シャーロック・ホームズの冒険*第14話「空き家の怪事件」あらすじ感想

海外ドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」キャストあらすじ

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海外ドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」第14話「空き家の怪事件」のあらすじと感想です。

前回の「最後の事件」でライヘンバッハの滝つぼに落ちて死んだと思われたホームズが、3年の時を経て生還。驚きのあまり、ホームズを見るなり失神してしまうワトソン。

それにしてもホームズの変装はいつも見事だなぁ。これは気づかんよ。

今回から第3シリーズに突入し、ワトソン役がエドワード・ハードウィックさんにチェンジ。日本語吹き替えも福田豊土さんに変わってます。

第14話「空き家の怪事件」あらすじ

ホームズがライヘンバッハの滝で消息を絶ってから3年。ワトソンはベイカー街を離れ、開業医の傍ら警察にも協力していた。

1894年の春、レストレード警部に呼び出されたワトソンは、ロナルド・アデア卿の遺体を検視する。アデア卿はクラブでカード賭博を楽しんだのち帰宅し、2階の居間でその日の勝敗の計算をしているときに頭を撃ち抜かれて即死していた。

ワトソンは監察医として法廷で検視結果を証言した後、裁判の前で本を抱えた老人とぶつかる。診療所に戻ると、後を追ってきた老人が無礼を詫びる。ワトソンが振り向くと、そこに立っていたのは死んだはずのホームズだった。

驚きのあまり気絶してしまうものの、ホームズに介抱されて目を覚ましたワトソンは、旧友との再会を喜ぶ。ホームズはライヘンバッハの滝で何があったのかをワトソンに語る。

崖の上でモリアーティ教授と揉み合いになったホームズは、柔術を使って身を守り、転落を免れたのだった。そしてモリアーティが滝つぼに落ちた後、崖をよじのぼって身を隠し、ワトソンと警官が立ち去るのを見ていたという。

すべてはモリアーティの残党に「ホームズは死んだ」と思わせるためだった。その後、山中でモリアーティの手下に狙撃されるも、なんとかフィレンツェまで逃れることができたという。

その後はチベットに2年間滞在し、ペルシャ、メッカ、エジプトを回って最近フランスへ戻り、アデア卿の事件を知ってロンドンに戻る決意をしたと語るホームズ。モリアーティの残党と決着をつけるためだった。

その夜、ホームズとワトソンはベイカー街221Bの真向かいにある空き家に忍び込む。かつて2人が住んでいた部屋は、ホームズの兄マイクロフトの便宜で当時のまま維持されていた。

ホームズはかつての部屋の窓際に自分そっくりに作らせたロウの胸像を置き、窓にシルエットが浮かび上がるように仕掛けていた。自分が帰還したことを知らせ、ロンドンに潜むモリアーティの腹心をおびき出すためだ。

やがてある男が空き家に忍び込んでくる。男は空気銃を組み立てると、221Bの窓に浮かぶホームズのシルエットを狙い撃つ。駆けつけたレストレード警部が逮捕したのは、かつてインドで名を馳せた銃の名手・モラン大佐だった。ホームズは彼こそモリアーティの腹心で、アデア卿を殺した犯人だと明かす。

空気銃はドイツの技術者がモリアーティ教授の特注で製作したものだった。そしてライヘンバッハの滝の上でホームズを狙撃したのもモラン大佐だった。

モラン大佐はカードでイカサマをやり、アデア卿に見抜かれてクラブから出ていくよう脅されたのではないか、とホームズとワトソンは殺害の動機を推理する。イカサマで生計を立てていたモランにとって、クラブからの追放は身の破滅だった。

ハドソン夫人はホームズがベイカー街に戻ってきたことを喜び、3人は懐かしい部屋で祝杯をあげる。

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海外ドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」キャストあらすじ ネタバレ有「シャーロック・ホームズの冒険」各話あらすじ・感想・キャスト・原作比較・時代背景

第14話の感想(ネタバレ有)

帰ってきたホームズ

ホームズがいなくなって3年。ベイカー街を去って開業医をしていたワトソンのもとに、突然ホームズが姿を現しました。死んだはずの人間が目の前に現れて、失神してしまうワトソン。

失神するほどの経験はないけど、いるはずがないと思ってる人間がいきなり目の前に現れると一瞬パニックになる…っていうのはわかる^^;

ちなみにこのドラマでよく使われている、「気付け薬」としてのブランデー。失神したワトソンにホームズがブランデーを一口飲ませる場面がありましたが、当時は病院でも使用されていたらしいです。

そしてホームズの口から明かされる驚きの真実。前回の放送で、ホームズとモリアーティ教授がライヘンバッハの滝つぼに転落する見事なシーンがありましたが、これはワトソンが思い描いた想像だったことが判明。

