗まれたことを知った時点で、事件に犬が関わっていることを見抜いていたと、後日ホームズが打ち明けています。

脅迫状

サー・ヘンリーのもとに、新聞の切り抜き文字を使った脅迫状が届きます。ドラマではホームズが推理を披露しただけでしたが、原作では、メッセンジャーボーイのカートライト少年に23件のホテルのリストを渡して、ゴミ箱の中に〈タイムズ〉が捨てられていないか探させています。

結果は空振りでしたが、このホテルのリストの中に、犯人(ステープルトン夫妻)が泊まっていたホテルが含まれていたことが後に判明します。

さらに原作のホームズは、脅迫状に染みついていたホワイト・ジャスミンの香りから、脅迫状の送り主が女性であることに気付いていました。

この時点で、ホームズは既にステープルトン夫妻に注目し、ダートムーアへ行く前から犯人の予想がついていたことを、後日ワトソンに明かしています。

ロンドンでの追跡

ドラマでは、ホームズとサー・ヘンリーたちがレストランで朝食を取っていたとき、怪しいあごひげの男が彼らを監視していました。ホームズが気付いて追いかけますが、まんまと逃げられてしまいます。

この男はステープルトンです。このとき彼は妻とともにロンドンに来て、サー・ヘンリーを殺すチャンスをうかがっていたのですが、ホームズがいたため実行できませんでした。

原作では、サー・ヘンリーが犯人につけ回されていることに気付いたホームズが、ベイカー街から帰るサー・ヘンリーをワトソンとともに尾行して、あごひげの男が乗車している怪しい馬車を見つけて追跡する…という流れ。

追跡するもののまんまと逃げられ、しかも彼が「シャーロック・ホームズ」と名乗っていたことを知ったホームズは、犯人がとても狡猾で頭の良い人物だと判断します。

そのことがあって、ワトソンはダートムーアで目撃した怪しい男(実はホームズ)を、このあごひげの男ではないかと考えていました。

バリモア夫妻と脱獄囚セルデン

バリモア夫妻の怪しい行動に気付いたサー・ヘンリーとワトソンは、彼らが脱獄囚のセルデンを匿っていることを知ります。

ドラマでは、セルデンは頭の手術を受けて知能が子供同然になり、凶暴性はなくなったと言っていましたが、ここは原作にはありません。凶悪犯のセルデンを見逃す理由として、テレビ用に付け加えられたものと思われます。

セルデンはサ・ヘンリーの古着を着ていたために、犬に襲われて死にます。ドラマではホームズが遺体を隠しますが、原作ではその場にステープルトンが現れ(遺体を確認しに来た)、ホームズたちと遭遇しています。

レストレード警部

ドラマには登場しなかったレストレード警部。レストレード役の俳優コリン・ジェボンズのスケジュールが合わなかったためとされています。主演のジェレミー・ブレッドは彼の不在をとても残念がったとか。

原作では、ホームズとワトソンがロンドンに帰るふりをしてバスカビル館を出た日に、駅でレストレード警部と合流しています。そして3人でメリピット荘へ向かいました。ドラマではモーティマー医師が同行しましたが、原作では彼は同行していません。

グリンペンの底なし沼

ドラマでは省かれていましたが、原作では、事件が解決した翌日、ホームズたちはステープルトン夫人の案内で“グリンペンの底なし沼”へ向かっています。夫人もステープルトン同様、底なし沼を通り抜ける道を知っていました。

彼らは底なし沼の中央の島に辿り着き、ステープルトンがここで犬を飼っていた痕跡(金具や鎖)や、犬に塗りつけた夜光塗料を見つけます。

ステープルトンが沼地で道を誤って死に至ったのは、濃霧で道しるべの棒が見えなかったからです。この棒は、底なし沼を横切る道の目印として、ステープルトン夫妻が植え込んだものでした。

ステープルトンの生い立ち

ドラマでまるっと省かれていたのが、ステープルトンの生い立ち。彼の父親はロジャー・バスカビルで、サー・チャールズの末弟です。ステープルトンは偽名で、本名は父親と同じ。

ロジャーは一族の持て余し者で、放蕩が過ぎてイギリスにいづらくなり、南米へ逐電。その地で病死しています。彼の一人息子であるステープルトンは、コスタリカで評判の美人だったベリルと結婚。公金を奪ってイギリスに逃げてきました。

ヨークシャーの東部で学校経営という事業に乗り出すも、うまくいかず経営難に陥り、債権者から逃れるために名前を変えてダートムーアへ移住してきました。このとき妻を妹と偽ったのは、彼女を囮にしてバスカビル家の莫大な財産を乗っ取るつもりだったからです。

ドラマのホームズは、ステープルトンがシジミチョウの亜種の発見者であることから身元を割り出しましたが、原作のホームズは学校設立の線から割り出しています。

サー・チャールズの死の真相

ドラマでは説明が省かれていた、サー・チャールズの死の真相について。

ステープルトンはサー・チャールズが迷信深い人物で、心臓が弱いことを知っていました。そこで彼に不気味な犬の伝説を聞かせ、恐怖を植え付けました。強いショックを与えれば生命を奪えるのでは…と考えたのです。

ところか妻のベリルが協力を拒んだため、ローラ・ライアンズに目を付けました。不幸な境遇にある彼女に接触して心を掴み、計画に利用しました。

ローラの手紙で呼び出されたサー・チャールズは、待ち合わせの時間に門のところへ行き、ステープルトンがけしかけた獰猛な犬(彼には口から火を吐く魔犬に見えた)に追われて恐怖のあまり絶命しました。

魔犬の正体

炎にふちどられた魔犬の正体は、ステープルトンがロンドンの動物商ロス・アンド・マングルズで購入した獰猛な犬に、

犬種は、原作ではブラッドハウンドとマスティフの交配種ということになっていますが、ドラマではグレート・デーンが使用されました。緑色に光る特殊効果は個人的にはイマイチだった気がします。

スタッフは超自然的で邪悪な存在を表現しようと苦心したようですが、あまり怖さは感じませんでした。

サー・ヘンリーのその後

サー・ヘンリーがステープルトンの妻ベリルに好意を寄せ、彼女に会うためにメリピット荘に通うことは、ステープルトンにとっては好都合でした。殺害のチャンスが生まれるからです。

しかし、いざとなると嫉妬心を抑えられず、感情を爆発させて2人の仲を裂こうとします。一方ベリルは、サー・ヘンリーに危険を伝えようと、夫の目を盗んで何度もそれを試みました。

計画実行の夜に彼女が拘束されていたのは、夫の犯罪を非難して口論になったからです。

ドラマでは2人がメリピット荘で再会する場面がありましたが、原作にはありません。愛する人の真実を知ったサー・ヘンリーはショックを受け、心身共に深く傷つきますが、モーティマー医師と世界一周旅行に出かけて快活さを取り戻しました。