「アンという名の少女」シーズン1第5話ネタバレ感想|憧れのパフスリーブとお茶会

アンという名の少女【シーズン1】

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海外ドラマ「アンという名の少女」シーズン1第5話のあらすじと感想です。

学校へ通い始めたのも束の間、アンはまたもや騒動を起こしてしまいます。バリー夫人を怒らせ、ダイアナと話すことを禁じられてしまうアン。

ダイアナのひとことが泣けます。

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アンという名の少女【シーズン1】 徹底解説「アンという名の少女」登場人物(キャスト)一覧・全話ネタバレ感想・物語の舞台

第5話「固く結ばれた糸」あらすじ

学校に通い始めたアンの学力は上がり、ギルバートと一番を競い合うほどに。ある夜、アンは初潮を迎えて病気だと勘違いする。マリラから「大人の女性として準備が整った印」だと説明を受けるが、大人なんて早すぎると泣き出すアン。

学校へ行くと、ルビー以外の女子たちはみな初潮を経験済みだった。生理は恥ずかしいことだから口に出すべきじゃない、という女の子たち。アンは「どうして恥なの」と純粋な疑問をぶつける。

帰宅したアンは不機嫌になり、マリラに八つ当たりする。しかしマリラにダイアナをお茶に招待したらと言われ、有頂天に。アンがパフスリーブの服を欲しがっていることを知ったマシューは、カーモディへ出かける。

アンはダイアナを招待し、2人でマリラお手製の木いちごのジュースを飲む。だがそれは薬用のスグリ酒だった。酔っ払った2人を見たバリー夫人は激怒し、アンが悪影響を及ぼすとしてダイアナと親しくすることを禁じる。

マシューはカーモディの高級婦人服店に入り、幼なじみのジェニーと再会する。かつてマシューが贈ったボタンを今も大切に持っているというジェニー。マシューはアンについて語り、ジェニーにパフスリーブのドレスを依頼する。

アンが登校すると、先生はルビーと席を変われと命じる。ダイアナの母が隣に座ることを禁じたのだ。ダイアナは「もう親友は作らない。誰もあなたほど愛せない」とアンに告げ、ダイアナから愛されていたことを知って涙を流すアン。2人は互いの髪を切って交換し、永久の別れを悲しむ。

フィリップス先生に頼まれ、アンは学校を休んでいるギルバートに議題を届けに行く。ギルバートの父親は重い病で寝込んでおり、それを知ったアンは動揺する。

マシューは出来上がったアンの服をジェリーに受け取りに行かせる。アンはマシューから贈られた服を見て感激し、泣いて喜ぶ。パフスリーブの服を着たアンを連れて、マシューとマリラは教会へ行く。

第5話の感想と解説

アンに“大人の印”が訪れる

学校に戻ったアンは、順調に学力を身につけていきます。ギルバートと一番を競い合うまでに成長し、頼もしい。

そんなとき初潮が訪れ、アンは激しく動揺します。翌日学校へ行くと、ダイアナもジョーシーもティリーも既に経験済みだとわかります。

生理について口にするのは恥ずかしいことだと言う女の子たちに、アンは純粋な疑問をぶつけます。

「マリラは“神のご意志”と言ったわ。子どもを産めるようになるのよ。どうして恥なの」

作り手が伝えようとしていることはよくわかるのですが、原作にはないこのエピソードをどう受け止めればいいのか、昭和の人間であるわたしは正直困惑しました。

はじめてのお茶会が悲劇に

大人になったアンに、マリラは「ダイアナをお茶に招待してもいいわよ」と言います。

“お茶や食事に招待する”のは大人の社交で、お茶会に憧れていたアンは有頂天になります。生理であんなに具合が悪そうだったのに…。

客間のテーブルを花で飾り、さくらんぼのジャム、クッキー、フルーツケーキを並べ、木いちごのジュースでダイアナをもてなすアン。

ところがジュースだと思ってがぶ飲みしていた赤い飲み物は実はスグリ酒(カシスワイン)で、酔っ払った2人はハイになってはしゃぎ、その現場をダイアナの母親のバリー夫人が目撃。

