「アンという名の少女」シーズン1最終話ネタバレ感想|グリーン・ゲイブルズの危機

アンという名の少女【シーズン1】

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海外ドラマ「アンという名の少女」シーズン1最終話(第7話)のあらすじと感想です。

カスバート家に訪れた、思いもよらない危機。グリーン・ゲイブルズを救うために、マリラとアンは奔走します。

ラストシーンは不吉な予感を抱かせ、シーズン2へと続きます。

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最終話「あなたがいてこそ我が家」あらすじ

カスバート家が農場を抵当に入れたという噂を聞き、孤児院に戻されるかもしれないと不安に陥るアン。帰宅すると、マリラとマシューが言い争っていた。

作物を積んだ船が沈んで収入が得られなくなったマシューは、農場を抵当に借金をして新しい作物とジャガイモで返済しようとしていた。マリラは何の相談もなく決めたマシューに怒り、マシューは心臓発作を起こして倒れてしまう。

マシューは一命を取り留めるものの、回復には数か月かかると医者に言われる。アンは孤児院に戻ることを覚悟するが、マリラは「あなたはうちの子よ。何があっても絶対に変わらない」と断言する。

アンとマリラはカーモディ銀行へ行き、事情を説明して借金の返済期間を延長してもらおうとするが、行員は利益が見込めないなら今月末に全額返済か担保を没収すると言う。

村の人から寄付を募ると言うリンド夫人の提案を、マリラは「施しは受けない」と拒否。新聞に下宿人募集の公告を出し、ジェリーを解雇し、家にあるものを売って金を作ろうとする。

アンは婦人服店にパフスリーブの服を返品し、ジェニーに事情を聞かれて涙ながらに打ち明ける。ジェニーはマシューが払ったよりも多くのお金をアンに渡す。

アンとジェリーは馬と品物を売るためシャーロットタウンへ向かう。そこで偶然、港で働いていたギルバートと会う。ギルバートは広い世界を見るために船乗りになろうとしていた。

アンは葬儀のときに無神経な発言をしたことを謝り、ギルバートと仲直りする。ジェリーは2人組の強盗に襲われ、馬を売ったお金をすべて盗られてしまう。

シャーロットタウンに住むダイアナのおばジョセフィンを訪ねるアンとジェリー。ジェリーが解雇されたと知ったジョセフィンは、「私がジェリーを雇ってグリーン・ゲイブルズで働いてもらう」と申し出る。

目を覚ましたマシューは自分の生命保険でグリーン・ゲイブルズを救おうと、拳銃自殺を試みる。だが訪ねてきたジェニーに見つかり、あなたが死んだらアンが苦しむと諭される。

グリーン・ゲイブルズに戻ったアンは、頑なに友人からの援助を受けようとしないマリラに「時には素直に愛を受け取ってもいいと思う」と意見する。マリラは考え直してお金を受け取り、アンは足りない分を補うために働く。

下宿人が見つかり、借金を返せるうえに定収入も見込めるようになる。グリーン・ゲイブルズを売らずに済むと知って喜ぶアン。クリスマスの夜、リンド夫人やダイアナたちが寄付金を届けにやってくる。

グリーン・ゲイブルズに現れた2人の下宿人は、シャーロットタウンでジェリーを襲った2人組の強盗だった。

最終話(第7話)の感想と解説

グリーン・ゲイブルズの危機

クリスマスの準備をしていたアンは、「カスバート家が農場を抵当に入れた」というジョーシー・パイの噂話を聞いて動揺します。

作物をのせた船が沈んで収入がなくなり、マシューはマリラに相談もせず銀行に借金をしたのです。

激怒したマリラと言い争いになり、心臓発作を起こして倒れてしまうマシュー。

プリンス・エドワード島では、畑や果樹園をつくり、家畜や家禽も飼うという混合農場を営む住民がほとんどでした。

カスバート家も同様で、ジャガイモを栽培する広い農地とリンゴなどの果樹園を持ち、牛や馬や鶏を飼っています。

島の特産品であるジャガイモは、船に積んでカナダ本土やアメリカに輸送し、鉄道で各地に運ばれました。

お金になるはずの農作物が海に沈んでしまい、収入が絶たれてしまったカスバート家。

さらにマシューが倒れ、働いて借金を返済する見込みもなくなってしまいます。

借金返済のため、大切なものを手放す

マリラは他人から施しを受けることを拒み、家にある物を売って借金にあてようとします。

雇い人のジェリーを解雇し、馬や牛を売り、第1話に登場した大切なアメジストのブローチまでも手放します。

アンもまた、第5話でマシューから贈られたパフスリーブの服を返品することを決めます。

マシューの看病で家を離れられないマリラの代わりに、アンはジェリーと2人でシャーロットタウンの質屋へ。

この質屋は第2話でマシューが懐中時計を売った質屋ですね。店頭の陳列棚に、懐中時計がありました。

アンは得意のおしゃべりで店主に品物を売り込み、それなりのお金を得たようですが、ジェリーのほうは馬を売ったお金を2人組の強盗に盗られてしまいます。

ギルバートとの再会

アンは質屋の外でギルバートと再会します。アヴォンリーを出たギルバートは、港で働いていたんですね。

亡き父が話していた「広い世界」を見るために、船に乗りたいというギルバート。

アンはお葬式の日のことを謝り、ギルバートと仲直りします。ようやく素直になれた2人。別れを惜しむように、ギルバートは立ち去ります。

この展開は原作にはないので、これからギルバートがどういう道に進むのか、まったく先が読めませんね…。

愛は施しではない

シャーロットタウンに住むダイアナのおば、ジョセフィンさんの屋敷に泊めてもらうアンとジェリー。

帰り際、ジョセフィンさんから贈られた本の中には、「愛は施しではない」と書かれた紙と一緒にお金が挟まれていました。

同情されたくないと拒むマリラに、アンは意見します。

「友達が困っていたら私は手を差し伸べるわ。友達は私の愛を受け取り感謝してくれるはず。今の私もそう。バリーさんの愛に感謝してる。時には素直に愛を受け取ってもいいと思う」

