WOWOWの連続ドラマ「コールドケース2-真実の扉-」第5話“指輪”のあらすじと感想(ネタバレ有)です。
今回は、2004年の四葉銀行一億円強盗殺人事件。ゲストは、平岩紙さんと田中圭さんでした。
どうしてあんなチャラい男にあっさり引っかかったんだとか、人のことなんかほっといて逃げればよかったのにとか、とにかく平岩紙さんが可哀想でやりきれない。
好感度の高い田中圭さんが最低のクズ男を演じているところも必見。
今回の元ネタは、アメリカ版「コールドケース」シーズン3第14話“Dog Day Afternoons”です。
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ネタバレ有「コールドケース3-真実の扉-」登場人物(キャスト)一覧・全話あらすじ感想Contents
第5話「指輪」のあらすじ
銀行強盗が発生し、使用された銃弾が2004年の銀行強盗殺人事件で使われたものと一致。同一犯の可能性があると見て、百合(吉田羊)たちは14年前の四葉銀行強盗殺人事件を捜査する。
現場に落ちていたピアスから、当時融資を相談しに来た荻野朔太郎(田中圭)が浮上。荻野は事件の被害者・廣瀬亜紀(平岩紙)と、事件の直前に付き合い始めていたことがわかる。
荻野は仲間の2人と銀行を襲ったことを認めるが、亜紀の殺害は否定。本気で亜紀に惚れていたと言い、強盗は借金を返すためにしぶしぶ仲間に従ったと語る。
亜紀は密かに強盗を止めようと、仲間のひとりである森山賢治(金井勇太)に接触していた。だが賢治はすべて荻野の計画で、亜紀は利用されているのだと打ち明ける。
事件当日、亜紀は荻野たちに協力しつつ、犯行を止めようとする。だが荻野の態度はこれまでと打って変わって冷淡だった。
荻野に騙されていたことを知った亜紀は、賢治だけでも更生させようと自首を勧めるが、荻野に撃たれてしまう。その指には荻野に贈られた指輪が光っていた。
賢治は亜紀の月命日に欠かさず墓参りをし、花屋を経営してまっとうな暮らしを送っていたが、荻野に脅迫されて再び銀行強盗に加わったのだった。2人は逮捕され、亜紀の母親と妹は彼女の墓の前で手を合わせる。
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ネタバレ有「コールドケース2-真実の扉-」登場人物(キャスト)一覧・全話あらすじ感想第5話で使用された曲
- 「栄光の架橋」ゆず
- 「Sign」Mr.Children
- 「かたちあるもの」柴咲コウ
- 「もう少し」Kiroro
- 「誰かの願いが叶うころ」宇多田ヒカル
第5話の感想
田中圭の悪い顔
明るい役や素朴な役のイメージが強い田中圭さんが、ここまで酷い悪役を演じるとは…。
1ミリも同情できないほど、あっぱれな腐れ外道っぷりでしたね。銀行で犯行に及ぶ場面では、もう悪人にしか見えませんでした。お見事。
途中まで「もしや本気で愛してたのでは?」と思わせる微妙な演技も巧かった。取り調べ室での神妙な面持ちに、騙されそうになりました。
クズなのに悪い男に見えないって、たちが悪いですよね。こんな男に目をつけられてしまった亜紀は、不幸としか言いようがない。
でもいつか、彼は後悔する日が来ると思う。人を殺した罪にもだえ苦しむ日が来ると思う。そう思わないとやりきれません。
朔とは対照的だったのが、金井勇太さん演じる賢治。小心者でウソがつけず、優しい心を持つ彼は、亜紀を騙し続けることに耐えられず、真実を明かしてしまいます。
14年たった今も亜紀の死を忘れることができない賢治の悔恨の表情に、少しだけ救われました。
セカチューで落とされた女
銀行強盗の計画に、銀行員である亜紀を引きずり込んで利用することを考えた朔。朔が使った口説き文句は「運命かもしれないですよ、俺たち」でした。
映画「世界の中心で、愛をさけぶ」は、2004年5月に公開されました。大流行したので、「セカチュー」という言葉を知らない人はいないのでは。
主人公の名前は「松本朔太郎」。
ヒロインの名前は「広瀬亜紀」。
朔はあらかじめ亜紀の名前を調べていたんでしょうねぇ。用意周到。
亜紀が好きなのは、おそらく古典や純文学。朔に興味がないフリをしながら、こっそりセカチューの原作を読んでいる亜紀がいじらしい。
純粋で世話好きでお人好しであると同時に、世間知らずで鈍感な亜紀。アメリカ版には登場しない誕生日プレゼントの指輪がいっそう傷ましく、哀れでした。
謹慎中のねこさん
前回、刑事部長を思いっきりぶん殴ってしまったねこさん。今回は謹慎中ということで、捜査には参加せずデスクワーク(資料整理)に没頭していました。
冒頭、課長代理が事件の詳細を話し始めると、思わず席を立って参加しようとして、「あっオレ謹慎中だった」と気づいて席にもどるねこさん。
百合はシーズン1でちょっといい感じだった大江検事(宮沢和史さん)と飲みに行ったりして、「おっ?」と思わせる場面も。
メインのストーリーを邪魔しない程度に、レギュラーメンバーの日常がさりげなく描かれるところも好きです。
アメリカ版との違い
ここからは、元ネタとなったアメリカ版「コールドケース」シーズン3第14話“Dog Day Afternoons”との違いについて説明します。
余談ですが、サブタイトルの“Dog Day Afternoons”は、“盛夏の午後”という意味で、実際に起きた銀行強盗事件を題材にした同じタイトルの映画(邦題は「狼たちの午後」)が存在します。
ストーリーの流れ、登場人物の配置はほぼ同じです。田中圭さんが演じた最低男は、アメリカ版ではちょいワルな感じの外見でした。
銀行強盗の計画に利用するために、地味な女性銀行員をたぶらかして協力させるというプロットも同じ。ただ、日本版のほうが芸が細かいというか、亜紀を騙す手口が用意周到です(融資を申し込む、仲間に芝居をさせる、等々)。
大きな違いは、窓口にいたもうひとりの女性銀行員の設定。日本版では朔と密かに付き合っていただけで、強盗については何も知りませんでしたが、アメリカ版では彼女も仲間のひとり。2度目の犯行でも手引きしていました。
亜紀を殺した犯人も、日本版とアメリカ版とでは異なります。日本版では、亜紀を殺せない賢治に業を煮やした朔が、賢治から銃を奪って亜紀を撃つのですが、アメリカ版では賢治(に相当する男)が撃っています。
平岩紙さん演じる亜紀は萩原朔太郎の詩集を愛読。アメリカ版では夫婦デュオのジューン・カーター&ジョニー・キャッシュの本を読んでいて、銀行強盗3人組は犯行時にジョニーの覆面を使用しました。
朔が亜紀の誕生日に指輪を贈り、亜紀が殺されたときに指輪をはめていたという流れは、日本版のオリジナルです。
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