激昂したバリー夫人はアンとマリラの弁明を聞き入れず、アンがダイアナに悪い影響を与えると決めつけ、親しくすることを禁じます。

当時のカナダでは禁酒運動が盛んで、人柄を変え暴力事件にも繋がる酒を否定する風潮が高まっていました。

プリンス・エドワード島では1900年代に禁酒法が制定されているので、この時期(ドラマの設定は1896年)は敏感になっていたと思われます。

ダイアナとの別れ

大好きなダイアナとの仲を裂かれ、悲しみに暮れるアン。2人は泣きながら永遠の別れを告げ、髪を一房切り取って交換します。

このときダイアナが口にした言葉に、アンは衝撃を受けます。

「親友はあなただけ。ほかは要らない。あなたほど愛せないもの」

ダイアナに愛されていると知って驚くアンに、「知らなかったの?」と問い返すダイアナが素敵すぎる。アンが誰かに「愛している」と言われたのは、初めてだったんでしょうね。

原作では、「私を愛してくれる人なんかいないと思っていたの。物心ついてから、誰も私のことを愛してくれなかったもの」と語っています。

憧れのパフスリーブ

マシューは「パフスリーブの服が欲しい」というアンの訴えを聞いて、密かにカーモディの町へ行き、高級婦人服店でアンの服を注文します。

婦人服店の店主ジェニーは、マシューのかつての想い人のようです。

ジェニーのほうもマシューが子どもの頃に贈ったボタンを大切に持っていて、今もマシューに気持ちが残っている様子でした。

もう一度会えるのを楽しみにしていたジェニーは、マシューの代わりに雇い人のジェリーが来たのを見て落胆します。

ところがジェリーはマシューから新しいボタンを預かっていました。

マシューの気持ちが昔と変わっていないことを知って、ジェニーは安堵します。

マシューから憧れのパフスリーブの服を贈られたアンは涙を流して喜び、さっそく新しい服を着て教会へ出かけます。

原作との違い

ここからは松本侑子さん訳の文春文庫版『赤毛のアン』をもとに、ドラマと原作との違いを見ていきます。

ギルバートとの競争

アンとギルバートは互いに意識し合い、学校ではよきライバルとして一番を争います。

原作では、アンが学校に戻ったのはダイアナとの交際を禁じられた後だったので、なおさらアンは勉強に打ち込みました。

原作のアンは「にんじん」呼びしたギルバートを激しく憎んでいるので、“ライバル”と認めようとはしませんが、2人の競争はこれ以降もずっと続きます。

学校では読み書き、計算、文法、地理、歴史といったさまざまな教科を習いました。

アンは成績優秀でしたが幾何学だけは苦手で、フィリップス先生から「こんなに出来の悪い子は見たことない」と言われるほどでした。

アンに訪れた大人の印

夜中に目が覚めたアンは寝間着についた血を洗い、悪い病気だと勘違いして取り乱します。

アンに初潮が訪れるエピソードは、原作にはありません。

マリラやリンド夫人がそれについて語る場面も、女の子たちが昼休みに内緒話する場面もありません。

ダイアナとのお茶会

大人になったアンに、マリラはダイアナとのお茶会を許可します。生理で鬱々としていたのも忘れ、大喜びで支度にとりかかるアン。

原作では、アンが学校を休んでいる間の10月の土曜日に起きた騒動です。

アンは木いちごのジュース(ラズベリー・コーディアル)と間違えてスグリ酒(カシスワイン)を出してしまい、ダイアナは気分が悪くなって帰宅します。

ドラマとは違い、お酒を飲むのはダイアナだけです。

そして帰宅した娘が酔っ払っていることに気付いたバリー夫人は、アンがわざとダイアナを酔っ払わせたと思い込み、ダイアナにアンと遊ぶことを禁じます。

アンがそのことを知ったのは2日後で、マリラはバリー夫人に経緯を説明しようとダイアナの家に出向きますが、バリー夫人の気が変わることはありませんでした。

マリラの果実酒は味が良いと村では評判でしたが、酒作りをよく思わない人々の間で非難の的になっていて、牧師も賛成していないと知ったマリラは3年前から酒づくりをやめていました。