滝つぼに落ちたのはモリアーティ教授だけ。ホームズは落ちていませんでした。その後はモリアーティの手下から身を守るため、イギリスを離れていたと言います。

ややこしいのは、今回の「ロナルド・アデア卿殺人事件」の犯人と、ホームズの命を狙うモリアーティの腹心が同一人物(=モラン大佐)だったことです。

ホームズは外国で身を隠しながら、いつかモラン大佐がヘマをやるだろうと辛抱強く待っていたんですね。そして今回の殺人事件が起きたとき、その手口からすぐにピンときて、今が(捕まえる)チャンスだと思ったようです。

もしモラン大佐が事件を起こさなかったら、ホームズはずっと戻らないつもりだったんですかね~。

ちなみに原作のホームズは、「敵とすべき相手がひとり残っているだけ」だとわかり、帰国の準備を進めていたところ、今回の事件のニュースが届いて帰国を早めた…と語っています。

ホームズとワトソンが懐かしいベイカー街221Bに戻り、ハドソン夫人と3人で祝杯をあげるシーンは、ドラマのオリジナル。微笑ましくて素敵なシーンでした。

原作との違い

ここからは深町眞理子さん訳の創元推理文庫版『シャーロック・ホームズの復活』に収録されている「空屋の冒険」をもとに、ドラマと原作との違いを見ていきます。

発表は1903年、短編の中では25番目の作品にあたります。

ホームズ生還を待ち望んだ人々

ライヘンバッハの滝でホームズを葬り、念願の歴史小説執筆に意欲を燃やしていた著者アーサ・コナン・ドイル。そんな彼のもとに、アメリカの出版社から「ホームズを生き還らせてほしい」というオファーが舞い込みます。

実はこの「空屋の冒険」より前の1901年にホームズ・シリーズの新作として「バスカヴィル家の犬」を発表しているのですが、物語の設定は、ホームズがライヘンバッハの滝に転落する以前の事件、となっていました。

そのため、本当の意味でホームズが生還した本作は、10年間復活を待ち望んだファンから熱烈な歓迎を受けました。作品はアメリカの〈コリアーズ・ウィークリー〉と英国の〈ストランド・マガジン〉に掲載され、掲載誌が置かれた棚はバーゲンセールの会場よりも凄まじかったとか。

「最後の事件」では、ホームズの遺体は発見されていません。読者は生還の可能性があると信じて待ち続けたのでしょうね。もしかしたら、ドイルはあえてその可能性を残していたのかもしれません。

愛妻を亡くしたワトソン

ホームズが消息を絶ったのが1891年、そして生還したのが3年後の1894の春。これは原作どおりでした。

原作では、ワトソンはその間に愛妻を亡くし、独り身になっています。そして生還したホームズに「仕事こそが悲しみへのまたとない解毒剤だよ」と慰められ、空屋の冒険へと繋がっていきます。

生還したホームズと独り身になったワトソンは、再びベイカー街221Bで同居生活を始めることになるのです。

ワトソンの検視証言

ドラマは、ワトソンがレストレード警部に呼び出され、殺されたロナルド・アデア卿の検視をする場面から始まります。ワトソンは診療所で働きながら、監察医として警察に協力している、という設定になっていました。

しかし原作にはそのような描写はなく、ワトソンが現場へ行って検視を行ったり、法廷で証言する場面はありません。事件に興味を持ったワトソンが個人的に検視審問や証拠資料を読み、事件現場へ足を運ぶという流れになっています。

老人に扮したホームズと最初に出会った場所も、ドラマでは裁判所の前でしたが、原作では野次馬が集まる事件現場の前でした。

ホームズを救った“バリツ”とは?

生還したホームズは、崖の上で起こったことをワトソンに語ります。ドラマでは、モリアーティ教授と揉み合いになったとき、「日本の柔術」のおかげで命拾いしたと語っています(映像ではどちらかというとレスリングのように見えました…できれば投げ飛ばしてほしかった)。

一方、原作のホームズは「バリツという日本の格闘技の心得があって」と語っています。“バリツ”とはなんぞや? それが未だにはっきりしてないんですよね。一般的には「柔術」と解釈されていますが、「武術(bujitsu)」を書き誤ったという説もあります。

ホームズの予想が外れる

ドラマでは省かれていましたが、モラン大佐の逮捕劇はホームズが予想したものとは少し違っていました。

ホームズは、モラン大佐がロナルド・アデア卿を殺したときと同じように、通りからじかに胸像を狙撃すると思っていたのです。だからレストレード警部と彼の部下たちに、通りで待機してもらっていました。

まさか自分たちが潜んでいる空き家にやってくるとは思いもよらなかったようで、逮捕されたモラン大佐に「あなたにはひとつだけ驚かされた」と語っています。