ジョセフィンさんからもらったお金を足しても返済額に足りず、アンは各家をまわって家事手伝いをする代わりに駄賃をもらう“アルバイト”をします。

シーズン2も波乱の予感

新聞に下宿人募集の広告を載せていたマリラ。

2人の下宿人が決まり、借金を返せるうえに定収入も見込めるため、グリーン・ゲイブルズを売らずに済むことになりました。

しかしこの下宿人が厄介このうえなく……。

シャーロットタウンでジェニーを襲って馬の代金を盗んだ2人組なんですよね。

しかもその後、彼らはアンとギルバートが話していた店の中に偶然いて、グリーン・ゲイブルズの新聞広告を見て「これがいい」と言っていました。

それなのに、下宿人として現れたときにはお互いに他人のようなふりをしているのです。何かよからぬことを企んでいるのは明らか。

シーズン2も波乱の予感がします。

原作との違い

ここからは松本侑子さん訳の文春文庫版『赤毛のアン』をもとに、ドラマと原作との違いを見ていきます。原作のネタバレを含みますので、ご注意ください。

カスバート家に訪れた苦難

作物を積んだ船が沈み、銀行に借金をするマシュー。しかしマシューが倒れ、アンとマリラは借金返済に奔走することになります。

原作にはこのエピソードはありません。

終盤、カスバート家の全財産を預けていた銀行が倒産し、その報せを新聞で知ったマシューが心臓発作を起こして亡くなりますが、アンとマリラが借金返済に駆け回ることはありません。

マリラはひとりで農場を経営するのは無理だと考え、グリーン・ゲイブルズを売ろうとします。

アンはマリラとグリーン・ゲイブルズのために大学進学を諦め、教師として働くことを決めます。

マシューの心臓発作

マリラと言い争いになり、心臓発作を起こして倒れたマシュー。命は助かるものの、回復には数か月かかると医者に言われます。

ドラマではマシューが心臓発作を起こすのはこれが初めてのようで、アンとマリラは何が起こったのかわからずうろたえていました。

原作では「この春、ひどい心臓発作を何回か起こして」とマリラがマシューの体調を心配して、アンに語る場面があります(この時のアンはクィーン学院を卒業して帰ってきたばかり)。

そしてその翌日、マシューは心臓発作を起こして亡くなります。

ドラマでは命をとりとめたマシューが拳銃自殺を図ろうとするシーンがありましたが、これは原作にはありません。

アンとジェリーの旅

借金返済にあてるため、家の物を質屋に売ることを決めるアンとマリラ。

原作には借金返済に奔走する場面はないので、アンとジェリーがシャーロットタウンの質屋に行く場面もありません。

ジェリーは原作ではほとんど出番がなく、終盤は別の雇い人に変わっています。

ジョセフィンさんがジェリーの賃金を肩代わりする場面もありません。

ギルバートとの再会

アンはシャーロットタウンで偶然ギルバートに会います。

原作ではギルバートがアヴォンリーを出ることはないので、この場面もありません。

原作のアンとギルバートが仲直りするのは、マシューが亡くなった後、16歳のアンが大学進学を諦めてアヴォンリーで教師になることを決めたとき。

ギルバートは理事会にかけあって既に決まっていたアヴォンリー校での教師の職をアンに譲り、自分は下宿代がかかるホワイト・サンズに行くことを決めました。

それまでずっと意地を張ってギルバートを無視し続けていたアンは、その話をリンド夫人から聞いてようやくギルバートに心を開き、お礼を言って仲直りします。

ジョセフィンさんの家

シャーロットタウンで馬と品物を売ったアンとジェリーは、ダイアナのおばジョセフィンさんの屋敷に泊めてもらいます。

原作にはこのエピソードはありません。

アンがジョセフィンさんの屋敷に初めて泊まるのは、グリーン・ゲイブルズに来て2年目の9月。ダイアナと一緒にシャーロットタウンで開かれる品評会へ行ったときです。

豪華で荘厳な家具や調度品で飾られた宮殿のような屋敷で、アンとダイアナには優雅な客用寝室が与えられました。

クリスマス

マシューが倒れ、借金返済に駆けずり回りながらも、ツリーを飾ってクリスマスを楽しむカスバート家。

リンド夫人は村人から寄付を募り、カスバート家に届けます。

ドラマではアンがグリーン・ゲイブルズに来て初めて迎えるクリスマスでしたが、原作におけるアンの1年目のクリスマスは、ダイアナとの交際を禁じられて勉強に打ち込んでいたとき。

原作のカスバート家は〈長老派教会〉の信者で、長老派はクリスマスを「異教徒の祭日」として認めていませんでした。

原作にはツリーも登場しませんし、アンたちが礼拝などの宗教行事を行う場面もありません。

下宿人

マリラが新聞広告で募ったグリーン・ゲイブルズの下宿人はすぐに決まり、2人の男がやってきます。原作にはこのエピソードはありません。

ちなみに当時は、新聞も手紙も各家庭に配達されることはなく、それぞれが村の郵便局に出向いて受け取っていました。

そのため郵便局が社交の場にもなっていました。

作者モンゴメリの祖父は郵便局長で、彼女が育ったキャベンディッシュ(アヴォンリー村のモデル)の祖父母の母屋の一角には、郵便局がありました。

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