戸棚にあったスグリ酒は、「病気になったときのために取っておいた」ものでした。

木いちごジュース

アンがダイアナに出すはずだった「木いちごジュース」は、ラズベリー・コーディアルと言ってラズベリーを砂糖で煮詰めて作ったシロップを水や炭酸で割る飲み物のこと。

原作では、アンが間違えてお酒を出したのはマリラのせいで、マリラは木いちごのジュースを地下貯蔵庫にしまったのをすっかり忘れ、アンに「居間の戸棚にある」と伝えてしまったのです。

ちなみに木いちごの花言葉は「悔恨」。

ダイアナとの別れ

交際を禁じられたアンとダイアナは、学校で永遠の別れを告げます。

原作ではアンはまだ不登校中なので、学校ではなく〈木の精の泉〉と名付けた丸木橋のそばの泉で別れを告げます。

10分だけという約束で、バリー夫人がアンに別れを告げることを許したのです。

ダイアナと厳かな別れの儀式をした後、家に帰ったアンはマリラに「学校に戻る」ことを伝えます。

学校へ行けば、話はできなくともダイアナの姿を見て思い出にふけることができる、という理由からでした。

ギルバートの家族

ギルバートは病床の父親を看病するため学校を休み、アンは先生に頼まれてギルバートの家に課題を届けに行きます。

ドラマではギルバートの家族は病気の父親ひとりだけのようでしたが、原作では両親ともに健在です。

アンが最初にギルバートに会った日、ダイアナが「四年前、お父さんが病気になった時、静養のために西部のアルバータへ行くことになって、ギルバートもついて行ったのよ」と語る場面があり、ギルバートはその間ほとんど学校に通えなかったため、アンより2つ年上の13歳ですが、勉強は同じレベルです。

原作には、ギルバートが父親の看病のために学校を休んだり、アンがギルバートの家に課題を届けたりする場面はありません。

パフスリーブの服

ダイアナのお茶会に着る服がない、とマリラに訴えるアンを見て、マシューはひそかにカーモディの町に出かけます。

そして幼なじみのジェニーが営む高級婦人服店で、アンのために流行のパフスリーブの服を作ります。

原作ではお茶会よりもずっと後の、アンがグリーン・ゲイブルズに来て2度目のクリスマスで語られるエピソードです。

女の子たちと一緒にいるアンを見て、「アンだけ、何かがほかの子と違う」と気付いたマシュー。しばらく考えてみて、飾り気のない服のせいだとわかります。

マシューはさっそくカーモディの雑貨店へ出かけて最新の服を買おうとしますが、店員が女性だったために言い出せず、代わりに必要のない熊手や黒砂糖を買ってきてマリラに叱られます。

困り果てたマシューはリンド夫人に助けを求め、リンド夫人はマリラに内緒で服を仕立てることを約束します。

そして2週間後、最新流行を取り入れたパフスリーブの服が出来上がります。

その服は上品な茶色の絹地で、優美なフリルとシャーリングで飾られ、見事なパフスリーブがついていました(この服を見たマリラは文句たらたらでした)。

マシューからのクリスマス・プレゼントを受け取ったアンは感激し、クリスマスに公会堂で開催されるアヴォンリー校の演芸会にその服を着て出かけます。

ドラマに出てくる高級婦人服店や、マシューの幼なじみのジェニーは原作には登場しません。

マイケル・カスバート

マシューとマリラの上には、マイケルという兄がいました。

マイケルが死んだことで、マシューは学校を退学せざるをえなくなってしまったようです。そしてマリラもまた、兄の死で人生が変わったと思っていることが示唆されます。

原作には、マイケルという名前の兄がいたという話は出てきませんし、マシューとマリラが「家族の死で人生が変わった」と語る場面もありません。

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